DONUT

2020.06.02 upload

ステレオガール インタビュー
高校生の時からずっと聴いてる音楽へのリスペクトとかも、今まで以上に『Pink Fog』では出てるような気がします
――Anju

自分が変化していっても、なお受け入れられる曲をこのアルバムには入れた感じなのかも
――Chamicot

Anju(vo)、Chamicot(gt)、Kanako(gt)、Riku(ba)、Yuka(dr)の5人からなるステレオガールの1stフル・アルバム『Pink Fog』がいよいよ、6月3日にリリースとなる。当初は4月に発表予定だったが、新型コロナウイルスの影響により延期となっていた本作。バンド活動としては2018年の本格始動からまだ2年ちょっとではあるが、完売・再入荷を繰り返した初音源や各地のイベント、大型フェス出演などを経てバンドは大きな飛躍を遂げてきた。今回の新作をきっと多くのファンが待ちわびていたことだろう。インタビューでも話してくれているが、このバンドの楽曲には、直接的な言葉で「頑張れよ」とエールをおくるような曲は1曲もない。しかし、ふとしたフレーズで、ふとしたメロディで、ふとしたビートで聴く者それぞれの心と向き合ってくれる“あなただけ”の瞬間がある。いびつだけどポップな曲調も、甘いけどぶん殴られるような音像もステレオガールの真骨頂が目白押しだが、そんなサウンドとともに『Pink Fog』ではそのとびきりの瞬間がたくさん訪れる。今回DONUTでは、AnjuとChamicotにインタビュー。現時点でのライブは未定だが、6月14日、6月20日or21日には配信形式のライブを予定。作品はもちろんこちらもチェックして、今のステレオガールにぜひ、出会ってほしい。

●取材・文=秋元美乃/森内淳

―― 1stフル・アルバム『Pink Fog』が完成しました。手応えはどうですか?

Chamicot 最初に仕上がった時の感想は「いいアルバムができたな」でしたね。普通に聴いただけでもいいアルバムだな、と思って。

Anju かなりいい感じになったんじゃないかと思います。今、ステレオガールはこうですよというのがちゃんと出たアルバムになったと思います。

―― 前回、インタビューした時には「次作はミドル・テンポの曲が多くなる」と言っていて、それで『NADA』ができて、今回の『Pink Fog』もそういう空気感を引き継いだような作品になりました。

Anju 明確に目指す場所があるわけじゃないけど、普通にみんなのできることの引き出しが増えてきたんですよ。

Chamicot やっとね(笑)。

Anju ビートのレパートリーとか増えてきたんで、速くて4つ打ちで「ダンダンダンダン、レッツゴー、レッツゴー」みたいなのじゃなくて、それよりも、ひとテンポ、ひとテンポ、しっかり味わって弾くみたいな。自分が叩きたいように叩くとか、弾きたいように弾くみたいなことは、前よりも全然できるようになってきたから、今はそれが楽しいって思える状況なんじゃないかなと思ってます。「この曲を弾いていると楽しい」という声がみんなから聞こえてきたりとかも……

Chamicot したよね。

Anju 「これはちょっと叩き方を工夫したんだ」とか。そういうふうな話を聞くので、みんな、そういうふうに思ってるんだろうなって。

―― 音作りもシンプルなのに以前よりも存在感がありますよね。工夫をした点はありますか?

