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2026.01.10 upload

YAPOOLインタビュー

ロックンロールは人生を変えられる音楽でもあるんですよ。それがいい意味でも悪い意味でも ―― 石川蓮(vo)

ロックンロール以外の音楽をそんなにかっこよく思わなかったんですよ。人間が出すエネルギーをストレートに伝える手段としてはロックンロールが一番なんですよ ―― 水野公翔(gt)

2021年11月に東京を拠点に活動を始めた4人組ロックンロールバンド、YAPOOL。メンバーは石川蓮(vo)、水野公翔(gt)、久留島風太(ba)、オオサカユウヤ(dr)の4人。最初から最後まで120%の力で圧倒するライブパフォーマンスへの評価は高まる一方で、ライブハウスシーンでメキメキ頭角をあらわしている。ここ1、2年でライブハウスシーンのロックンロールバンドの台頭は目覚ましく(おそらくJポップや邦ロックの反動と思われる)、YAPOOLは先頭集団の一翼を担っている。2025年2月にはファーストアルバム『Nouvelle Vague』をリリース。その後も「Yesterday」「Mayday」「ムーン・リバー」など配信シングルを立て続けに発表。ライブの本数も数えればキリがなく、毎年、先輩バンドのhotspringとイベントを開催するなど、ロックンロールシーン全体の牽引役をも果たしている。そのYAPOOLが2026年11月25日水曜日(19:30開演)「“YAPOOL ONE-MAN LIVE” at SHIBUYA CLUB QUATTRO」を行うことに。いうまでもなく、この日がバンドにとって大事なステップとなるのは間違いない。DONUTでは渋谷クアトロに向けて2026年を駆け抜けるYAPOOLを少しでも盛り上げたいという思いから、DONUT 20(表紙:甲本ヒロト)に掲載したインタビューのロングバージョンを公開することにした。

●取材=森内淳



YAPOOL「ムーン・リバー」

―― 2人がロックンロールに出会った経緯からお聞きしたいんですが。

石川蓮 物心をつく頃から家でブルーハーツが流れていたので、気付いたときにはブルーハーツが好きになっていました。

水野公翔 (甲本)ヒロトが表紙の号でやらせみたいじゃない(笑)。

石川 やらせっぽいね(笑)。ブルーハーツを公翔にすすめたというか布教したのが僕で。最初にすすめたのはSTANCE PUNKSだった?

水野 いや、ブルーハーツの方が前だったんじゃないかな。

―― 水野さんはブルーハーツをすすめられてどう思いました?

水野 最初に聴いたときには「なんじゃこりゃ!?」と思いましたね。ブルーハーツの初期の頃は「僕らvs大人」みたいな構図があって、それがすごくわかりやすかったんですけど「こんな歌詞もアリなんだ?」と思いました。それまでは普通に流行っていた音楽を聴いていたので。

―― どんな音楽を聴いていたのですか?

水野 『ルーキーズ』(2009年)の主題歌をやっていたGReeeeNとか聴いていましたね。

―― GReeeeNとブルーハーツとの差は激しいですね。

水野 ブルーハーツを聴いたときには、すぐにギターを弾こうと思いましたからね(笑)。

―― そうなんですね?

水野 僕の親父がメタラーで、楽器は家にあったんです。物心つくまで、家でブラック・サバスやオジー・オズボーンが流れているのが一般家庭のあり方だと思ってましたから(笑)。ブルーハーツのような音楽を聴いたらみんな楽器を始めるものだとばかり思っていました(笑)。

―― ヘヴィメタルへは行かなかったんですね。

水野 ブルーハーツが衝撃的すぎてメタルには行かなかったですね。僕の場合はブルーハーツからセックス・ピストルズやラモーンズに行って、クラッシュにどハマりするんです。クラッシュのいろんな音楽にチャレンジする姿勢がすごく好きで。

―― 石川さんは?

