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La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記

La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記
暴動クラブのベーシスト、城戸 “ROSIE” ヒナコが毎月、1枚レコードを紹介するコラム。
●プロフィール:城戸 “ROSIE” ヒナコはロックンロール・バンド、暴動クラブ(海外ではVoodoo Club)のベーシスト。メンバーは釘屋 玄(vo)、マツシマライズ(gt)、城戸 “ROSIE” ヒナコ(ba)、鈴木壱歩(dr)の4人。平均年齢20才、ワイルドで荒々しく挑発的なロックンロールでライブハウスシーンを席巻中。昨年12月に行った二度のワンマンライブはそれぞれ即完。今、最も注目されているロックンロールバンド。■X:https://twitter.com/Voodoo_Club_ ■Instagram:https://www.instagram.com/voodooclub_japan/

第3回:Bananarama『Deep Sea Skiving』

2024.3.27 upload

3月某日 くもり

ボンジュール、サバ。Rosieです。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。

私は、春休みもいよいよ終盤に差し掛かり、もうすぐ再開する大学生活に少しばかりの絶望を感じつつ、でも正直もうこの春休みにウンザリもしていて。というのも、大学が2ヵ月もないという非現実的現実に最初は心躍らせ、普段できないような、しかし全くもって無意味なこと(何をすることもなく朝まで起きるなど)を調子に乗ってやってみたりしていたんですが、1、2ヵ月も経ってくるともうだんだんね、あの、しんどいんです、逆に。くどいです。5分くらいある曲のサビ、ソロの後にくる謎のDメロ、いや、もはやよく分からんEメロ、くらいのくどさ。
別に悪くない、悪くはないけど、ちょっとくどいです。

さて前回、前々回と、自分でも読む気が失せるほどの長編大作物語になってしまったので、さすがに今回からはその反省を活かしあまり長くなりすぎないようにしようと思っておりまして、早速レコード紹介に入ろうと思います。えらい。

今回紹介するのはコチラ、Bananaramaの『Deep Sea Skiving』(1983年)です。



ストレイ、レーナード・スキナードと来て突然のアイドル路線に動揺、目を擦り、頬をつねり、今まで握りしめていたスマートフォンをボタリと落とし海辺で遊ぶ磯がにのように慌てふためいて走り出した方もおられることかとお察ししますが、まあまあ、一旦落ち着きなさって、まずはこうなったその経緯を説明させてくださいな。

これ以上言ったらもう分かったねん! しつこいねん! と怒号の声がどこからともなく聞こえてきそうなくらいにはもう散々公言しつづけておるのですが、私はルースターズとそのヴォーカリスト、大江慎也さんの大大大ファンなのであります(メンバーにはいつもキモヲタと揶揄されています、ヒドい)。

そして私は17歳、受験生真っ只中の高校3年生の時分に受験勉強もほっぽり出してネット上で見れる限りのありとあらゆるルースターズ関連の文献、大江慎也さんのインタビュー類を漁りに漁りまくり、全て読み尽くしました。受験生がなにしてんねん。
でその時読んだ記事の中の一つ、ちょうどルースターズのサードアルバムか「ニュールンベルグでささやいて」のシングルが出たくらいの時期の、'82年の大江さんのインタビュー記事に、最近何を聴いているか、というファンとしてはとても有難い質問があったのですが、そこで大江さんは「バナナラマのシングル。“Shy Boy”のB面が好きで」と答えているんです。

もちろんそんなの、この私が黙っているはずがないではありませんか。
好きな人のものは好きになるという乙女心に火がつくや否やバナナラマが何者かすら全く知らないにも関わらず、そのB面の正体だけをとにかく突き詰めんと凄腕ハッカーの如く隅から隅までひたすら調べあげ、大江さんが指している曲がおそらく「Boy Trouble」という曲ではないかという推測にすぐさま辿り着き、早速バナナラマのどんな有名な代表曲も一切無視して一番にそれを聴いた。
大江さんがハマっていた曲を私は40年後の今聴いている。えへへ。なんて呟きながら。
うん。完全にキモヲタである。

しかしこれがかなりカッコよくて、私の中では相当の衝撃だった。

まず当時大江さんがこのようなダンスミュージックを好んで聴いていたということへの衝撃、それからユーロビートと呼ばれる、私が今まで全く未知だったジャンルの音楽に対する新鮮さゆえの衝撃。

