2025.04.23 upload
山中さわお『あの花はどこに咲いている』インタビュー
バンド名はなくなってしまったけど、ロックバンドをやっている気分です―― 山中さわお
2025年4月23日、山中さわおが10枚目のアルバム『あの花はどこに咲いている』をリリース。wash?の奥村大をプロデューサーに迎えて、録音されたアルバムはいつにも増して強さと揺るぎなさを示した作品になった。奥村の貢献もありながら、長きに渡って山中の作品に参加しているミュージシャンたちとともにつくるサウンドがより強固なバンドへと成長していった結果だという。歌詞も、社会との軋轢を歌った曲やラブソングまで幅広い。ピロウズは解散してしまったけど、山中さわおのロックンロールはいつものように鳴っている。木村祐介(gt/ArtTheaterGuild)、奥村大(gt/wash?)、安西卓丸(ba)、関根史織(ba/Base Ball Bear)、楠部真也(dr/Radio Caroline)、オータコージ(dr)を迎えてレコーディングした「山中さわお」というバンドのアルバムを楽しんでほしい。このインタビューは2025年6月上旬に発売するDONUT 19(表紙・巻頭特集=山中さわお)から先行で掲載した。
●取材=森内淳
■ 一大決心して「このアルバムでプロデューサーをやってくれないか」という感じではなかった
―― 『あの花はどこに咲いている』はピロウズが解散して、山中さんがソロになって最初のアルバムになりました。心機一転みたいな気持ちはあったんですか?
そういったものはまったくなかったですね。というのも、ここ数年はピロウズのツアーが終わるとソロアルバムを出してソロのツアーをやる、そしてまたピロウズのツアーがやってくる、ということをずっと繰り返していたので、このアルバムも、デモづくりを入れると2024年の夏くらいからやっていたんです。そのときはピロウズを解散すると考えてなかったし、「FED UP! TOUR」も1年くらい前に会場をおさえていたので、自分もマネージャーもピロウズの解散に関係なく、いつもどおりのルーティンで動いてたんですよ。結果的にピロウズが解散したので「ピロウズ解散後の本格的な一作目」というふうになってるんですけど、最初からそういう意図や意思があったわけではないんですよね。
―― なるほど。いつものルーティンのなかで、いつものように、レコーディング作業を淡々とやっていたんですね。
そうです、そうです。
―― 今回、プロデューサーは山中さんではなく、wash?の奥村大さんを起用しました。
(奥村)大ちゃんは仲のいい後輩であり友達で。彼はすごく機材に詳しいんですね。ギターとかアンプとかエフェクターに関する知識が自分とはすごく大差があるというか、ものすごくそこに特化した人なんです。自分がそういうことに極端に疎い人間なので、例えば、世界中の音楽を聴いて「これはどんなふうに録っているんだろう?」と思ったときに、その答えにたどり着くには膨大な時間がかかったり、もしくはたどり着けないこともあるんです。だけど、大ちゃんは「おそらくこういうことではないか?」ということをパッと嗅ぎ分けられる。よく一緒に飲んだりするんですけど、そのときに「あのエフェクターってどうなの?」とか、いろいろ機材に関する質問をするんですけど、圧倒的な知識で答えてくるんですよ。たまに俺の想定を超えてくるから、何をいってるのかわからないときもあるくらいで。
―― 奥村さんは知識量が半端じゃないんですね。
大ちゃんはいつも「今度、レコーディングのときに呼んでくれたら、機材を持って遊びに行きますよ」みたいなことをいってくれてて、「あ、ほんと。ありがとう!」なんて、俺もいいながら、実現には至ってなかったんです。それで今回、「ちょっとスタジオに呼んでみようかな」と思って、来てもらったんです。
―― そういう経緯があったんですね。
だから、最初はプロデューサーじゃなく、「ギターの音だけつくって」みたいな、ギターサウンドのアドバイザーのようなことをやってくれればいいな、と思ってたんです。だけど、大ちゃんもソングライターとしてキャリアが長いので、レコーディングをやっていると、ポロッと面白いことをいうんですよ。そういう意見も取り入れながらやっていたので、途中で「大ちゃんの表記なんだけど、プロデューサーにしていい?」みたいなことになって。大ちゃんも「あ、マジすか? 嬉しいっす」みたいな感じで(笑)。
―― 成り行きだったんですね(笑)。
一大決心して「このアルバムでプロデューサーをやってくれないか」という感じではなかったですね。ヌルっとプロデューサーに就任したというか。プロデューサーという肩書を得てからは、スネアのチューニングだったりとか、全体のアレンジとか、ギターじゃないことに関しても意見をもらったりしましたけど。
―― 第三者が入ってのレコーディングはどうでしたか?
