2024.11.12 upload
奏人心
EP「SEARCH感受YOUTH」メールインタビュー
本当の初期衝動をぜひ聴いて欲しい―― 永松有斗夢
奏人心のEP「SEARCH感受YOUTH」のサンプル盤をいただいてから今日までこの4曲を一体何度繰り返したかわからない。ロックンロールの初期衝動を凝縮したようなサウンド、歌。19歳ならではの言葉のチョイスで内なる感情を表した歌詞。そのすべてがロックしてロールしている。ロックンロールとはそもそも初期衝動を常に携えたもので、それがなくなった瞬間、ロールしなくなる。しかしながら初期衝動は長く続くものではないというのは嘘で、70歳を越えたブルース・スプリングスティーンがライブで歌うR&Bソウルの初期衝動ナンバー「凍てついた十番街(Tenth Avenue Freeze-Out)」を聴いてもらえれば一目瞭然だが、バンドが初期衝動を表現する感性を持っていれば、いつだって表現できるものなのだ。まだ駆け出しの、まだ19歳の、まだ未来がどうなるかわからない奏人心ではあるけれど、彼らにはそれができるという確信がある(根拠はない)。今回はメールインタビューだし、DONUT 18の誌上ではたった1ページでの紹介だったけど、近い将来、彼らが表紙のDONUTを出したいとさえ思っている。この素晴らしい初期衝動に読者の皆さんが出会えることを切に願っています。
●インタビュー作成=秋元美乃/森内 淳
――「16winter Boy’s」は音楽人生のスタートを歌ったような曲ですが、バンドを結成したのは16歳のときなんですか?
永松有斗夢 バンドを結成したのは16歳の頃ではなくて、17歳の頃です。「16winter Boy’s」はやりたい音楽があるのにやれない気持ちを歌ったものです。
―― 奏人心はどのようにして誕生したのでしょうか?
永松 高校の軽音サークル内で結成しました。
山路あげは 初めは軽音サークル内であとむ(永松有斗夢)と私が別のコピーバンドを組んでいて……
永松 ベース・ボーカルの僕とギターのあげはがスリーピースバンドを組もうと思ったときに、吹奏楽部でパーカッションをしていたドラムのまさと(今橋一翔)が部活を辞めたのでバンドに誘って結成しました。
今橋一翔 僕は興味本位でバンドに入ったし、バンドというものがどういうモノかを知らなかったので、ここまで続くとは思いませんでした。
―― そのとき思い描いたバンド像はありましたか?
永松 とにかく勢いのあるバンド。見ていて圧倒されるようなそんな熱さがあるバンド。
―― 3人はこれまでどんな音楽を聴いてきたのですか?
永松 3人とも共通して、ロック、パンク、オルタナティブです。
―― 奏人心(そうとしん)というバンド名はどうやってつけたのですか?
今橋 奏でる人の心という意味です。不意に自分たち3人のことを奏人心と呼び出したのがきっかけで奏人心というバンド名になりました。
―― 福岡在住にこだわる理由は?
永松 福岡でバンドを結成して、福岡でいろんな人に見てもらったのはそれは偶然なのか必然なのかは何も関係がなくて、ただ自分たちが生まれた場所を大事にしたいからです。
―― 福岡のライブハウスシーン、音楽シーンの魅力を教えてください。
永松 どんな音楽シーンよりも福岡にしかない魅力があるところです。
山路 泥臭さというか、日常のなかに音楽が溶け込んでいる人たちが沢山いて、他県でもそうなのかもしれないですが、やはりライブで見たときのぶっといモノを福岡のライブシーンには感じるなあと思います。
―― EP「SEARCH感受YOUTH」が完成しました。手応えを教えてください。
山路 自分たちでもこのバンドのジャンルがわかっていないのですが、奏人心のこれから始まるオリジナリティの先駆けとなる初期衝動的な作品が出来上がったなあと思っています。
―― レコーディングについて大変だったことはありますか?
永松 やっぱりボーカルのレコーディングはとても難しかったです。ライブのときと比べてボーカルの声が浮き出るので難しかったです。
山路 言葉の通り、普段やっているライブは「ライブ」なので、そのときの自分たちの感情とか状況とかが細かい部分に出ています。レコーディングは、それを何度も聴けるようになる媒体が生まれるというプレッシャーをとても感じながら集中して挑みました。
今橋 体をずっと動かしていたので何時間も続けてドラムを叩くのは大変でした。
―― ライブのような作品になっています。こういうサウンドにした理由あるいはこだわりやテーマがあったら教えてください。
永松 バンドの初期衝動感をそのまま作品に残すという思いがあったからです。
―― 2〜4曲めは永松さんの孤独を投影しているように思うのですが、歌詞は体験にもとづいて書かれることが多いのですか? それとも同世代の人たちの心情を歌ったものでしょうか?
永松 自分のなかにあるものを歌っています。お客さんに対して歌うよりも、自分のなかにあるものを歌って、それをただ受け取ってもらえるように歌詞は書いています。
―― それに対し1曲目のリード曲はより物語性がある歌詞になっていて、私的な視点からもっと広い視点になっているように思います。何か心境の変化があったのですか?
永松 心境の変化はとくになく、ただそのとき書きたかったものと、作りたかった作品を書いていたらたまたま物語性がある歌詞になったという感じです。
―― DONUTの読者に向けてメッセージをお願いします。
永松 とにかく本当の初期衝動をぜひ聴いて欲しいです。
プロフィール:奏人心(そうとしん)。19才の3人。永松有斗夢(Vo,Ba) 山路あげは(Gu,Vo) 今橋一翔(Dr) 飾らないけど詩的な言葉と激しいビートでシャウトする福岡の突風ロックバンド。結成半年後に九州朝日放送「高校生のじかん」で特集され、 ライブハウスでのワンマンを成功させ、同番組のテーマ曲に大抜擢!番組のフェス「ハイスク祭のじかん」JR九州ホールにも出演し、さらには俳優・ミュージシャンの石橋凌が審査委員長を務める福岡県高校軽音新人コンテストでグランプリに輝き、高校生のトピックとなる。福岡、広島、宇部で立ち上がりつつある10代のロックバンドのムーヴメントの中心的バンドのひとつとして注目されていている。
© 2024 DONUT
INFORMATION
EP「SEARCH感受YOUTH」
2024年11月13日リリース
※CDのみ配信はありません
収録曲:01.昼でも星は光って/
02.007/
03.生き急げ!遅刻常習犯/
04.16winter Boy’s
配信シングル「昼でも星は光って」
2024年11月1日リリース
収録曲:01. 昼でも星は光って