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2022.07.27 upload

超直前! フジロックが始まる
「FUJI ROCK FESTIVAL '22」
2022年7月29日(金)、30日(土)、31日(日)
新潟県湯沢町苗場スキー場

●文=秋元美乃

「FUJI ROCK FESTIVAL '22」(以下フジロック)がいよいよ7月29日(金)、30日(土)、31(日)に開催される。すでに荷づくりを終えていたり、宅配便で荷物を送付済みの参加者も多いことだろう。また、さまざまな事情で参加を決めかねている方も多いと聞く。そこで、超直前ではあるが個人的な思いをまとめつつ、今年のフジロックってどんな感じ?を辿ってみたいと思う。


■出演キャンセル:YOASOBI、BLACK PUMAS
■出演決定:OAU、NAI PALM from HIATUS KAIYOTE、clammbon

昨年はコロナ禍の情勢を受け、徹底した感染対策のもと、邦楽アーティストのみの出演/ステージ数、時間の調整/入場者数の制限/アルコール販売なし、といった制約のなか「特別なフジロック」として行われた。その「特別なフジロック」を経て、今年は「いつものフジロック」を目指し準備が進められてきた。本来であれば1月から2月にかけて受付・販売されていた恒例の早割チケット(期間限定早い割引チケット)は今年は3月に販売された(この時期のズレからも、事務局が万全の体制でのぞむべく奔走していたのだろうと察しがつく)。と同時に、今年は海外勢を含むラインナップを予定しているとアナウンスされた。この3月のニュースはフジロックを愛する音楽ファンにとって大きな希望の光となった。フジロックの魅力は数えきれないほどたくさんあるが、出演陣の面でみると、やはり多様な音楽性に満ちたラインナップは大きな肝だ。ステージごとにルーツや文化が感じられるタイムテーブルの流れも多く、実際、1日を通してずっと同じステージで過ごしているフジロッカーもいる。またその逆に、とくに予定を決めず会場の端から端までを歩き回りながら、ふと耳にする音楽との出会いを楽しむフジロッカーもいる。場内に流れる川で涼んだり、ドラゴンドラで天空気分を味わったり、木々の中を歩いたり、芝生で寝転んだり、ワークショップに参加したり、ファミリーでキッズランドで遊んだり。どんな過ごし方をしていても、その傍にあるのは世界中の音楽だ。大自然の中、近くで、遠くで、いたるところで鳴っている音楽の存在は参加者を無限にワクワクさせてくれる。たとえ目当てのバンドがいなくても、その場にいるだけで心が生き返る。フジロックは、そんなマジックがあふれている場所なのだ。

筆者は昨年、チケットも買ってリストバンドも到着していたが、止むを得ない事情で参加を断念した。1997年の第1回目から皆勤賞を誇っていた自分にとって、胸にポカンと穴が空きそうな事態だったが本当にどうしようもない事情だったのであきらめはついた。その3日間、YouTubeの配信は現地の模様が見られてとてもありがたかった。この配信企画には本当に感謝しかない(しかも無料で!)。しかし、十分に堪能させてもらいつつ、ふつふつとジレンマのような気持ちが湧き上がるのも事実だった。あの場所、あの空間、あの空気。心が生き返る圧倒的な体験は、やはり現地でしか得られない。そんな当たり前のことを再認識せざるを得なかった。そして、今年のフジロック。人生色々あるもので、さまざまな事情が重なり今年も行けずじまいか……と思っていたところ1日なら行けそうと思い立ち、土曜日に行くことに決めた。これまでさんざん「1日でもいいから参加してみてほしい」と過去の記事で書いてきた筆者が、初の1日参加を体験してみようと思う。

●ラインナップ
やはり海外と日本のアーティストを織り交ぜたラインナップは嬉しい。近年はR&B〜ヒップホップシーンからの登場も多く、ジャンルの垣根を超えた多様性がフジロックらしさを増しているように思う。今年は念願の洋楽勢が復帰なので、ざっと触れてみたい。



初日7月29日(金)のヘッドライナーはヴァンパイア・ウィークエンド。4年ぶりの苗場の地で、アルバム『ファーザー・オブ・ア・ブライド』のナンバーを披露してくれるに違いない。ほか、変幻自在のソウル・バンド=ハイエイタス・カイヨーテ。多様な音楽要素を展開させるボノボ。ジャンルをクロスオーバーさせた革新的なビートを繰り出すラッパー=ジェイペグマフィア。ジ・インターネットの中心人物によるソロ・プロジェクト=シド。新作『Misadventures of Doomscroller』をリリースしたばかりのフォークロックバンド=ドーズらが出演する。