Chamicot 工夫と言うより、みんなが単純に上手くなってるんですよね。『ベイビー、ぼくらはL.S.D.』とかを聴き直すと、いかに上手くなったかがわかりますね(笑)。当時、うちらは下手っぴだったんで、技術的な進歩がどれくらいあったかがわかるというか。あれからエンジニアさんといっぱい話をしたり、レコーディングをする上でいいあんばいがわかるようになってきたっていう。単純な成長です。

Anju 微妙なこともできるようになったよね。

Chamicot 微妙なこともちょっとずつわかるようになってきた。『ベイビー~』の時は初めてのちゃんとしたレコーディングだったんですよ。だからギターもいっぱい重ねてやれって感じで重ねちゃったけど、今は上手いあんばいがわかってきたから「ここで止めておこう」って、わかるようになってきただけで、とくにすごい工夫をしたとか、そういうわけでは全然ないですね。上手くなっただけです。ここまで来るのに3年もかかったっていう(笑)。

Anju そんなもんだろう。

Chamicot 一番最初に作ったやつはけっこういろいろいじってたんですけど、今回はほんと生っぽい感じというか、ギター・ロックっぽい感じをまず大事にしているアルバムでもありますね。だから「GIMME A RADIO」とか聴き比べてもらえると深みとか面白みがちがうと思います。

―― バンド・サウンドとしてひと塊になったというか、よりまとまった感じがするのはそういう理由もあるんですね。

Anju 嬉しいです。

Chamicot まとめようという気持ちがやっと出てきた(笑)。

Anju もともとよかったところがさらによくなった感じだよね。

Chamicot 本当に単純な話なんですけど、ギターの音がよくなったとか、もっと難しいフレーズが弾けるようになったとか。ドラムの切れがよくなったとか、本当に単純なことなんですけど、そういうところから徐々にスキルアップをしていると思います。

Anju ピッチの修正とかもないし。

―― 全体的にコンセプチュアルなアルバムのような印象もあるんですが、そこは何か意識しましたか?

Anju そういうふうに受け取る人が多いんだよね。

Chamicot 多いね、今回。コンセプトを決めて作ったんですか?っていう質問が今回多いです。コンセプトを考えて曲を作るのは、基本、私はしないので、ここに出てきた曲も、ほとんどそういうふうには作ってませんね。ほぼ一定期間の間で作ってはいるんですけど。こうしようというのを一個持って作ったわけではないですね。

Anju アルバムに収録する段階で、この曲は入れて、この曲は外して、みたいなことはあるにはあるんですけど、結局は自分たちの作ったなかで、いいな、というやつを出して、これならこういうタイトルがぴったりだなってアルバム・タイトルを付けて、それでやっと自分たちでもアルバムの全貌がわかってくるようなところがあるので、コンセプト・アルバムみたいなアプローチをしたわけではないです。

―― 曲はかなり集中して作ったんですか?

Anju 集中した方だと思う。

Chamicot 半年もないくらいですかね。

Anju 一昨年(2018年)の冬くらいから去年(2019年)の春くらいにかけて、Chamicotが曲を書き溜めて。曲の原型を去年の夏頃までにバンドでアレンジしていって、秋~冬にレコーディングをしたという感じです。

―― 歌とメロディが立っている楽曲が集まったという印象がありますが、ある程度、意識したりしましたか?

Anju あんまり意識してはいないんですけど、ポップなものを作るのは好きなんですよ。歌詞が聴こえて、歌が聴こえて、ギターがかっこよくて、ベースがかっこよくて、ドラムがしっかり聴こえてっていうのがあるので。

Chamicot バンドを組んだ当初から5人だったんですよ、うちのバンド。ギター2本、ベースとドラムがいて、ピン・ボーカルだったんですよ、昔から。という条件がまずあって、楽曲を作るんだったらピン・ボーカルを立たせる曲を作ろうと昔から思ってたのかもしれないですね。当たり前のことなんですけど。Anjuが歌をうたった時に映えるような曲を自分で作ってても気持ちがいいし、バンドとしてもそういう曲を目指すだろうなっていうのがあったんで、それでこういう曲たちになったというのはありますね。ポップなものが好きだったっていうのも、もちろんありますけど。

Anju だから、むしろコンセプチュアルっていうふうに感じてる方は歌が聴こえるとかメロディがはっきりしているとかじゃなくて、たぶん曲それぞれが持っているイメージなのかなっていうふうに思います。

―― 雰囲気とか?