私が今回紹介しているこちらはバナナラマのファーストアルバム。もちろん「Boy Trouble」も「Shy Boy」も入ってます。
ほんとはその「Shy Boy」のシングルが買えれば大江さんヲタクとしては本望だったのですが、なかなか見つからず、このLPをゲット。
でも思いの外このアルバムが素晴らしくて、気づけばもう普通にバナナラマのファンになっていました。本当に何度聴いたことか分かりません。



はい! これこそがユーロビートです! と言わんばかりのゴキゲンなナンバー「Shy Boy」とそこから続く2曲目は、目を瞑って踊ればまるで自分がミラーボールの下にでもいるかのような錯覚を起こすことができる。
私が特に好きなのはA面最後、少し落ち着いた曲調の「Cheers Then」。彼女たちの綺麗な歌声と曲調が、本当に心地よいのです(『サウンド・オブ・ミュージック』をオマージュしたMVもYouTubeで見れます。可愛いので是非!)。



そしてB面最後に入っているこれまた切なめのナンバー、「Wish you were her」が、ROSIE的一番のお気に入り。儚い、切ないサウンドに乗る彼女たちの透き通るような美しい声に耳を傾けてはいつもオヨヨ。と涙を流すワケです。本当にいい曲すぎるの。んでノリノリの曲ばかりだったアルバムの〆がこれ、というのがまた、よい。大変よい。

ちょっとあとに出た代表曲「I Heard a Rumor」とか「Venus」もいいのだけど、私はこのファーストがやっぱりポップで、パンクで、キュートで、好きです。

でも実は私が高校生の時に読んだ例の大江さんのインタビューのときにはまだこのファーストは出ていないんです。
「Shy Boy」のシングルが出たのは1982年でこのアルバムが出たのは1983年。
そしてこのインタビューが1982年なので、大江さんはシングルが出て間もない頃に聴いていたということになります。

実は彼女たちのデビューのきっかけにはセックス・ピストルズが関わっていて(ピストルズが使っていたスタジオの上に彼女たちが住んでいたとかなんとか)もしかしたら大江さんはその流れから聴いていたのかも知れません。この時期にやってるピストルズの「No Feelings」のカヴァーもサイコーです。

とにかく何が言いたいかっていうと、サブスクなんてない当時に常にアンテナを張り新しい流行の音楽を追っていた大江さん、そしてそれを一番かっこいい形で自分たちの音楽に取り入れて、常に進化し続けていたルースターズがいかに素晴らしいかってコトです。
彼らはロックンロールバンドでありながら古いことはやらず、常に時代の最先端にいた。
だからこそ今の若者が聴いても全く褪せることのないかっこよさがあるのだろうか、なんて思うと、ああ、やっぱり流石です。大尊敬です。ザッツホワイアイライクヒムです。私がキモヲタになってしまうのも仕方ないのです。

と、今回は変化球、まさかのここにきていきなりのユーロビートでみなさまを狼狽させてしまったかもしれませんが結局は私の大江さんオタクぶりをただただ世に曝け出しただけで終わった気がします、
自分的には書いてて最高に楽しかったしなんならまだまだこんなの氷山の一角に過ぎぬ、全然書き足りぬ、という気持ちですが、今日はこのへんでおしまいにしておきます。

また1ヵ月後お楽しみに。
これからも変化球をいっぱい投げてみようと思います、よろしくどーぞ!
サリュ〜

世界中に愛と平和を  城戸”ROSIE”ヒナコ


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EVENT INFORMATION


「BEAT DONUT」開催! 暴動クラブとTHEティバ の2マンライブ決定!

暴動クラブ INFORMATION

配信シングル「恋におちたら」
2024年2月14日リリース
収録曲:恋におちたら/俺のあの娘 全2曲


7インチ・レコード「暴動クラブのテーマ」
2023年11月3日 レコードの日 リリース
収録曲:暴動クラブのテーマ/Money(That’s What I Want) 全2曲

アーカイブ

第1回:STRAY『嵐の宮殿』
第2回:レーナード・スキナード『SKYNYRD’S FIRST AND...LAST』
第3回:バナナラマ『Deep Sea Skiving』

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