7月30日(土)のトリを飾るのはジャック・ホワイト。これまでにもホワイト・ストライプス、ラカンターズ、ソロ名義といずれも名演で苗場を沸かせてきた。今年は『Fear of the Dawn』『Entering Heaven Alive』と2枚のアルバムをリリースした彼が、その新作でも聴かせた重厚なロックンロールを響かせる。ほか、イギリスを代表するバンドに成長したフォールズ。オルタナ大先生J・マスキス率いるダイナソーJr.。USインディーのニュースター=スネイル・メイル。昨年デビュー作が大きな話題を呼んだシンガー=アーロ・パークス。韓国のインディー・ロックバンド=セイ・スー・ミー。ミニマル・ミュージックの父=テリー・ライリーらが出演する。



7月31日(日)、最終日のヘッドライナーを務めるのは全米を代表するニューアイコン、ホールジー。2020年に予定されていた来日公演中止を経て、待望の再来日を果たす彼女のバラエティに富んだ楽曲群はもちろん、衣装やパフォーマンスにも期待が募る。ほか、多彩な要素を融合したサウンドと卓越したギタープレイを聴かせるトム・ミッシュ。海外フェスで大絶賛を浴びるジャパニーズ・ブレックファスト。約3年ぶりの来日となるイギリス出身の若きプロデューサー=ムラ・マサ。ニューアルバム『ワールド・ワイド・ポップ』からのナンバー披露も楽しみな多国籍バンド、スーパーオーガニズム。新世代UKロックバンドの真打=ブラック・カントリー・ニュー・ロード。ポストロック・シーンの重要バンド、モグワイ。アジアをはじめ各国でも高い評価を受ける台湾の3ピース=エレファントジムらが出演する。

日本勢も若手からベテラン組まで揃い踏みで、ラインナップの軸を担っている。No Buses、どんぐりず、KTYMら新進気鋭のメンツも続々登場するほか、「ROOKIE A GO-GO」ステージにも大注目。なかでも土曜日に出演するTHEティバのサチは毎年家族と一緒にキャンプで来場しているという生粋のフジロッカー。今年はバンドで初出演を果たすなんてドラマがある。ぜひタイムテーブルを眺めてみてほしい。ジャンルを横断したメンツと各ステージの特色も感じてもらえると思う。

また、新エネルギーでつくるオルタナティブ・ステージ「Gypsy Avalon」は昨年より会場最奥地に移動しているのでご留意を。

●快適ポイント
今年は飲食店を含むすべての店舗で完全キャッシュレス決済となっている(グッズ売り場やロッカーなど一部を除く)。つまり、雨が降ってお札がびしょ濡れになって破けたりする心配がない。交通系電子マネーなどは多めにチャージしておこう。
https://www.fujirockfestival.com/news/detail/4297

フードエリア「ORANGE CAFÉ」内には、テーブルオーダー&テーブル会計でスタッフが食事を運んでくれる『ファミリーエリア』が登場。飲食ブースに並ばなくてOKなので、子供連れの参加者にも嬉しいスペースではないだろうか。非日常の空間でゆっくりと食事を楽しむのもいい。ただし1テーブル4,000円(4人まで)、事前予約が必要。予約は当日20時まで申し込み可能となっている。
https://www.fujirockfestival.com/news/detail/4333

●持ち物ポイント
持ち物については公式サイトをはじめあらゆる情報が出ているので今一度チェックを。言うまでもないが、予備のマスク、携帯用アルコール消毒液、除菌シートなどの感染対策グッズを通常のリストに加えるのをお忘れなく。また、雨が降り続けると、だんだん頭の上に雨水がたまってくることがあるので、帽子は撥水加工のものだと便利。もしくは防水スプレーなどをかけておくのがおすすめ。

●プレイリスト
https://www.fujirockfestival.com/artist/playlist

●公演概要
「FUJI ROCK FESTIVAL '22」
2022年7月29日(金)、30日(土)、31日(日)
新潟県湯沢町苗場スキー場
※7月28日(木)に前夜祭あり(無料)
各種チケット発売中
https://www.fujirockfestival.com

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