DONUT


© David Titlow

2025.05.03 upload

Us(アス)来日公演直前企画
ガレージロックバンド、Us(アス)の来日公演開催間近。
日本のロックンロールバンド、暴動クラブの釘屋 玄はUsのライブ盤をこう聴いた!


昨年、初来日を果たした「FUJI ROCK FESTIVAL ‘24」では前夜祭を含む4日間で計6ステージに出演。その後、WWW Xにて行われた単独公演(2024年7月30日)でも熱狂のロックンロール・ショウを繰り広げ、その名を刻んだフィンランド出身の5人組、Us(アス)。テオ・ヒルヴォネン(vo&gt)、マックス・ソメルヨキ(gt&vo)、パン・ヒルヴォネン(hca)、ラスムス・ルオナコスキ(ba)、レーヴィ・ヤムサ(dr)からなる彼らはハーモニカ担当を擁するメンバー編成でガレージパンク、ブルースなどのルーツを血肉とし、イギリスを活動拠点に世界へとロックンロールの熱を広げている。その熱波は世代を超えたロックファンに届き、今年5月に早くも再来日公演が実現。いよいよ開催が来週末に迫ってきた。そして、ロックンロールの熱を広げているのはUsや海外のバンドだけではなく、いま、日本でも各地のライブハウスで再び若手のロックンロールバンドのシーンが盛り上がりを見せている。その筆頭といえる暴動クラブは4月に行ったリキッドルーム・ワンマン公演で洋楽邦楽さまざまなカバーを織り交ぜながら自身のオリジナリティを確立。幅広いファン層が集まるフロアを前に白熱のステージを展開した。
今回DONUTではUs(アス)の再来日公演を記念して、暴動クラブのフロントマン・釘屋 玄にレビューを依頼。4月23日にリリースされたUsのライブ盤『ウィー・アー・アス!ライヴ・イン・ジャパン 2024』の感想を綴ってもらった。日本のロックンロールバンド、暴動クラブの釘屋 玄はUsをどう聴いたのか!?――編集部のレビューとあわせて掲載する。ぜひチェックして、5月11日からスタートする来日ライブを楽しみにしてほしい。

Us:ライブ盤『ウィー・アー・アス!ライヴ・イン・ジャパン 2024』レビュー


Us/I Wanna Be Your Lover (Live in Japan 2024)


Us/『We're Us! Live in Japan 2024 (Live) 』2025年4月23日リリース


●Review from 釘屋 玄(暴動クラブ)
Us(アス)っつうロックンロール・バンドがいるらしい、というのは去年のフジロックとかの評判できいていた。けど、同年代でロックンロールをやってるヤツらってことで、変なトガり方をしてて、聴いてなかった。けど、今回こういうの書くってなってマジメに初めて聴いた。まごうことなき純粋なロックンロールだ!! 説明不要なカッコ良さだ!! ただ説明しない訳にはいかないので、僭越ながら。
今回ライブ盤とのことですが、とにかく全トラックが、超ラウドかつハイテンション。でも曲終わったら毎回日本語で挨拶してくれてて最高。わたくし、ロックンロール、99%のカッコつけと1%のチャーミングさが大事だと思っております。今日び珍しいことにハープ専門担当のメンバーがいるのも、カッコいい。タイトな演奏の中にイカしたハープがここぞという時で入ってきて、シンプルなのにダイナミズムが凄まじい。意外と今までにないタイプのロックンロール、つうかハードブルース?? とにかく、カッコいい。
セットリスト2曲目、「Citroen Blues」の一節、「If I break an egg while driving my Citroen, I'm gonna lose this war」。シトロエンの2CVっつう偉大なクルマがありまして、フランスの石畳の上を爆走してもタマゴが割れないようにソフトな設計だったらしい、というのは男の子みんなが知ってる周知の事実だけども、これを歌詞にするのがシャレ&男のロマンだなぁ。ロックンロール・バンドはいつだって男子のロマンを捨ててはならないし、それを持った上で女子をキャーキャー言わせてナンボ、みたいな。ムッシュもなんかに凝らなきゃみたいなこと言ってたし。
バンド全体のアプローチ的にはいわゆる“パブロック”的なものを強く感じるけども、節々でメンバーそれぞれのルーツを感じられるプレイがあるのも、非常に勝手ながらシンパシーを感じる。ロックンロールは温故知新だ!!!
8曲目「Got to know」の間奏のギターがブルースの「Hideaway」ぽかったり、ディランのカバー「I wanna be your lover」も、爆速ガレージ・スタイルで始まったあとのサビの部分が、原曲よりもレイチャールズ的な重たいドラムだったり……。爆速3コードで押し通すセットリストだと思ってたら、フォーキーな「Carry your bag」が始まって驚いたりした。ジミヘンぽいギターオブリが引っ張っていく曲で、バンドのルーツが見えて、楽しい。メンバーと居酒屋とか行って喋ったら超楽しそう。
一介の音楽マニアとしてニヤニヤしてしまう瞬間が18曲、1時間弱という長さの間に数え切れないくらいある。フィンランドっていうと多分地球の真反対くらいの場所にあるけども、こんなにイカしたロックンロール・バンドが、同年代で現在進行形でやってるっていうのは心強い。負けてられん!!(釘屋 玄/暴動クラブ)


