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2023.12.19 upload

TOKYO COMIC CON 2023
2023年12月8日(金)〜10日(日) 幕張メッセ

●テキスト=秋元美乃/森内淳


2023年12月8日(金)9日(土)10日(日)の3日間にわたり幕張メッセにて「東京コミックコンベンション2023」(以下「東京コミコン2023」)が開催された。

この「東京コミコン」は日米を中心としたコミック/映画/アニメーション/ゲームなどのポップカルチャーを扱った祭典で、サンディエゴを発祥とする「コミコン」をモデルに2016年に誕生。以来、独自の進化を続けながら毎年幕張メッセで開催されており、2023年5月には初の「大阪コミコン」も行われた。




今年の「東京コミコン2023」には数々のブースやエリアはもちろん、エヴァンジェリン・リリー、クリストファー・ロイド、ダニエル・ローガン、テムエラ・モリソン、ポム・クレメンティエフ、マッツ・ミケルセン、ユアン・マクレガー、ベネディクト・カンバーバッチ、トム・ヒドルストン、ナタリア・テナ、C.B.セブルスキーら海外から多数ゲストが来日し、大盛況のうちに閉幕。3日間で過去最高となる8万5000人以上の来場者を記録したそうだ。

今回、幸運なことにご招待いただき、念願の「東京コミコン2023」に行ってきた。念願の、というのは、実は私は数年にわたり「コミコン」の様子をネットでチェックしており、いつか行きたいと思いながらもただ見るだけのウォッチャーとして楽しんでいたのだ。

初参加は初日の12月8日(金)に決めた。3日間開催されるうち初日に行きたいと思ったのは、平日の方がゆったりまわれるのではないかと考えたことと、“C.B.さん”ことマーベル・コミックス編集長のC.B.セブルスキーさんのトークイベントに参加してみたかったから。というのも、今年5月の「大阪コミコン」をウォッチしていた時に、セブルスキー編集長は「以前は日本の作家は編集部や出版社に守られていてなかなか連絡が取れないことが多かった。そんななか日本人としてアメコミシーンに革命を起こした第一人者・麻宮騎亜先生の影響は大きくて、麻宮先生は自分の作品の世界観を自分でコントロールしていた。なおかつ作品が英語版になった時に、日本のアニメは海外のアーティストからもリスペクトされていたから、そのカバーは当時の若いアメコミアーティストが手がけた」と。ざっくりとうろ覚えだが、たしかそんな話をされていて、とても興味深く惹き込まれたからである。



当日は15時から始まるセブルスキー編集長のトークに間に合うよう、余裕をもったつもりで14時頃を目指して幕張メッセに到着した。会場に向かう道中でマッツ・ミケルセンのお面を配布していることを知り、場内に入るなりお面を探すも時すでに遅し。配布はすでに終了していた(スターチャンネルの企業ブースにて配布されていた)。残念だ。それもそのはず、毎年始発で待機列に並ぶ参加者もいるのだから、先着もの、しかも人気のマッツで無料配布とくればそうなるだろう。ちなみに俳優とのサイン会や撮影会に参加するには別途チケットが必要となる。会場に入りマッツのお面探しに気を取られはしたが、初の現地はものすごい熱気であふれているのが場内を少し歩くだけで伝わってきた。右を見ても左を見てもワクワクがとまらない。平日ならゆっくりまわれそう、などという考えは気のせいでしかなかった。

15時になりセブルスキー編集長のトークステージへ。椅子席は満員だったので後方から立ち見で参加した。司会の柳亨英 氏とともにセブルスキー編集長は、マーベル作品で日本のアーティストが大活躍していること。そのアーティストたちとどう出会ったか。いまどんな影響力を持っているか。そして、マーベル(ディズニーやピクサーも)は世界のどこからでも、SNSやインターネットを通してアーティストからの連絡を受け入れている、という話をされていた。「受けた連絡は必ずチェックしていて、チャンスを繋ぐのが自分の役目」とも。この話を聞いて、先述した「大阪コミコン」での話ともリンクし、ますます興味深く聞き入ってしまった。マーベル・コミックスのヒーローたちも国や性別や人種などといった境界線はなく、人間味のあるキャラクターが多い。そういう部分が会社の方針にも通じているのだろう。すっかりファンになってしまった私たちはトーク後、編集長のブースに並びサインをいただき、一緒に写真を撮ってもらった。なお、当日のトークの模様がオフィシャルユーチューブにアップされたのでクリエイターの皆さんにもぜひ見てほしい。「自分は皆さんの夢を叶える手助けをするのが仕事」だと、チャンスの掴み方を話してくれている(https://youtu.be/v0SSAMDuRfo?si=jqoHtXLZrCQeTs0y)。



