La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記
■La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記
暴動クラブのベーシスト、城戸 “ROSIE” ヒナコが毎月、1枚レコードを紹介するコラム。
●プロフィール:城戸 “ROSIE” ヒナコはロックンロール・バンド、暴動クラブ(海外ではVoodoo Club)のベーシスト。メンバーは釘屋 玄(vo)、マツシマライズ(gt)、城戸 “ROSIE” ヒナコ(ba)、鈴木壱歩(dr)の4人。平均年齢20才、ワイルドで荒々しく挑発的なロックンロールでライブハウスシーンを席巻中。昨年12月に行った二度のワンマンライブはそれぞれ即完。今、最も注目されているロックンロールバンド。■X:https://twitter.com/Voodoo_Club_ ■Instagram:https://www.instagram.com/voodooclub_japan/
第10回:HOME『HOME』
2024.11.30 upload
11月某日 はれ
ボンジュー、ロージーです。皆様いかがお過ごしでございましょうか。
もういよいよ本格的に冬が訪れたことを、私の愛しい愛しいこの世で唯一の兄弟、城戸ジンジャーくん(6歳・男・ベンガル)の寝床の変化が教えてくれる今日この頃ですが、今年はなんと嬉しいことにこの時期になっても精神状態がここ数年で一番良い感じにすごせていて(いつもはこの時期になると必ず訳もなく虚無感に襲われ絶望しルースターズの『DIS.』以降しか聴かなくなり発狂し始めるので)ハッピーハッピーハッピー♪(猫がバンザイをしながらジャンプする)です。多分ルースターズ関連の色々が一気に出ていて嬉しいからだと思います。
さて、11月は真冬でもなければ秋でもない一番微妙な時期で、季節にちなんだレコードとかを大変選びづらく、うーむどうしよう。正直に申し上げますと、ネタがびっくりするくらい思い浮かびません。
わあどうしよう、と軽くパニックっていたところに今月はamplifier さんと我々暴動クラブのコラボTシャツ販売にちなんだDJイベントが渋谷のロックバー、BAR STAR STARにてありまして(来てくださった皆様ありがとうございました。おかげ様でめちゃんこたのしかったです! またみんなで遊びましょう)、持っているレコードを改めて全部見直すという、普段には絶対やらないことをやらざるを得ない状況にありがたいことになってくれたので、眠っていたレコードを全てひっくり返しゴソゴソと見漁っていたところ、存在を完全に忘れてしまっていたレコードがあれよあれよとなんだか次々出てきて、自分の怠惰ゆえの管理力の無さに反省しつつも、なんや意外と私いいのんいっぱい持ってるじゃあないのよ、と、今度は逆に選びきれなくなり私のレコードコレクションのセンスの良さに我ながら苦しめられ、悩みに悩んだ挙句この怪しげなヤツに決めました。
今回は先日のDJイベントでもかけた、コチラ。
HOME『HOME』(1972)
へへ、かっちょええやろ。
こんなレコードを持っていたのかと、我ながら衝撃的。おそらくだいぶ前におとんが買ってくれたんですが一度聴いたきりで棚にしまってしまって(ダジャレじゃないですよ)いたみたい。
70年代初期のイギリスのバンドで、「HOME バンド」と検索をかけても全く引っかからないくらいにはあまり名が知られていない、おそらく私が思うには知る人ぞ知る、通的な存在のようですが(いや、私が無知なだけで実はクソ有名なのかも……私のリサーチ不足だったらスミマセン)、あの、なんかマジ普通にやばくて(阿呆の語彙力)、というのも、このバンドを結成したメインメンバーが、のちにAC/DCのベーシストになるクリフ・ウィリアムズ氏と、私も大好きなハードロックバンド、ウィッシュボーンアッシュにギタリストとしてこれまたのちに加入する、ローリーワイズフィールド氏なのです。
彼らは結成後すぐにエピックレコードと契約しファーストアルバム『Pause for a Hoarse Horse』をリリースしており、しかもその年には我らがマツシマライズが狂いに狂っていることで有名なレッド・ツェッペリンの、1971年のライブ「エレクトリック・マジック・ショー」で、前座を務めているのだ。
こう聞くと、なぜ日本であまり名が知られていないのかが大変不思議で仕方がないが、おそらくこのバンドが短命に終わってしまったことが原因なのかしら。
とにかく個人個人の才能が凄すぎたのか、ここのバンドじゃ収まりきらなかったのだろうということが、この二人ののちのキャリアから伺える。知らんけど。
のちにAC/DCとウィッシュボーンアッシュのメンバーを輩出していたり、ツェッペリンの前座やってるくらいだからハードロックとか激しい系なのかなと思われるにちがいないし、英語版ウィキとか、数少ない情報を頑張って探して見たりしても実際プログレやハードロックに分類されているが、聴いてみると全然激しくないしプログレ特有の聴きづらさも全然ない(と思う)。
本アルバムは彼らのセカンドアルバムで、当時、イギリスのアルバムチャートで41位まで上り詰めたらしい。
このアルバムの1曲目に収録され、このバンドで唯一シングル化されている「Dreamer」(私がこの前のDJ出かけたやつはコレ)と最後の曲(9分もあるしトリップしそうになる系、私は大好物)は、確かに完全にプログレであるが、そのほかの曲はザ・バンド的な感じのカントリーロックとかフォークロックぽく、むしろこの2曲が異色であると言ってもいいくらいである。
だから、これは私が今回のこのコラムの中で最も主張したいことなのだが、AC/DCやウィッシュボーンアッシュの文字だけで、ハードロックか、とひとくくりにして遠ざけないでいただきたい。まじでー!