いくら音楽をつくる才能があったとしても、自分でつくったデモテープを100回聴いたら、だんだん「これでいいんじゃないか」ってなれてきちゃったりもするんですよね。ところが、白紙の状態で来た第三者がデモを聴いたときに「ここ、何か引っかかるな」「スムーズじゃないな」「美しくないな」ということに気づくことがあって。自分が他のアーティストをプロデュースするときにも、プロデュースされる側がデモをもってくるんですけど、実は、俺、あんまり聴かないんですよ。当日、スタジオに行ってパッと聴いたときに「うん? ここがわかりにくい」っていう、最初に音を聴いたときの反射神経というか、ひらめきのほうを信用していて。それが一番リスナーに近いポジションだと思うんですよ。レコーディングメンバー全員に才能があったとしても、第三者がいるのはいいな、というのはありましたね。例えば、ピロウズも長い間、吉田仁さんにプロデュースしてもらってたんですけど、途中から自分が何をしたいのかがはっきりとわかって、自分でプロデュースをやろう、というのを続けてきたんだけどね。でも、まあ、そこは行ったり来たりですよ。気分がいろいろ変わるので。
―― 今回のアルバムに関しては、奥村さんの参加はいい方向に出た、と。
そうですね。参加メンバーは、音楽以外の面でも、大ちゃんがいてくれてよかったんじゃないですかね。というのも、大ちゃんはスタジオにやって来た瞬間から明るくて、ずっとポジティブで、意見交換するときも、まずは褒めてから「こんなのもやってみようよ」っていう提案の仕方だったから、みんなが元気にやっていけたんです。俺の場合は、まったく強く当たったりはしないんだけど……「まったく」は嘘か(笑)……そんなに強く当たることは少ないんだけど、二日酔いだったりとかで、元気がないことが多くて(笑)。テンションが低いことが多い上に、メンバーに気をつかわないので、「おはようございます!」っていわれても、頷くくらいの低いテンションだと、そこに緊張感が漂ってしまうんですよ(笑)。
―― ちょっとピリッとしますよね(笑)。
そうそう(笑)。そういうムードを変えてくれるのは、レコーディングではけっこう大事で。圧倒的に音楽力で助けてもらったけど、意外とそういうところがいい相乗効果を生んだんじゃないかなって思ってます。
―― 例えば、奥村さんがいたことで、山中さんがつくったデモと全然違う仕上がりになったという曲はあったりするんですか?
それはないですね。大ちゃんの気持ちはよくわかっていて、長年、先輩・後輩として付き合ってきて、スタジオに入って途中から「プロデューサーでいいか?」っていうヌルっとした感じでプロデューサーになったので、思っていてもいえないことがあったと思う。大ちゃんとあと2枚アルバムをつくったら、例えば、3部作だったら、3作めでようやく思ったことをいいだすと思う。いや、なかなか先輩に対して、いえないですよ。だから今回のアルバムに対しても、思うことはあったと思う。ただ、俺もそうなんだけど、プロデューサーを専門としてはやってないわけじゃないですか。現役のミュージシャンであって、その傍らでプロデュースをしているので、いわれる側の気持ちもわかるんですよ。プロデューサーをメインにやっている人はいいたいことを強くいえると思うんですよ。その代わり絶対に売ってやる、みたいな熱量もあるけど、大ちゃんとか俺はそうではなくて、どこかでミュージシャンのやりたいことを尊重した上で、ブラッシュアップしようという考え方だと思うんですよね。
―― サウンドがよりひとつの方向を向いたような印象もありましたが、そういう手応えはありますか?