Anju そう、雰囲気とか。そういうものに統一感みたいなものを感じてるんじゃないかな、と思います。

Chamicot このアルバムは全体のムードがわかりやすい。

Anju そうだね。

Chamicot どうしてこうなったか理由はわかんないけど。

Anju それはたぶんChamicotが短期間に書き溜めた曲だったりするから、その時の季節とかその時の気分とかが出ちゃってるんじゃないかなって、私は思ってるけど。

Chamicot そうかも(笑)。

―― ただ『Pink Fog』は迷いがないというか、今までの作品と比べて、着地点が明確になっていますよね。

Anju ああ、そうかもしれない。

Chamicot ミニアルバムを2枚出したじゃん。その2枚はかなり紆余曲折を感じるよね。

Anju そうだね。

Chamicot ものすごく明るいミニアルバムから落ち着いたオルタナティブなミニアルバムと出してきたけど、『Pink Fog』はバンドとして一番いいところに行っている感じはある。ステレオガールを高校の時に組んだ時から「どうしよう?」みたいなところがあったじゃん。バンドとしてのキャラクターとか。今回、初めてフルアルバムを出して、なんかようやくひとまとまりになった感じはありますね。他のみんながどう感じてるのかは、わかんないですけど。それで言うと、わりといろんな紆余曲折を経たからこそ、ここにたどり着いたんじゃないかなと思います。

―― 例えば、ステレオガールがフルアルバムを出すと知った時、ずっとライブの定番になっていた「ぼくらはわかくてうつくしい」とか、ああいうパンキッシュな曲も入って名刺代わりの1枚になると思っていたんですけど、そうではなくて……

Chamicot ちゃんとフルアルバムを作った感じ?

―― そういうところもこのアルバムの肝なのかな、と思ったんですけど。

Anju 「ぼくらはわかくて~」に関しては……

Chamicot 入れようとも思わなかったね。

Anju 私が歌詞を書いたわけではないんですけど、曲が行き着くところとしては、なんだろう。……27で死ぬっていうのがすごいかっこいいって中学生の頃とか高校生の時は思ってたかもしれないけど、でもずっと音楽を続けてる人もたくさん見てきたし、音楽を続けることがすごく素敵なことだというか、簡単なことじゃないとか、そういうことも全然わかったし。あの曲は単に“若いことがすべてだ”っていうことを言いたかったわけではなかったんですよね。でもちょっとあの曲が独り歩きしすぎたところがあって。とある時期に、この曲はこれからのステレオガールには必要ないんじゃないかなっていうふうに思って。

Chamicot あれは英断だったよね。Anjuが言い始めたんですけど。

Anju だからもうやらなくていいやって思って。よく「あの曲はライブでやらないんですか?」って聞かれてた時期もあったんですけど、最近はあんまり言われなくなったしね。

Chamicot 今でもパンクは好きなんですよ、全然。それはもちろんあるんですけど。それとはまたちがった次元で……

Anju これでやっとなんか私は「音楽、楽しい」って言えた気がします。もちろん、高校の時のテンションでファーストを作ったことも、全然、それはよかったと思うし。あの時の私たちは『ベイビー、ぼくらはL.S.D.』が作れたから、それはそれでいいことで、ただ「今はこういうのを作るよ」っていう気持ちです。逆に言ったら、同じEPに入ってた「GIMME A RADIO」とかは『Pink Fog』に入ってる。「GIMME A RADIO」が持ってるものっていうのは、逆に変わらないものなのかな、みたいな。

Chamicot 自分が変化していっても、なお受け入れられる曲をこのアルバムには入れた感じなのかも。若くて美しくはなくなったけど、孤独は変わらない奴みたいな(笑)。

