DONUT

La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記

La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記
暴動クラブのベーシスト、城戸 “ROSIE” ヒナコが毎月、1枚レコードを紹介するコラム。
●プロフィール:城戸 “ROSIE” ヒナコはロックンロール・バンド、暴動クラブ(海外ではVoodoo Club)のベーシスト。メンバーは釘屋 玄(vo)、マツシマライズ(gt)、城戸 “ROSIE” ヒナコ(ba)、鈴木壱歩(dr)の4人。平均年齢20才、ワイルドで荒々しく挑発的なロックンロールでライブハウスシーンを席巻中。昨年12月に行った二度のワンマンライブはそれぞれ即完。今、最も注目されているロックンロールバンド。■X:https://twitter.com/Voodoo_Club_ ■Instagram:https://www.instagram.com/voodooclub_japan/

第2回:レーナード・スキナード『SKYNYRD’S FIRST AND...LAST』

2024.2.26 upload

2月某日 雨のち曇り

Bonjour、1ヶ月ぶりのRosieです。イエイ。

第1回の原稿をああでもないこうでもない、と眠気まなこを擦りながらPCと睨めっこ、パチ、パチ、と下手くそなタイピングを夜な夜な打ち鳴らしていたのが本当に昨日のことのようで、あれからもう1ヶ月も経ったのかと思うと、ああ悲し!「時」が命を齧るのだ、姿の見えないこの「敵」は、人の心を蝕んで、僕らが失う血を啜りいい気になって肥え太る!(ボードレール『悪の華』第十「敵」より)

えー、中二病はさておき、本当に時の流れの早さにはいつも恐怖と切なさに襲われてどうにかなってしまいそうになるので普段はあまり考えないようにしています。かつて鼻垂れ小僧ならぬ生意気小娘だった時分は、一丁前に大人の真似なんかして「もう2月? 早すぎ〜」なんてキャピキャピ言わせていただいておりましたが、最近は身をもってその“早さ”とやらを否が応でも実感するようになってしまって、全然笑えないっす。キャピキャピとか、言うてられまへんっす。普通に焦るっす。ああ、これが俗にいう大人の仲間入り、ってやつなんでしょうか。

ええ、そうです、そうなんです。私事ですがつい先日誕生日を迎えまして無事20歳、ハタチ、正真正銘、大人の仲間入りをしてしまったんです。わーい!

恐ろしいとかなんとか散々ここまで言ってきましたけど正直めちゃ嬉しいんです。実は。バリバリ喜んでます。もう、浮かれまくってます。
だってだって、夢にまで見たあのハタチだよ。待ちに待った大人の仲間入りだよ。自由だ!ロックンロールだ! 乾杯乾杯! うわーい!!!!!
と、このところいわゆるハイ状態、脳内がずっとラブ&ピース(ちょうどヨーコ・オノ氏と誕生日が1日違いだし)状態なワケです。

いくら成人といったって、たかが自分の誕生日でこれだけはしゃげるなんてワタクシはまだまだガキのようです、恥ずかしい。自分にとって「成人」や「大人」なんて言葉はホント、似合わなさすぎる肩書きです。ガキだけに(黙れ!)。
ライズといっぽにも「ひなこさんが20代ってなんか変」「永遠のティーンエイジャーって感じ」とかなんとか言われてしまいました。「きみたちもおんなじようなもんじゃい」と心の中でひそかに思ったのはさておいて、もっと自分の言動に責任を持たねば、と大人への第一歩に意気込む自分がいたかと思うといや無理! 普通に無理! 責任とか大人とか、そんな見捨てんといて急に! うちまだ中身新生児くらいやで! やっとバビンスキー反射習得したとかのレベルやで! そんなんがいきなり世の中放り出されてもちょ、ホンマどないしたらええのん! と、まあピィピィきゃあきゃあ駄々をこねる自分もいるので、これが彼らのいうところの“ティーンエイジャーって感じ”なのかもしれません。あるいはただの深刻な多重人格者か。
どっちにしろ最悪ですがまあもう色々とどうしようもないので、時の過ぎゆくままにこの身を任せるしかないっちゅうことっすわ。

コホコホ、第一回に引き続きまたもやショーモナイ話が長くなってしまいました。レコード日記だというのに、まだレコードのレの字も出ておりません。スミマセン。ほんと、俺の持ってる悪いクセです。早速ちゃんと本題に入ろーと思います。

今回紹介するレコードはこちら!
レーナード・スキナードの『SKYNYRD’S FIRST AND...LAST』(’78年)でございます。



レーナード・スキナードは、All man brothers bandなどと並んでサザンロックを代表するアメリカのバンド、そして私がここ最近一番ハマっているバンドです。
このバンドを知ったのはかつて私がまだピチピチ18歳だったあの頃(涙)、メタル好きのいとこが「ひなこはこのへん好きそう〜」ってすすめてくれたのがきっかけでした。その時はとりあえずディグ用のメモにはしたためたもののなんか別に聴いてみもしなかったのですが(いとこごめん)それから月日がだいぶ経った今、久々に刺さる音楽はないものかとApple Musicでディグっていたときにふと「そういえば」と、その時のことを思い出し、とりあえず彼らのセカンドアルバム『Second Helping』(‘73年)を聴いてみたんです。
するとまあそのいとこの予言はバッチリ的中、私の中で見事大ヒットを遂げ、毎週木曜放送ROSIEによるROSIEのための週刊ザ・ベストテンでは「Sweet Home Alabama」が4週連続1位を獲得、今のところ更新者無し、といったところでしょうか。