石川 僕はブルーハーツからSTANCE PUNKSに行って、忌野清志郎やRCサクセションを聴くようになりました。クラッシュやラモーンズやピストルズも一通り聴きましたけど、やっぱり「日本語の力ってすごいなあ」というのがあって、日本語のロックの方が好きなんですよね。ヒロトさんやTSURUさんが書く歌詞に助けられてきたこともあるんですけどね。だから当時は毛皮のマリーズとかを聴いていましたね。今はだいぶいろんな音楽を聴くようになりましたけど。あとドラムの(オオサカ)ユウヤがミッシェル・ガン・エレファントを大好きなので、その影響でミッシェルも聴いていましたね。そう考えるとやっぱり日本語のロックの方が多いなと思います。

水野 ミッシェルはクラッシュの影響もあったので、僕もミッシェルにはすごく衝撃を受けましたね。そう考えると節目ごとにあるのは日本のバンドなのかもしれませんね。中学のときにブルーハーツと出会って洋楽に行って、いろいろ聴いて。高校でミッシェルに出会って、また洋楽に行って、みたいな。

―― 石川さんがバンドで歌おうと思ったきっかけは?

石川 僕は元々ドラマーで、最初、ブルーハーツの「情熱の薔薇」を聴いて「叩きたい!」と思ったんです。親に「ドラムを習いたい」と頼み込んで。ピアノ教室にも通っていたことがあったので、その伝手でドラムの先生と出会って、ドラムは中学まではやってました。だから最初に公翔とバンドをやったときも、僕はドラムだったんです。

―― 中学で石川さんと水野さんはバンドを組むんですね?

水野 僕はギターを弾いていて、こいつはドラムをやっていたので「だったらバンドが組めるんじゃないか?」と思ったんです。それで友だちにベースを持たせて、ボーカルを入れてバンドをやりました。そのときのボーカルよりも蓮のコーラスの声の方がデカかったんですけど(笑)。

石川 その頃はブルーハーツのコピーをやってたのかな。

水野 田舎だから土地が有り余っていて、山のなかに小屋があって、そのなかにドラムセットやギターアンプやミキサーやらを持ち込んで、そこで練習をしてたね。練習というか遊びの延長だったけど。

―― 中学のときには評判のバンドだったりしたんですか?

石川 全然ですよ。ど田舎の中学生が遊びでやってるバンドなんで。

水野 ど下手くそだったし(笑)。

―― いつ頃からバンドに対する意識が変わってくるんですか?

石川 たぶん高校生くらいからだったと思います。そのとき僕はボーカルをやりたくなって、ボーカルに転向するんです。

―― ドラムが面白くなくなった?

石川 ドラムが面白くなくなったというよりも単純にボーカルをやりたくなったんです。ボーカリストが一番かっこよく映ったからじゃないかな(笑)。「ボーカルをやりたいわ」って公翔に言ったんです。

水野 声がデカいし、いいかな、と(笑)。

―― 高校ではどうやってバンドメンバーを集めたのですか?

石川 ドラマーがたまたま高校の同じクラスにいたんで。

水野 吹奏楽の推薦で入った奴で。2人の間で、ドラマーはデブでデカい奴がいいというのがあって、そいつがどうやらデブらしいという話を聞いて、そいつに声をかけて。吹奏楽部のお利口さんなドラマーだったので「もっと強く叩いていい」みたいなことも言って。

石川 いろんな動画を見せたりしてね。吹奏楽の推薦で入ったのに、最終的に吹奏楽部を辞めるんですよ。

―― バンドの方が楽しくなったんですね。

石川 たぶんそうだと思います。ドラムの叩き方もお利口さんな叩き方から変わっていくんですよね。

水野 ベースは蓮と同じクラスの、元々ヒップホップを聴いていた奴で、そいつを洗脳して……

―― ロックンロールの道に引きずり込んだ?

石川 そうですね(笑)。

―― 相変わらずコピーをやるんですか?