それは10枚目だからじゃないかな。プロデューサーがいなくても、違う方向だけど、ひとつの方向に向いていたと思う。俺とエンジニアの2人の世界で進んでいったと思う。今のソロバンド……あのね、ちょっと話がそれますけど、ピロウズが解散したから、ソロバンドっていう言い方はおかしいんですよ。癖でどうしてもソロツアーっていうんだけど、考えてみれば、奥田民生ソロツアーとか斉藤和義ソロツアーとかいわないじゃないですか。
―― いいませんね。
だけど、俺、ついこないだまでピロウズをやってたから、いっちゃうんだよなあ……話を戻すと……今のメンバーで何枚もアルバムをつくってきたので、だんだんバンドが説得力を身につけてきたんだと思います。ピロウズもそうだったんだけど、35年前の初期の頃って「これがピロウズだ」という武器を携えていなかったので、俺がいろんなタイプの楽曲を書いたときに、まとまってない印象になるんですよ。そのときの若い俺は「いろんなことをやりたいんだけど」って思ってたんだけど、説得力がないから、みんなに「何をやりたいのかわからない」って、いわれてたんですね。ところがそこから10年が経って、俺は相変わらずいろんなタイプの曲を書いていたんだけど、バンドが説得力を身につけると、誰もそのセリフをいわなくなるんですよね。音楽とかバンドって、理屈で説明できないことが積み重なって、各々の魅力を発するものなんだなあと思いましたけどね。
―― 今回は、ギターに、ArtTheaterGuildの木村祐介さんとwash?の奥村大さん。ベースに安西卓丸さんとBase Ball Bearの関根史織さん。ドラムにRadio Carolineの楠部真也さんとオータコージさん。このメンバーとはかなり長くやっていますからね。
真也、卓丸、史織、祐介の4人とは、もうかなりやってますね。5年くらいかな。もっとかな。真也とはもう10年以上やってますね。
―― 山中さんのなかでひとつのバンドとして固まってきたという手応えがあるんですね?
あります。
■ 必ずしもラブソングが恋愛感情とリンクしているかというと、そうではないときもある
―― 収録曲はいつものように徐々につくっていって、9曲たまったからアルバムにしよう、ということだったんですか?
最初は6曲でミニアルバムをつくろうと思っていたんだけど、そのあとに曲がポロポロとできてきて。それじゃフルにしようかな、と。もう何年も前にメジャーレコード会社をやめて、自分のレーベルから出しているから、例えば、ツアーに関していうと、1年くらい前にスケジュールを組むんですけど、ツアーのときに新曲がなくてもいい、シングルでもいい、ミニアルバムでもいい、フルでもいいっていう感じで、すごく自分の気分次第で動けるんですよね。しかも自社スタジオもあるので、すごく自由度が高いんですよ。スタジオが空いていたら、エンジニアと2人でミックスルームだけ使って、曲の種となるものをつくるとかね。それを家で聴いて、気分が乗ってくると歌詞ができて、ちゃんと歌ってみたい、となったらまたスタジオに入って。そこで手応えがあったらメンバーを呼んで合わせてというふうにつくっているから、俺の場合、かなり特殊だと思うんですよ。メジャーで契約がある方は、この時期にこういうフルアルバムをつくりましょう、ここでスタジオをおさえますね、みたいなことになるわけで。
―― 予算がこれだけしかなくて……みたいな話にもなりますよね。