その後は会場全体の視察へ。会場は「セレブエリア」「ステージエリア」「主催者物販エリア」「出展社ブースエリア」「小売店舗・個人販売」をはじめいくつかのエリアに分かれていて、セブルスキー編集長のブースもある「アーティストアレイ」は作家さんからコミックなどの作品を直接購入できるエリアとなっている。今年も100を超える作家さんが参加していて、ファンにサインをしたりと賑わっていた。どんな作家なのか調べてくればもっと楽しめたかもしれないが、こういう場での偶然の出会いもイベントの醍醐味のひとつだと思う。

「スーパーライド」のエリアには、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』のデロリアン/『バットマン』のバットモービル/『ナイトライダー』のナイト2000/『ターミネーター2』のハーレーダビッドソン/『007』シリーズのボンドカー/『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』のRVビークル/『チャーリーとチョコレート工場』のウォンカ社の自転車などなど乗り物系がずらり並んで大迫力のコーナーが出現。おそらくみんなそれぞれにあの映画のあのシーンを想像して、熱心に写真を撮ったりパーツを見たりしていた。その隣に位置する「展示エリア」には『スター・ウォーズ』のR2-D2やライトセーバーをはじめダース・ベイダーや『ジョーカー』『バットマン』など等身大のフィギュアも登場。このあたり一帯は目がパンクしそうな空間だ。



「物販エリア」もどこも盛況で、主催者物販エリアのひとつ、「マーベル/スター・ウォーズ」エリアは大行列すぎて諦めることにした。もうひとつの「ワーナー・ブラザーズ100周年記念DCブース」へ向かうと、ここも大混雑だったがなんとか1時間待ちの整理券をもらって中に入ることができた。するとさっそくペニーワイズとアナベル人形という最強(最恐?)のツーショットがお出迎え。エリア内は『ジョーカー』『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』などの各種グッズにあふれていた。

場内にはさらに『ストレンジャー・シングス』『ワンピース』のコーナーや「ShoPro Books」「バンダイ」「スクリーン」といった映画やコミック関連のブースが多々あり、「スクリーン」のブースの表には歴代の表紙が飾られていたりといろいろな部分で楽しめた。



「ヘリテージ・オークション」のブースには映画『グレムリン』のギズモとグレムリン、『ビートルジュース』のマスクとクリーチャーハンドなど、実際の衣装や小道具などが展示されていて、なかには目玉が飛び出そうな予想価格が記載されているものも。また、女子プロ団体「スターダム」の試合やアイドルのパフォーマンスも見学できる「リングステージ」や、屋外には飲食エリアなども設置。そしてもうひとつ、コミコンと言えばキャラクター。場内はいろいろなキャラクターに扮し、コスプレで参加している来場者も多く、何人ものキャプテン・アメリカやスパイダーマン、バットマン、ドクター・ストレンジらに遭遇した(コスプレで参加するには参加券が別途必要)。と、場内の様子を振り返ると書き切れないほどだ。

以前ネットでウォッチしていた時に「日本のコミコンにはどうしてプロレスとかアイドルとか余計なステージがあるのか」という参加者の声を見かけたことがあった。しかし今年初参加してみて、エンターテインメントあふれる空間を体験し、さまざまなものと出会ったり楽しんだり興味を持ったり、そういう要素を含めてこそのポップカルチャーのイベントなのだと感じた。私は初めて生でプロレスを見たがとても楽しかった。やはり、ネットでウォッチするだけと体感するのとでは全く違う。来日ゲストとのサイン会や撮影会に参加して夢のようなひと時を過ごすもよし。来日ゲストに会えなくてもお目当てのブースをぐるぐる回るもよし。今回はエネルギッシュなパワーに満ちた空間でたくさんの胸躍る体験ができた。セブルスキー編集長の話のように、いまはボーダーをつくる時代ではない。カルチャーも多岐に枝分かれし、コアもマスも突き詰めるほど面白い世界が生まれている。
(DONUT編集長 秋元美乃)