というのも、ハードロックやプログレを聴きづらいもの、と認識している人が私の周りにはかなりいらっしゃり……実際になんか嫌いとか言われることもあって……それは私が個人的にすごく悲しいのです……というかね、あの、ちょっとムカついている。
ウン、気持ちはわかるのよ。
でもこのアルバムはぜひそんな方にも、いやむしろそんな方にこそ、毛嫌いせず聞いてみてほしいのです。
そもそもハードロック自体私の中ではヘヴィメタルからは切り離された全く別物であり、より奥深く繊細な音楽ジャンルだと思っているのだが(UFOやそれこそウィッシュボーンアッシュを聴いてくれたら私が何を言っているのかが分かりやすいと思う)たとえばレコード屋に行ってヘビメタとハードロックのジャンル分けが曖昧になって全部ひとまとめにされたりしているのを目撃すると私的にはめちゃくちゃガン萎えする。
これは私がメタルを否定しているという訳では決してなくて、むしろハードロックのハードの部分だけを抜き取って捉えている人に私は物申したく、このハードロック特有の繊細さと奥深さにもっとこの世の中や若者が気づいてほしいと、心底思っているのだ。
まあちょっとこの論争はロック好きにとっては永久に絶えないテーマでありまして、色々言いすぎるととんでもない喧嘩や暴動が勃発しかねないのでここでは控えさせていただきます(暴動クラブの名付け親のくせして)。
とにかくこのHOMEは、私が先程言及したハードロックの根底にある「繊細さ」を体現したバンドであり、まーじでかっこいいから聞いてほしいのです。絶対聴きやすいから!!!
この当時にこんな隠れた名バンドがいて、いやなんでこんなかっこいいバンドが隠れてるのか理解できないけど、それを私が隠し持っていた(忘れていただけだろう、あんた)のもよくわかんないけど、HOME、寒いこの時期に皆様も温かいご自分のHOMEで(我ながら、ウマイ)聴いてみてください!
ではまた次回お楽しみに。
サリュ;)
世界中に愛と平和を
城戸“ROSIE”ヒナコ
© 2024 DONUT
暴動クラブが2025年4月22日(火)
恵比寿リキッドルームにてワンマンライブを開催!
暴動クラブ INFORMATION
CDシングル「撃ち抜いてBaby,明日を撃てLady」
2024年12月4日リリース
※CDのみの発売で、配信等はありません。
収録曲:01.撃ち抜いてBaby,明日を撃てLady/02.あばずれセブンティーン/03.欲望/04.撃ち抜いてBaby,明日を撃てLady– Alternate version
1stアルバム『暴動クラブ』
2024年8月7日リリース
※CDのみの発売で、配信等はありません。
収録曲:1.とめられない/2. Born to Kill/3. ロケッツ/4. すかんぴん・ブギ/5. カリフォルニアガール/6. Roadrunner/7. まちぼうけ/8. いとしのクロエ/9. Voodoo Rag/10. チェルシーガール/11. C.M.C.
RECORD STORE DAY限定7インチシングル「シニカル・ベイビー」
2024年4月20日リリース
収録曲:シニカル・ベイビー/気になるお前 全2曲
配信シングル「恋におちたら」
2024年2月14日リリース
収録曲:恋におちたら/俺のあの娘 全2曲
7インチ・レコード「暴動クラブのテーマ」
2023年11月3日 レコードの日 リリース
収録曲:暴動クラブのテーマ/Money(That’s What I Want) 全2曲
アーカイブ
第1回:STRAY『嵐の宮殿』第2回:レーナード・スキナード『SKYNYRD’S FIRST AND...LAST』
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第4回:マイケル・シェンカー・グループ『ASSAULT ATTACK』
第5回:シルヴィ・ヴァルタン『シルヴィ・ヴァルタン・ベスト』
第6回:サンハウス『ドライブ』
第7回:ザ・ルースターズ『VIRUS SECURITY』
第8回:泉谷しげる『泉谷しげる登場』
第9回:丸山圭子『黄昏めもりい』
第10回:HOME『HOME』