Anju とは言え、あの曲は若くて美しいって言いたかったわけじゃないんだけどね(笑)。

Chamicot そこに解釈を統一しているわけではないんですけど(笑)。

Anju 私たちが高校生の時からずっと聴いてる音楽へのリスペクトとかも今まで以上に『Pink Fog』では出てるような気がするし。そういう意味でも、変わってるところと変わらないところがあるんだと思います。

Chamicot Anjuの歌がめっちゃ上手くなってるんですよ。

Anju 上手いとか下手とか言うよりも、ちょっとミスってるところも入れちゃうくらいのライブ感じゃないけど、そういったものが欲しかったので、今回はそんなに細かくぎちぎちに直そうみたいな感じは今までのなかで一番ないですね。

―― たしかに歌の力をすごく感じました。

Chamicot パワーアップしましたよね。

Anju すごい変わったね。

―― ミドル・テンポの曲調だと余計にそれを感じました。

Anju なんでだろうね。

Chamicot ミドル・テンポっていいよね。

Anju それこそまたここに来て、引き出しが増えたのかもしれない。もともと聴いてたんですけど、R&Bを聴き返したりとか、ソウルを聴き返したりしたし。日本の昔の歌謡曲とかも聴いたりしてたし。それがどう反映されてるのか、まだちょっとまとめて説明できるほどではないんですけど。だからそれなりにまた変わったかもしれないですね。まわりにいい歌をうたう人もたくさんいるので、そういう人たちにも少しずつ影響を受けたと思うし。バンド・サウンドも外でライブをやってて、いろんな人と関わったことが大きいんじゃないかな、と私は思う。

Chamicot いろんな人と喋ったりとかね。

Anju いろんな人のプレイを見て……

Chamicot アドバイスをもらったりもするし。

Anju そういうのが大きかったと思いますね、それこそ高校の軽音楽部のままやっててもできなかったことかなあっていうふうに思います。

―― そう言えば、ライブ・イベントのときは他のバンドの時も全員フロアで踊ってますよね。

Chamicot こないだも雑誌かなんかで言われたんですけど、誤解されないように言っておきますけど、つまんないバンドではマジで踊らないですよ、うちら(笑)。いやらしい奴らだと思われたら困るんですけど(笑)。

Anju 高校の時、部活で普通に音楽が鳴っていて、身体を動かしてっていう原初的な楽しさみたいなものは知ってるから、変に「俺は他のバンド、見ないぜ」っていうのはないし、いい音楽があったら、それが自分のでも他人のでも素直に嬉しいっていうのがあるので。

Chamicot 10代の頃からプリミティブな気持ちで音楽を聴いているので、全然、知らない対バンとかでも、めちゃくちゃいい音楽が聴こえてくると、楽屋を飛び出して、フロアに行って踊りたくなってしまうというのは昔から変わらないですね。

Anju それがハード・ロックでもヒッポホップでもエレクトロでもジャズでもJ-POPでも変わらないことなので。だからメンバーもいろんな音楽を聴くし、バラバラだと言ったらバラバラだし。そういった、いろんな音楽が好きっていうのも、いろんなふうに影響して、このアルバムにも出ているような気もします。

Chamicot 『Pink Fog』に入っている曲たちの雰囲気と、そういうバンド・メンバーのテンションと、このアルバム全体が持つなんとなくの雰囲気がうまい具合に合致したっていうのが、このアルバムのよさだと思ってて。そういう意味でも、このアルバムはまさに今しか作れないアルバムだと思います。

Anju 初期衝動=「楽しい」っていうことなので、このアルバムには初期衝動も残ってるんだよね。

Chamicot それも残ってる。

Anju だから、このアルバムがステレオガールの新しい名刺になったらいいな、と思います。

Chamicot 名刺は更新しなきゃね。

Anju そうそう。

―― 『Pink Fog』というタイトルは誰が考えたんですか?