やれやれ、こんなことなら教えてもらったその日にさっさと聴いてさっさとハマればよかったわん、と自分の怠惰に後悔しながら久々のディグ成功に心踊らせ、早速るんるんでレコードショップにイン。ディグが成功したとき私は決まってレコ屋に駆け込むのだ。るんるんで。
するとすぐに目についたコチラの一枚。
私はムムム、としかめ面をしたあと、Apple Musicをサササと確認。(今のしかめ面が誰かに見られていまいかと、周りの様子もサササと確認)
『ナイ!』と心の中で叫んだあと、今度はそのタイトルをサササとググってみる。(今の叫び声が漏れていなかったかと、もういちど周りもサササと確認)
すると「デビュー前未発表音源集」「ファーストにして、ラスト」などというあまりにも興味深すぎる文字が次々と目に入ってくる。
「こりゃアツいぜ!」と、まるでアメリカ映画吹替版ばりのキザなセリフを(もちろん心の中で)吐き捨てるが早いか私はもうそのレコードをしかと抱きしめ、誰にも取られまい、と周りをサササと確認するどころかもはや威嚇さえしながら一心不乱にレジの方へと向かっていた。
そしてほとんど無意識状態で会計を済ませ、気付いた時にはもうレジ袋に入ったレコードが手元にぶら下がっていた。
「ああ、結局買ったんだ」と我に帰った私は自分の一連の行動をあたかも他人事のように評価したあと、るんるんで帰宅。

レーナード・スキナードは‘73年にデビューしたが、‘77年、ツアー中の飛行機事故でメンバーの3人が亡くなりそのまま解散、というなんとも悲劇的なラストを迎えている。
そしてこのコンピレーションアルバムが出たのは解散翌年の’78年だが、この音源が録音されたのはデビュー前の‘71〜72年にかけて。英語版Wikipediaによると元々この録音こそが彼らのデビューアルバムになる予定だったらしい。まさにファーストにしてラスト!

ジャケ表には『SKYNARD’S FIRST AND…』までしか書かれておらず、「さあはやく続きを言え」と言わんばかりにジャケを裏返せばそこにはぽつりと『LAST.』の文字が。なるほどそういうことか、と思わずニヤリ、表にあえて最後まで書ききってしまわないところになんともロマンチックなセンスを感じ私はワクワクした。こんな遊び心もフィジカルならではのお楽しみである。そういうの大好き。



さて、A面1曲目はゴキゲンなロックンロールナンバーでスタート。やはり期待を裏切らない。思わずぶっ飛ばせー! と叫んでしまいたくなる感じ。“ロックバンド、かくあるべき”である。私のイチオシは横ノリで少し重たい感じの4曲目「Was I Right or Wrong」、そしていかにもサザンロックぽい(知らんけど)、個人的には夕焼けの高速道路で聴きたくなるような(知らんがな)、ベースとギターソロがかっこいいB面2曲目「Comin’ Home」、あでもその次の曲も、あやっぱ最後の曲も最高だったし、うん、ごめん、全部好きです。イチオシとか、なんか、選べへんわ。すいません。

サザンロックはこう、60年代までのブリティッシュビートとかロックンロールとかに比べるともっとブルースの影響が顕著、といったらいいのでしょうか、音もノリもより重たいのだけど、ハードロックやメタルよりは全然ソフトでライトだしシンプルだからきっと誰が聴いても聴きやすいと思うし、ものすごくかっこいい。
それによく耳を凝らして聴いてみると、激し目な曲でもアコースティックな曲でも、いろんな音が重なってるのがわかって、聴いていてすごく楽しいんです。飽きない。
これをレコードの音圧、臨場感で聴けるのは最高、やっぱりあの時無意識状態で買ってよかったよ神様!

サブスク時代にフィジカルを買うことにはそれぞれ色々な意味があると思うのですが、こうしてサブスクにはない音源を見つけたときの高揚感、そしてここで逃したらもう次はないよ。今ここで買うしかないよ、あんた。いいの。と、神様、あるいはそういった類の何者かから忠告、脅迫されているかのような錯覚に陥ってしまう一期一会的な出会い、それから今回のような遊び心あふれたジャケットなどなどが、レコード好きの購買意欲に火を、いや、天高く燃え盛る炎を良くも悪くもつけてくれるのです。
ああ、こうなったらもうお財布空っぽバンザイフェスティバル〜給料日までもう待てない〜 を開催せねばならぬ。ふふふ、別にいいもんねー。

また前回に続いて長くなってしまいました。元々、何か書き始めると止まらなくなってしまうタチなんです。まあハタチ・ハイだったワケだししょーがないってことで、またなんやかや適当な口実をつけて来月も長くなるかもだけど呆れずまた読んでほしい、です。結構切実です。 その頃にはきっとハタチ・ハイも流石に失速しているでしょうから、もっと読みやすいくらいの長さに凝縮できるよう頑張ります。なるべく、ネ。

ではまた次回、世の中が私のことを忘れかけ始めた頃にまた戻ってきます。
お楽しみに。 サリュ;)

愛と平和と、ロケンローっ   城戸“ROSIE”ヒナコ



中はこんな感じ!かっこいいー!

英語版Wikipediaによると1997年に、内容は少し違うのですがこのアルバムの再発盤が出ているらしくそちらのバージョンはサブスクにあるみたいでした。しかも、拡張版!
かっこいいのでもし聴いたことなければ、ぜひ!



© 2024 DONUT

暴動クラブ INFORMATION

配信シングル「恋におちたら」
2024年2月14日リリース
収録曲:恋におちたら/俺のあの娘 全2曲


7インチ・レコード「暴動クラブのテーマ」
2023年11月3日 レコードの日 リリース
収録曲:暴動クラブのテーマ/Money(That’s What I Want) 全2曲

LATEST ISSUE

LATEST ISSUE

PODCASTING

池袋交差点24時

STUDIO M.O.G.

STUDIO M.O.G.

amazon.co.jp

↑ PAGE TOP