そうなんですよ。以前は自宅で弾き語ったものをICレコーダーに雑に記録して、気に入ったものがあったらスタジオに行くという感じだったんですけど、最近は手ぶらでスタジオに行って、エンジニアを待たせながら、その場で曲のイントロだけを考えて、気に入ったら、それに続くAメロを考えて、気に入ったらBメロとサビを考えて、というのをやってるんです。デタラメでもいいから歌詞も書いて、大きい声で歌って。「じゃあもう1曲やろう」みたいな、筋トレ的なこともやっていますね。もちろん、それがボツになったり、結果、すごく気に入ったりとか、必ずしもゴールを迎えるわけではないんですけどね。何の用事もない休みの日というのが本当に苦手で、寝起きからずっと酒を飲んじゃうので、緩和の為にそういうことをやっています。とにかく音楽をやってない時間が面白くないんですよ。
―― そういう環境があるから、このスピード感で作品をリリースできるわけですね。
そうです、そうです。アルバムのなかでいうと、「Tower of the flame」、「あの花はどこに咲いている」は早い段階であった気がしています。「不夜城のクレマチス」も早かった。「Fed up!」は中間くらい。で、あとからドドドっと「 I’m insane」とか「ハルシネーション」とか「My Prayer」とか「Have a good life!」をつくりました。
―― 今回のアルバムを聴いて思ったのが、社会との軋轢を抱えた曲とラブソングが同居していて、いつもよりラブソングの比重が高いのかな、という印象があったのですが。
まあ、そうなんですけど……ネタ帳みたいなものにメモるタイプなんですね。歌詞だけではなくて、MCネタもネタ帳にメモするんですよ。とにかく準備を怠らないんです。ピンチのときに助けてくれるから。なので、そのときに見た映画とかの影響がけっこう大きかったりもするので、ラブソングが多いっていわれても「ああ、そうか」って感じなんですよ。
―― 社会との軋轢に対する怒りの感情とラブソングのもつロマンチックな情景がひとつのアルバムを形成しているような気がしていて、面白いなあ、と思ったんですが。これは意図的なものではないんですね。
必ずしもラブソングが恋愛感情とリンクしているかというと、そうではないときもあるんですよね。例えば、バンドが上手くいっているときの喜びの歌詞がラブソングになったり、その逆が、辛いラブソングの歌詞になったりもするんですよ。そういうことのほうがわりと多いんですよね。もちろん、ちゃんと恋愛をして、ラブソングを書いたことは何度もありますけどね。だから、歌詞に関してはいつもこちらの意図が伝わりにくいというか、すごく歌詞を大事にしてると思われがちなんですよ。歌詞は重んじてますけど、みんなの想像とは違うというか。俺の場合はメロディとリズムありきなんです。このメロディとリズムに歌詞がどう心地よく乗るかが大事なんです。心地よく乗らない場合は、歌詞の意味のほうを捨てて、心地よく乗る言葉を優先するっていうふうに、ずっとやってきてるんです。すごく歌詞の意味を大事にしていると思われるんだけど、ここの1行は実は何も意味がないということが全然あるんですよ。そこがね、あんまり伝わらないんだよなあ。「ストレンジ カメレオン」とか「Funny Bunny」とか、歌詞がいいとされてきたので、そうなるんですけど……あんまりそうでもないんですよね(笑)。
―― そんなことないでしょ(笑)。
それね、何回もいってるんだけど、「またまた〜」とかいわれて、なぜか信じてくれないんですよ(笑)。
―― 今回のアルバムだって、みんな、意味を探ろうとすると思うんですよね。それだけ言葉のチョイスが秀逸というか。そういえば、山中さんは自分の歌詞では絶対に使わない言葉ってありますよね。
そうですね。基本的には佐野元春症候群ですからね。コレクターズの加藤(ひさし)さんやピーズのハル(大木温之)くんの歌詞は好きなんだけど、彼らは、俺が絶対に使わない単語を使うんですね。だけど、佐野さんは使わないんですよ(笑)。俺は佐野元春病なので(笑)。
―― 山中さんはどういうふうに歌詞を書いていくんですか?
