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2022.01.22 upload

The Birthday ライブレビュー
SUNBURST TOUR 2021 追加公演“Thanks & So Long! Zepp Tokyo”
2021年12月8日(水)Zepp Tokyo

写真=新保勇樹


■ The Birthday Live Review by Mino Akimoto

2021年7月にアルバム『サンバースト』を発表し、9月から全国ツアーを開催したThe Birthday。25公演にわたる本ツアーの追加公演が12月8日Zepp Tokyoにて行われ、ファイナルを迎えた。

会場前に着くと、壁面に大きく掲げられた文字が目に入る。「Zepp Tokyo 1999−2021 Thanks & So Long!」。この文字通り、Zepp Tokyoは2022年1月1日で営業を終了した。このファイナルは、同会場の特別月間を彩るものでもあった。幾度となく足を運んだライブハウスのひとつなので、感慨深い気持ちで席に着いた。

昨今のコロナ禍にあり歓声も禁止ではあったが、ライブを心待ちにするムードは場内に伝わるもので、メンバーがステージに登場するとさらにそのムードは高まった。チバユウスケ、フジイケンジ、ヒライハルキ、クハラカズユキ。4人をステージで見るのは久々だ。そして1曲目「12月2日」でライブがスタート。重くヘビーなリズムとサウンドが空気を変えた、その一瞬の鋭さ。The Birthdayが見せつけたライブバンドの底力にいきなり息を飲んだ。
その後もパンチのあるミドルナンバーが繰り出される。とにかく演奏が凄まじい。もちろんチバの歌も。彼らのライブはもともとそうだし、最新アルバム『サンバースト』全体にも通じることだが、その凄まじさがこれまでの比でないように感じた。ライブができない時期でも彼らは自分たちの音とただひたすらに向き合ってきたことがビシビシと伝わってくる。そんな音だ。そしてそこに感じるのは単なるパワーアップではない、新しいパワーだ。まだまだ変わるのか、このバンドは。

そんな迫力のなか、途中「ラドロックのキャデラックさ」~「アンチェイン」では前半のヘビーな空気に新風を吹かせる。前を向いた4人が照明によってくっきりと浮かびあがった姿も実に印象的だった。そして中盤の大きなハイライトのひとつとなったのが久々にライブで聴くことのできた「ハレルヤ」。原曲からだいぶアレンジされており、4人のミュージシャンによる研ぎ澄まされた魂のプレイは圧巻の一言。とくにフジイケンジのギターは時空を超えるような響きがあった。

そこから続く「月光」の威力がライブをさらに加速。多彩な表情を持つロックンロール・ナンバーが次々とオーディエンスの想像の景色を変えていく。寄り添うでもない、音楽のみの力で彼らはそれをやってのける。
本編ラストは「オルゴール」「ギムレット」。音楽の力、と言うと身も蓋もないかもしれないが、大合唱もない制限のある場内で、The Birthdayが見せるのはとんでもなくどデカくてかけがえのないものだった。たとえ“小さな愛”だとしても。“ほんの少しの希望”だとしても。「世話になった」と語るZepp Tokyoに、彼らは音楽でそんな思いも刻んでいた。

アンコールはEP『CORE 4』から「ヘッドライト」「ブラックバードカタルシス」を披露。とくに「ブラックバードカタルシス」はライブで聴くとその世界にぶっ飛んだ。そしてダブルアンコール「OH BABY!」でライブは終了。ほぼ最新アルバム『サンバースト』と最新EP『CORE 4』のナンバーで構成されたセットリストだったが、だからこそ今、バンドが向き合っているサウンドがまざまざと感じられる一夜となった。

The Birthdayのステージを見たのが久々だったということを差し置いても、これまでにないライブだったように思う。コロナ禍においてライブの在り方や向き合い方は色々あるが、ライブハウスへの思いも自身のツアー完遂の喜びもすべて、音楽に込めた4人。この日、ステージから放たれた19曲のロックンロールがそれを物語っていた。2022年のThe Birthdayもとても楽しみだ。(秋元美乃)


■ The Birthday Live Review by Jun Moriuchi

個人的にはZepp Tokyoで見る最後のライブとなった。この会場ではいろんなライブを見た。とくに印象に残っているのはJay-Zのライブだ。それから宇多田ヒカル。ライブの最後にTLCと共演することを発表したのでよく覚えている。もう何年前の話だろうか。TLCのレフト・アイが亡くなったのが2002年だから光陰矢のごとしだ。そういったトピック的なライブの記憶しかないということは、数えきれないくらいこの会場に足を運んだ証拠でもある。