水野 そのときはコピーからオリジナル曲中心になっていってましたね。

―― その変化は大きいですね。

水野 中学のときにもすでに曲を作っていた気がするんだよね。あんまり覚えてないけど。

石川 バンドではやってなかったはずだけどね。最初に公翔と合作したのが「独立宣言」という曲で。

水野 え? それ、俺じゃないよ。

石川 いや、2人で作ったよ。

水野 覚えてないなあ(笑)。

―― ソングライティングは2人でやっていたんですか?

水野 曲は半々で作っていたような気がしますね。僕が曲を作って、蓮が歌詞を書くというスタイルも、そのときからすでにあったと思います。

―― 高校になってからライブの手応えも変わってくるんですか?

水野 そういうのは意識の外だったかもしれないですね。「ライブがやれるから嬉しい」みたいなところがけっこう大きかったと思います。

石川 それが変わってくるのは上京してからだね。

水野 僕は大学に行くために上京して。

石川 僕はフリーターをやりながら、ただバンドだけやろうと思って。

―― 高校卒業でプロになろうという気持ちがあったんですね。

石川 ありました。バンドをやりながら、いろんな音楽を聴いていくうちに「東京でバンドをやって売れてやろう!」と思うようになりました。それで最初、公翔の大学の友だちを誘ってバンドを組んだんです。

水野 僕の友だちにローリング・ストーンズが大好きなギタリストがいて「ベースを弾いてくれ」と頼んで。ドラマーも友だちで上手い奴がいたんで。だけど上手くいかなかったですね。ベースは元々ギタリストなわけだし、ドラムは変な奴だったし。

石川 ロックンロールという感じではなかったんだよね。

水野 ラウド系が好きだったんだよね。そのバンドが上手くいかずに「解散かなあ」と思っていたときに、今のドラマーのユウヤとベースの(久留島)風太と出会うんです。ユウヤに「バンドをやろうと思うんだけど、ギターを弾いてくれない?」と言われて。「ボーカルは蓮じゃないと嫌だよ」と言って。蓮がスタジオに来て、4人で合わせたら「いいじゃん!」みたいになって。

石川 それが3年前の話ですね。

―― ロックンロールにこだわっていたらYAPOOLに至った、と。

石川 僕の場合、刷り込みに近いですけどね。「ロックンロールをやるのが当たり前」みたいなところまでいってましたから。

水野 ロックンロール以外の音楽をそんなにかっこよく思わなかったんですよ。人間が出すエネルギーをストレートに伝える手段としてはロックンロールが一番なんですよね。

石川 ロックンロールは人生を変えられる音楽でもあるんですよ。それがいい意味でも悪い意味でも(笑)、ロックが持っている武器なのかなとは思います。18歳で上京して、これからもずっとバンドをやっていくのがいいか悪いかは置いといて、それがロックンロールのマジックだと思うんです。一生、ロックンロールに騙され続けていたいんです。そういう力はロックンロールには絶対にあると思います。あとは言葉にできない衝動を引っ張り出してくれる。それはロックに限らず、音楽が持っているパワーなんだと思います。

水野 クラッシュのジョー・ストラマーが「目的は自分たちの秘めたエネルギーや伝えたいことを伝えることで、その手段としてパンクやロックンロールをやっている」と言っていて、すごく「そうだな」と思って。何かを伝える手段としてロックンロールは有効なのかな、と思いますね。ちょっとかっこよすぎますかね(笑)。

―― そんなことないですよ。クリエイティブを通して作家と受け手はコミュニケーションしているわけですから。そういう意味でいくと、YAPOOLのライブは毎回秘めたエネルギーを引っ張り出せてますよね。

石川 そこはバンドとして大事にしている部分かも。

水野 ライブは自信あるよね。「なんか今日はテンションが上がらないなあ」と思う日もあるんですけど、ステージに出て、ライブをやっていれば楽しくてガツンといけるんですよね。