歌詞を書くときに、自分の脳内に「キミとボク」という登場人物がいて、彼らが勝手にドラマを進めていくと妄想するのが得意なんですね。そのときの景色とか天候とか気分とか「彼女に何といってほしいんだ?」「ボクは彼女になんといってあげたいんだ?」という妄想で進んでいくんですよ。その妄想癖とネタ帳をすり合わせて、歌詞をつくっていくという感じなんですよね。だから「あの花はどこに咲いている」も、メロディから「このなかに出てくるボクとキミは切ない物語だよな」という妄想が浮かび上がってきて。その世界に入っていったら「その森の入口はマンチニールの焦げた匂い」という一節が出てきて。マンチニールというのは人間が触れただけで死んでしまうという猛毒の木なんです。「その木はどういう状態なんだろう?」と思ったときに、落雷でボロボロだけどまだ立っているという。そんな恐ろしいところに、その森がある、というように、自分のギターのフレーズや曲の世界のなかで、どの俳優がどういうふうに演じて物語をつくっていく、みたいなことを妄想するんですよね。
―― 小説家とかドラマの脚本家のような感じなんですね。
この曲を映画化するのなら、女性は深津絵里さんだなあ、とか、男性のほうはちょっと上だけど、今より10年若い役所広司さんがいいかなあ、とか。そうやってこのストーリーが進んでいく、みたいな感じでつくるんですよ。
―― じゃあリスナーとしてはその物語を純粋に楽しめばいいんですね。
ただ、肝心なことを説明していないことが多いので、そこは聴いた人が自分の世界に勝手に当てはめてくれていいと思います。
―― そこはリスナーの醍醐味ですよね。
自分はずーっとそういう作家なんですよ。
■普通に「ロックミュージシャン・山中さわお」の活動が続いていく
―― そんななかで、「あの花はどこに咲いている」がアルバムタイトルになったんですが、これはどういう思いで、タイトルにしたんですか?
理由はあるんですけど、おそらく、これもみんなの想像とは違っていて(笑)。『あの花はどこに咲いている』にすると、その曲を聴いていなくても、それぞれが何かを想像すると思ったんですよね。日本語のかっこいいタイトルを思いつく確率がものすごく低い俺が、珍しく日本語でいいタイトルを思いついたなあ、と。だからアルバムタイトルにしたという(笑)。ただそれだけなんです。
―― だけど、ツアー名は「FED UP! TOUR」になりました。
だって「あの花はどこに咲いているTOUR」ってヤバくないですか?
―― ロマンチックでいいじゃないですか。
いやいやいや、「あの花はどこに咲いているTOUR」だと、もうね、ゲーム好きが集まって、どこどこに行ってスタンプを10枚集めたら、その花をゲットできる、みたいな、そういう感じになるんじゃないかって思ったんですよ(笑)。なんだかロール・プレイング・ゲームみたいで、あんまりロックンロールを感じなかったんですよね。もう、なんかツアー名とかも、Tシャツにするときに「FED UP! TOUR」のほうがいいなあ、と思ったし。
―― たしかにTシャツにできませんね。
「あの花はどこに咲いているTOUR」のTシャツはヤバいでしょ、と思って(笑)、そこは反射神経なんですけど、「FED UP! TOUR」はTシャツにできる、とかパッと思ったことでツアー名を決める、みたいな感じですね。そういう反射神経は大事なんです。
―― 今後の山中さんの活動なんですが、ピロウズというルーティンの一角が崩れたわけですが……
たしかにそうですね。今まではピロウズ、ソロ、プレデターズ、カサブランカ、コラボみたいな感じで来ていて、そこからピロウズがなくなってしまったというだけで、普通にやっていきますよ。プレデターズに関してはJIROくんと高橋(宏貴)くんが忙しいので、そう簡単にはいかないと思うんですが、普通に「ロックミュージシャン・山中さわお」の活動が続いていくということですよね。奥田民生さんとか斉藤和義さんに、俺はなる(笑)。田島貴男さんでもスガシカオさんでもいいんですけど、とにかく自分で曲をつくって歌う人になったということですね。大昔はピロウズだけで活動していたわけじゃないですか? 気分的にはそれに近いですね。ただ、バンド名がないだけで、バンドなんですけどね。どっちかというと、ピロウズの後半のほうがソロ的な制作過程だったんですね。自分でデモをガッチリつくって、それを演奏してもらうというような。ソロのほうがバンドのセッションをやりながら、アルバムづくりをやってきたので、バンド名はなくなってしまったけど、本人の気分としては、まだロックバンドをやっているという気分です。
