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中野ミホのコラム「まほうの映画館2」

中野ミホ(Singer/Songwriter)のコラム「まほうの映画館2」
中野ミホが最新作から過去の名作まで映画を紹介します。
●プロフィール:中野ミホ/北海道札幌市生まれ。2009年に結成したバンド「Drop’s」のボーカルとして活動し、5枚のフルアルバム、4枚のミニアルバムをリリース。2021年10月にDrop’sの活動を休止後、現在はシンガー、ソングライターとして活動。ギター弾き語り、ベースを弾きながらのサポートピアノとのデュオ編成やドラムを加えてのトリオ編成など、様々な形態で積極的にライブ活動を行なっている。
●公式サイト:https://nakanomiho.tumblr.com
●中野ミホYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCjvQfnXVg6hTd8C8D6PSQGQ


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第29回「それは私たちだけの、時代をも変える合言葉。アムステルダム」

2022.11.04 upload

『アムステルダム』 (2022年:アメリカ)
原題:Amsterdam
監督・脚本:デヴィッド・O・ラッセル
キャスト:クリスチャン・ベール/マーゴット・ロビー/ジョン・デヴィッド・ワシントン ほか
公式サイト:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/amsterdam
全国順次公開中


みなさんこんにちは。
今年も残すところあと2ヵ月、って言ってて自分でも信じられませんが……
確実に冬が近づいていますね。いい空気だー。

さてさて、今月はずーっと楽しみにしていた作品が公開されたので観にいってきました。
主要キャストとビジュアルを見たときから、これは絶対に私好きだ……と確信していたこちら。
『アムステルダム』(『Amsterdam』)です。

2022年、アメリカの作品。
監督・脚本はデヴィッド・O・ラッセル。
主演はクリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デヴィッド・ワシントン。
他にもラミ・マレック、ロバート・デ・ニーロ、クリス・ロック、アニャ・テイラー=ジョイなどとても豪華な顔ぶれ!

舞台は1930年代のニューヨーク。第一次世界大戦中に兵士と看護師として知り合い、終戦後にオランダのアムステルダムで共に過ごし親友となったバート(クリスチャン・ベール)、ハロルド(ジョン・デヴィッド・ワシントン)、ヴァレリー(マーゴット・ロビー)。
あるときバートとハロルドは、かつての彼らの上官の死をきっかけに、殺人事件の濡れ衣を着せられてしまいます。
疑いを晴らそうと奔走する三人でしたが、その裏に隠された大きな陰謀に立ち向かうことに……。

はー。最高でした。目も心も大満足。
とにかくまずキャストが豪華すぎではないですか!?
映画的にみたらちょっとずるいぐらいなのかもしれませんが、観ている方からしたら嬉しくてたまらなかったです。笑
個性的なスターが次々と、1930年代の衣装にバッチリ身をつつんで登場するんだからもう興奮せずにはいられません!

やっぱり主人公三人が並んだカットはどれも最高。
どことなくダラっとしてるけど不思議な強さと存在感のあるクリスチャン・ベール、穏やかでまっすぐな瞳と話し方に吸い込まれそうになるジョン・デヴィッド・ワシントン(ますます好きになった……)、そして大胆で気品にあふれて、最強に美しいマーゴット・ロビー! 本当に昔からの親友にしか見えない三人。

もちろん他のキャストもかなりいい仕事してます。
ラミ・マレックが出てきたときはうお〜となりました。怪しくて美しくて、何者なんだろうとドキドキ。
彼の妻役のアニャ・テイラー=ジョイの人間離れした美しさ、ちょっとイヤミな性格なところも良かったなぁ。
そして後半にロバート・デ・ニーロ! 出た……!感。
でもとても自然でかっこよかったですし、マイク・マイヤーズとマイケル・シャノンのコンビもよかった。
ともう何者なんだかわからないかっこいい人たちが次々と出てきて大興奮。

茶色、黄色、緑色って感じの豊かな色彩、コラージュアート。突如現れる冷たいシーンの寒色。
それぞれの人柄が出ている洋服、少し異国のようなアンダーグラウンドな雰囲気。
はじめから割とセリフが多くて、知的で、それでいて歌のように流れていく。
それがずっと続いているような印象でした。
時々はさまれるストーリーと関係のない時間、そして絶妙なユーモアがお洒落だなぁ。
その中でも、人物がまっすぐ画面を見つめるポートレートのようなシーンがいくつかありドキッとしました。
引き込まれて目が離せなくなる、彼、彼女が笑うと一緒に笑ってしまう。とても新鮮でかっこよかったです。

内容としては戦争、殺人、陰謀、独裁、人種差別……と、とんでもなくヘビーなはずなのですが、三人の信頼と絆、芸術への愛、歌、そして登場人物たちの軽妙な会話と美しい美術によってもう観ているだけで幸せな映像でした。

きっとこの時代は生まれた時からの身分や肌の色で人生の選択肢はかなり限られてしまっていて、自分が人生を共にする人も、自由な気持ちだけでは選べなかったりしたんだろうな。
そんな中で彼らは、自ら信じた仲間と愛を選びとって生きていく。
特にヴァレリーの着ているものや作り出すもの、「愛と芸術が生きる意味」っていうような言葉はこの時代の女性としてはかなり勇気のいることだったんじゃないかな。
命をかけてまで自分の大切なものや仲間を守ること、きれいごとに聞こえるかもしれないけど本当にそれが胸をどんっとたたいてくれるような感じでした。

もちろん戦争や人種差別、陰謀のおそろしい歴史についても考えさせられるけど、個人的にはやっぱりこれは愛の物語だなぁ。
ラストのバートの回想と一人語りのシーンはずっと鳥肌が止まらなくて、なんだか自分も大切な人たちを思い切り抱きしめたくなりました。
彼らにとってはただの地名なんかではなくて、魔法のような時間と愛を指す「アムステルダム」。
なんて素敵なんだろう!

そういえば予告編で最高にハマっていたTen Years Afterの「I’d Love To Change The World」
は本編では全く使われてなかったです。でも全然よし!笑

ぜひ映画館でこの世界にひたってみてはいかがでしょうかー。
わたしはこれ大好きでした!

それではまたね。寒くなってきたのであったかくしてくださいね。


中野ミホ「Breath」インタビューを掲載

© 2022 DONUT

INFORMATION


1stEP『Breath』
2022年8月17日(水)リリース
収録曲:01.My friend/02.不思議なぼくら/03.電源/04.Good morning to you/05.ハウ・アー・ユー/06.Mabataki
販売サイト:https://nakanomihoshop.stores.jp/

■ ライブ、イベントの最新情報は公式サイトをご確認ください。
https://nakanomiho.tumblr.com

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