―― YAPOOLのライブは常に沸点まで振り切っているんですけど、結成当初からああいう感じだったんですか。

石川 だいたいあんな感じでしたね。

水野 ロックンロールをこぢんまりやってもしょうがないですから(笑)。

―― フロアの熱量も、毎回、高止まりですからね。

石川 『Nouvelle Vague』(ヌーヴェル・ヴァーグ)を出してからはさらに手応えを感じていますね。

―― そうなんですね。2025年2月にリリースした1st Albumですよね。

石川 アルバムを出したことによって、YAPOOLとしてのパフォーマンスが研ぎ澄まされたとも思うので、それがライブの手応えに繋がっているように思いますね。

―― 『Nouvelle Vague』の反響はどうでしたか?

水野 反響云々よりも、最近では、次の作品のことばかりを考えているんですよ。シングルもポンポン出していきたいし。

―― シングルはわりと短いタームで配信していますよね。

水野 YAPOOLはレコーディングが好きなんですよ。

―― 次回作の構想はあるんですか?

水野 やりたいことはいろいろあります。ダブはすごくやりたいです。

―― 以前、WEB DONUTのインタビューでもおっしゃってましたよね。

水野 それはまだ実現に至っていないんですけどね。今は『Nouvelle Vague』とは違うアプローチで自分たちのエネルギーを表現するにはどうしたらいいのか、というところをすごく意識しています。音色やチューニングを変えたりして、そういう表現もできるということを示していきたいというか。土壌にロックンロールがあるだけで、もっといろんな表現をしたいというのがメンバーみんなのなかにあるというか。

―― 曲として形になったものもあるんですか?

水野 何曲かありますね。すでにレコーディングした曲もあります。

―― 石川さんは新しい曲をどのように評価しているんですか?

石川 新しいアプローチではあるんだけど、YAPOOLらしさはあるので、真新しいことというよりはYAPOOLの可能性がまたひとつ増えたという感じですね。

水野 演奏もみんな上手くなってきているので、技術の向上と共にやれることも増えていると思うんです。

―― 2025年11月14日から「Moon River Tour 2025」が始まります。

石川 ツアーに合わせてデジタルシングルが出るんですけど、今までの曲のなかでも一番好きなんですよ。公翔の歌詞も最高だなと思っていて。それからこの曲は作っているときからドラムが主だと言っていて、歌うようなドラミングが入っているんですよ。

水野 「キース・ムーンばりの手数を入れてくれ」と言って(笑)。でも曲としては歌モノっぽい感じなんですよ。歌モノ+ドラムの手数が多いという曲で、ベースも攻撃的な音にしたら面白いんじゃないかと思って作りましたね。

石川 それが上手くバチッとハマっているんですよ。その曲を振りかざしながらツアーに行けるのが本当に楽しみですね。

© 2026 DONUT


このインタビューはDONUT 20(表紙:甲本ヒロト)に掲載したインタビューのロングバージョンです。DONUT 20は現在、Amazon、タワーレコード、ディスクユニオンの店頭在庫のみとなっています。くわしくは特設サイトまで。
https://donutroll.tokyo/wd/20251110_donut20/

LIVE INFORMATION


“YAPOOL ONE-MAN LIVE” at SHIBUYA CLUB QUATTRO

日時:2026年11月25日水曜日 19時30分開演
会場:SHIBUYA CLUB QUATTRO
料金:前売り ¥4,000(1dk別)/当日 ¥4,500(1dk別)/限定Tシャツ付 ¥7,500(1dk別)
問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION  050-5211-6077(平日12:00〜18:00)

RELEASE INFORMATION


配信シングル「ムーン・リバー」
2025年11月12日リリース
収録曲:01. ムーン・リバー



アルバム『Nouvelle Vague』
2025年2月5日リリース
収録曲:収録曲:01.ヌーヴェル・ヴァーグ/02.The Bogeyman/03.レイトショー/04.Flower/05.ダーリン/06.午前二時Lady(La La Lee)/07.藁の上/08.チャイナタウンに背を向けて/09.BOY/10.トラヴィス

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