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コミック・コンベンションが盛況だということは噂では聞いていた。しかし実際にどれくらい盛り上がっているのかわからなかった。先日、初めて「TOKYO COMIC CON 2023」の初日12月8日(金)に足を運んでその盛況ぶりに驚いた。幕張メッセの会場に着いたのが14時過ぎ。平日にも関わらず人、人、人。あまりの長蛇のために『スター・ウォーズ』の物販エリアには入るのをあきらめた。ワーナー・ブラザーズの物販エリアには1時間後に入れる整理券をもらってやっと入場することができた。それくらい会場は賑わっていた。平日だからこれですんでいるが、土日はもっと盛り上がったことだろう。入り口にはWILL CALLの受け付けもあって長い列ができていた。つまり海外からもコミコンを目指して多くの人が訪れているのだ。



また会場のそこかしこにティム・バートン監督版の『バットマン』のバットモービルや『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』のデロリアン、『007』のアストン・マーティン、『ナイトライダー』のナイト2000など車両や、『ロッキー』や『タイタニック』の衣装や『ジュラシックパーク』や『グレムリン』の小道具、これから配信されるドラマの衣装や『スター・ウォーズ』のR2D2やダースベイダーの衣装、アベンジャーズやタートルズのスタチューなどが展示してあった。特設ステージではトークライブやアイドルのライブが行われていた。リングステージも設置されていて、そこではスターダムによる6人タッグマッチも。各ブースではコミコンでしか買えないアイテムも販売されていて、それを目当てに始発で行く人もいるという。実際、会場に向かっている最中、会場のほうから大きなショッピングバッグを持った人たちと何度もすれ違った。企業エリアには映画会社や配信会社、出版社やおもちゃ会社などが軒をつらねていた。そこではいろんなノベルティが配られていて、それを集めるだけでも楽しい。楽しみ方は盛り沢山だ。

さらに追加でチケットを購入すると(チケット代はそれなりの額がするが)ハリウッドスターと写真を撮ったりサインをもらったりすることもできる。今年はベネディクト・カンバーバッチ、ユアン・マクレガー、マッツ・ミケルセンなど、錚々たる面々がコミコンのために来日している。今回、唯一会場で遭遇したスターはスター・ウォーズのエピソード2で幼少期のボバ・フェットを演じたダニエル・ローガンだった。12時に会場入りしていれば、スターたちによる鏡割りも見ることができた。



15時から行われたマーベル・コミックス編集長のC.B.セブルスキーさんのトークを見た。そのなかで面白かったのが、アメリカでは常に新人の門戸を開いていて、売り込みがあった作品は必ず編集長がチェックするという話。これは何もマーベル・コミックに限ったことではなく、ディズニーやピクサーもそうしているという。編集長の役割は新しいアーティストを発掘し機会を与えることとも。遠慮なくどんどん応募してきてほしいとステージからアピールしていた。同時に、セブルスキーさんはマーベルコミックで現在活躍している3人の日本人アーティストの作品を紹介した。3人ともそれぞれ個性的なタッチの絵で、いわゆるマーベルっぽさから逸脱していた。それにも関わらず、それぞれがアメリカで成功しているという。日本の場合、伝統にのっとりすぎて新しい作品に目を向ける習慣がほとんどないといっていい。そこが日本のエンターテインメントの弱点だ。イラストレーション関連の賞でも似通ったデッサンや構図や空気感を持つものしか許されない風潮がある。世界はもっと自由なのだ。これは単なるコミックファンのイベントではない。エンターテインメントの自由な表現を感じる場でもあるのだ。
(DONUT副編集長 森内淳)

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