●Review from DONUT
Us(アス)の名前は、昨年のフジロック出演におけるラインナップ発表の際に初めて知った。どんなバンドだろうと気になって調べてみると、飛び込んでくる音の熱量にまず圧倒された。そしてフジロック3日目・レッドマーキーでのステージを目にし、さらにぶっ飛んだ。5人のメンバーひとりひとりがサウンドの要となり、ブルースに根差したロックンロールを瑞々しく鳴らす姿にワクワクした。その姿が、ロックンロールは世界共通言語だと体現していた。今回、再来日公演を前にリリースされたライブ盤は、そのフジロックの余韻が残るなか、WWW Xにて開催された単独公演をパッケージした音源となる。1曲目「Black Sheep」で熱狂の幕開けを堂々と告げると、矢継ぎ早にロックンロールナンバーをプレイ。歌、メロディ、サウンド、リズムが一体となってグルーヴ感を生むなかで、パン・ヒルヴォネンのハーモニカが楽曲の色味を増す。フィンランドのプログレバンド、ウィグワム(Wigwam)のジム・ペンブロークのカバー「Just My Situation」では抒情的なサウンド展開を見せるなどの手腕も楽しめ、「Paisley Underground」ではハードかつメロディアスなポップセンスが炸裂。ボブ・ディラン「I Wanna Be Your Lover」など、カバーの高速バージョンも聴きどころで、フジロックでもひと際大きな盛り上がりをみせた「Night Time」は彼らのエネルギッシュなパワーが迸る真骨頂といえる。また、ポップな風を吹かせたライブバージョン「Hop On A Cloud」、曲展開の妙に驚く「While You Danced」と豊潤な音楽性を窺わせ、多くのミュージシャンに愛される名曲カバー「Say Mama」はこちらも原曲よりもハード&スピーディなナンバーに。本作ラストに収録された2回目の「Black Sheep」が、このライブの充実度を物語っている。Us(アス)の鳴らす音楽は王道のガレージパンク、ブルース、ロックンロールを軸にしたものだが、こうしてライブ音源を聴いても懐古主義的な要素はまるでない。あふれるロックンロール愛と、音楽性の懐の深さや遊び心、大胆かつ斬新なアレンジなど、いま鳴らされるロックンロールがここにある。以前、メールインタビューで曲作りで大切にしているポイントについて聞くと、テオ・ヒルヴォネンはこう答えてくれた。「間違いなく、音楽的にも歌詞のレベルでも、曲は常に面白くなければならないと思う。どういうことかと言うと、曲を長引かせたり、不必要に長くしたりしたくないんだ。ダイナミクスもとても重要だし、いつも同じような曲を書かないということも重要だ」。だから彼らが鳴らす音はいつだって新しい。ライブ盤の最後にも収録された「必ず来年戻ってくる」という約束が果たされるのももうすぐだ。(秋元美乃)

© 2025 DONUT


Us/Live at FRF'24 - Paisley Underground

LIVE INFORMATION

Fuji Rock Caling presented by Fuji Rock Festival
「Us(アス)Japan Tour 2025」

■ 2025年5月11日(日)梅田Shangri-la
Support act:天国注射(from Fuji Rock Festival 2024 ROOKIE A GO-GO)

■ 2025年5月12日(月)渋谷CLUB QUATTRO
Support act:HOME(from Fuji Rock Festival 2024 ROOKIE A GO-GO)
Special MC:魔将軍チャッキー(from Fuji Rock Festival 2024 ROOKIE A GO-GO)

■ 2025年5月13日(火)新代田FEVER
Additional Headline Show 単独公演

■ チケット:https://smash-jpn.com/live/?id=4379

公式サイト:http://www.usbandofficial.com/
日本公式サイト:https://www.sonymusic.co.jp/artist/Us/

SUPPORT ACT INFORMATION

【天国注射】

プロフィール:2021年結成、2023年1stEP「天国注射の一枚目」、2024年1stアルバム『春彦』リリース。

【HOME】

プロフィール:2020年結成。seigetsu(vo)、o-png(pc)、shun(gt)からなる、沖縄を拠点とする3人組。現行のインディーロックやクラブミュージックとも共振しつつも、普遍的なポップスを志向する。アジアをメインフィールドとしながら、その眼差しは世界へと向いている。

【MC:魔将軍チャッキー】

プロフィール:魔界からやってきた永遠の666歳。2017年の「FUJI ROCK FESTIVAL」ROOKIE A GO-GOオーディションに応募したところ、ROOKIE A GO-GO初の司会者として選ばれる。以降、コロナ禍を除き毎年ROOKIE A GO-GOの司会者として真夜中の苗場の森に出没している。音楽活動としてはフォークメタルバンド「JADE FOREST COMPANY」や、ホラーパンクメタルバンド「マモノ」などで人間界で活動中。

暴動クラブ INFORMATION


カバーCD『VOODOO SEE,VOODOO DO』
2025年4月2日リリース
※CDのみの発売で、配信等はありません
収録曲:01. つ・き・あ・い・た・い/ 02. I‘M FLASH(ホラ吹きイナズマ)/ 03. スローなブギにしてくれ(I Want You)/ 04. タイムマシンにおねがい/ 05. 上を向いて歩こう

ライブ情報など最新の情報はこちらをご確認ください。
https://voodooclub.fanpla.jp

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