―― そのバンドでツアーに入ります。
自分もメンバーも多少なりとも力が入ってます。やはり35年続けたピロウズが解散して、初めてのツアー、そして今まではピロウズのライブにしか来なかった人たちが初めてソロにも来てくれる。そうなると、ちょっと試されている感じが出るじゃないですか。まったく別のバンドなのに、ピロウズと比べられると思うんですね。それこそ35年前にピロウズを結成したときに、ピロウズはKENZI AND THE TRIPSと比べられるという立場だったんですよ。自分と八田ケンヂさんは無関係なのに、来ている人たちは全部ケントリのファンですから「KENZIと比べて山中はどうなんだよ?」になるんですよ。無関係なのに。あのときの自分と同じようなことを、今、メンバーは感じてると思うんですよ。メンバーは気合が入っていますし、静かに燃えているのがわかりますね。
© 2025 DONUT
ロックンロールの物語をレコードするZINE
DONUT 19 2025年6月上旬発売
表紙・巻頭特集:山中さわお
●特集:10 DISCS by 山中さわお/FED UP! TOUR LIVE PHOTO STORY(写真=岩佐篤樹)/ロックンロールが降ってきた日/Who's Next/Like It!/Editor's Choice etc
●A4版/64p/オールモノクロ/1100円+税
●最速先行予約:https://mogstore.thebase.in/
RELEASE INFORMATION
10th Album『あの花はどこに咲いている』
2025年4月23日リリース
収録曲:01. Tower of the flame/02. Fed up!/03. Have a good life!/04. ハルシネーション/05. 不夜城のクレマチス/06. マイナーロール バーバリズム/07. あの花はどこに咲いている/08. My Prayer/09. I’m insane 【Bonus track】LIVE at SHIBUYA CLUB QUATTRO(2024.5.26 “I’M GOING CRAZY TOUR”):10. バモサ バイラール/11. オルタナティブ・ロマンチスト/12. タンブルウィード・ストーリー/13. どうかなりそう/14. Grumble/15. サイレント・ハミング/16. リーガル ラビッシュ/17.Hide and seek
購入方法:ライブ会場/RED BAT/BUSTERS SHOP
RED BAT:https://redbat.shop
BUSTERS SHOP:https://busters-shop.net/
LIVE INFORMATION
FED UP! TOUR
2025年
5月10日 (土) 東京・荻窪 TOP BEAT CLUB【A】
5月17日 (土) 長野・CLUB JUNK BOX【A】
5月18日 (日) 新潟・CLUB RIVERST【A】
5月24日 (土) 神奈川・F.A.D 横浜【S】
5月27日 (火) 兵庫・太陽と虎【S】
5月29日 (木) 島根・松江 canova【S】
5月31日 (土) 福岡・DRUM Be-1【S】
6月01日 (日) 広島・CLUB QUATTRO【S】
6月03日 (火) 静岡・UMBER【S】
6月13日 (金) 北海道・札幌 cube garden【A】
6月15日 (日) 青森・Quarter【A】
6月17日 (火) 宮城・仙台 LIVE HOUSE enn 2nd【A】
6月21日 (土) 大阪・Music Club JANUS【A】
6月22日 (日) 愛知・名古屋 JAMMIN’【A】
6月29日 (日) 東京・渋谷 CLUB QUATTRO【A】
参加メンバー:
Guitar:木村祐介(ArtTheaterGuild)
Drums:楠部真也(Radio Caroline)
Bass:安西卓丸【A】 / 関根史織(Base Ball Bear)【S】
※ライブの日程や時間は変更・追加になることがあります。必ず公式サイトやSNSでご確認ください。
公式サイト:https://yamanakasawao.com/y/