足繁く通ったZepp Tokyoで見る最後のライブがThe Birthdayとなった。彼らがZepp Tokyoで演奏するのは2014年以来で、これがバンドにとって最後のZepp Tokyoでのワンマンだ。とはいえ大団円を演出するようなお祭り的な内容ではなく、あくまで「ツアーの一環」というスタンスだった。「12月2日」からスタートしたライブは重たいビートと緊張感に彩られ、アルバム『サンバースト』がもつシリアスな空気をそのまま会場に放ったようなものとなった。過去作からチョイスされたのが「夢とバッハとカフェインと」というように、終始、ロックンロールの緊張感で彩られた。それがたまらなく心地よかったし、たまらなく楽しかった。

ターニング・ポイントは6曲目の「アンチェイン」。開放感にあふれた楽曲は会場を一気に盛り上げた。2020年のEP収録曲「ヒマワリ」「スイセンカ」で前半はピークへ。それに続く最初期曲「ハレルヤ」が圧巻だった。4人の素晴らしいセッションによりここまで紡いできた物語が一気に昇華。ここでライブが終わってもいいとさえ思った。

次のターニング・ポイントは「月光」。この曲を皮切りに俄然ロックがロールしていく。「月光」はライブの「パート2」の幕開けを宣言したかたちになった。そのパート2のエンディングが本編最後の「オルゴール」「ギムレット」。終わりと始まりを歌ったこの2曲がライブのエンディングを飾ったことで、会場をよりエモーショナルな空気に変えた。もちろんそこには「Zepp Tokyoの終焉」という物語への感情も含まれている。

アンコールは最新EP『CORE 4』から「ヘッドライト」「ブラックバードカタルシス」が演奏された(最後は前作『VIVIAN KILLERS』の曲「OH BABY!」)。今回のライブは基本的にはアルバム『サンバースト』とEP『CORE 4』という直近の2作品で構成されていた。

最初から最後まで世界観をぶらさず、ひとつの色で塗りつぶしたようなライブ……と書くと狭い世界で展開されたライブのようだが、披露されるロックンロールから見えてくる光景はとても広大で果てしないビジョンを伴っていた。物語の展開も含め、映画のサントラを聴いているような感覚になった。終わりのなかにある始まりを物語の最後に歌ったライブは「終わりは決して終わりではない」ことを告げていた。Zepp Tokyoの最後にこのライブを見られたのは幸運だったかもしれない。(森内淳)







SETLIST
1.12月2日
2.晴れた午後
3.ある朝
4.夢とバッハとカフェインと
5.ラドロックのキャデラックさ
6.アンチェイン
7.ヒマワリ
8.スイセンカ
9.ハレルヤ
10.月光
11.ショートカットのあの娘
12.バタフライ
13.レボルバー
14.JOIN
15.息もできない
16.オルゴール
17.ギムレット
--------------------------
encore.
1. ヘッドライト
2. ブラックバードカタルシス
3. OH BABY!

© 2022 DONUT
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リリース情報


「CORE 4」
2021年11月3日(水)リリース
収録曲: 1. ある朝 2. ブラックバードカタルシス 3. レイトショー 4. ヘッドライト <『SUNBURST TOUR 2021』LIVE TAKE> 5. JOIN 6. ヒマワリ 7. オルゴール



AL『サンバースト』
2021年7月28日(水) リリース
初回限定盤(CD+Blu-ray)
【CD】収録曲: 01.12月2日/02.息もできない/03.月光/04.ラドロックのキャデラックさ/05.レボルバー/06.アンチェイン/07.晴れた午後/08.スイセンカ/09.ショートカットのあの娘/10.ギムレット/11.バタフライ ※通常盤共通、アナログのみ曲順変更 【Blu-ray】 『GLITTER SMOKING FLOWERS TOUR 2020』LIVE MOVIE 収録曲:ヒマワリ/青空/KISS ME MAGGIE/SOMBREROSE/DOOR/ROCK YOUR ANIMAL/木枯らし 6 号/春雷/プレスファクトリー/24 時/Red Eye/BITCH LOVELY/1977/OH BABY!/COME TOGETHER/オルゴール/くそったれの世界/声/なぜか今日は 「月光」MV ※初回限定盤のみに収録 ※Blu-ray部分プレイパス(R)対応


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12inch アナログ限定盤(重量盤2枚組)
■DISC-1 <SIDE A>01.12月2日/02.レボルバー/03.ショートカットのあの娘 <SIDE B> 04.息もできない/05.晴れた午後/06.月光 ■DISC-2 <SIDE C> 07.スイセンカ/08.ラドロックのキャデラックさ/09.アンチェイン<SIDE D> 10.バタフライ/11.ギムレット


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