Anju 私です。タイトルは毎回、私なんです。曲は全部、Chamicotが作ってきて、タイトルだけ私が考えるという(笑)。

Chamicot 複数、候補があったよね。

Anju あったんだよね。

Chamicot 4個くらい候補があって、そのなかに『Pink Fog』があって。

Anju めちゃめちゃ迷って、最後、何個か出したんだよね。それで『Pink Fog』になって。

Chamicot 多数決で。

Anju 「Pinkナントカ」と「ナントカFog」みたいなやつから私が最後に「Pink」と「Fog」をとって、『Pink Fog』にしたんだけど、けっこう意見がわかれて大変だった。

Chamicot 大変だったよね、アルバム・タイトルを作るの。

Anju 2曲目の「春眠」がこのアルバムのなかで、かなり大きなイメージかなっていうふうに思ってて。新生活が始まるぞっていう明るいイメージとは裏腹の、新しい場所でストレスを感じたりとかっていう。そういうのがどうしても私のなかのイメージとしてあって。それでピンク色の靄(もや)がふわふわってしてる感じが出たらいいかなと思って付けました。切なさというよりも不穏な感じというか。

Chamicot 気だるさとか不透明さとか。

Anju みんながすごくストレスを感じたりとか忙しくしたりしてるのにも関わらず、外側のイメージとしては明るくて柔らかいイメージになっているというのがなんか不穏だなというふうに私は受け取っていて。ジャケットも大きいビルの後ろにでっかい気持ち悪い雲があるようなアートワークになったのも、そういうイメージがなんとなくあって。こういうのを作って欲しいと頼みました。

Chamicot 大変見覚えのあるジャケットになったんですけど。

Anju ドラムのYukaちゃんが作ったんですけど、これとかこれっぽくしてほしいって言った時に、そのなかの1枚をYukaちゃんが気に入ってくれて、見覚えのあるデザインになりました(笑)。でも付かず離れずで。

Chamicot 文字とかも入ってないから。

Anju アルバムのなかには「ルー」っていうタイトルの曲もあるし(笑)。

Chamicot 「ルー」って曲も作っちゃったし(笑)。

Anju 遠からず(笑)。

Chamicot でもカレーのルーの歌かもしれないし(笑)。

Anju カレーのルーの話だよね(笑)。

―― そうやってロックは継承されていくんですね(笑)。

Chamicot 大好きでございます。

Anju 私のなかで、このアルバムってルー・リードの「Perfect Day」と似たようなイメージがあるんです。あの曲もなんかラブ・ソングっぽく聴こえるけど、ちょっと不穏なんですよね。個人的なセンスとしてはルー・リードの一筋縄でいかない感じっていうか、不穏なものを感じさせる世界観っていうのがすごく好きだし、ひとつのことだけを言わないところも好きだから、そういうところにも影響を受けてる感じですね。

―― そういうことも踏まえて、いろいろな思いを抱えているリスナーにも届くだろうし、「おやすみグッドナイト」の「間違えたり 悲しんだりしてるきみには あげる」というフレーズがとくにぐっと来ました。救われるというか。

Chamicot 名Bメロだ! 世界で一番いいBメロじゃん。私、自分で作っておきながら、世界で一番いいBメロって呼んでるんですけど(笑)。メロディもいいし、聴くとキュンとしますよね。私もどこからこんないいフレーズを思いついたんだって、毎晩、思う(笑)。

Anju 本当は大サビがあって終わりだったんですけど、なんかもう一回やりたいと思ってこのパートを作っちゃったんですよね。終わり方の「とびきり、ブルー、ハイライト」も私が勝手にくっつけちゃった。本当は「おやすみグッドナイト」という大サビが2回あって終わりだったんですけど、それだとなんか味気ないかなと思って、じゃBメロを持ってきちゃうかと思って、後でつけちゃったんですよ。

Chamicot ということはBメロじゃなくてラスサビか。

Anju ここの歌詞、好きだけど、1番と2番ではさらっと使われてるから、最後にあったら落ち着くな、と思ったから。

Chamicot そこはAnjuっぽいなと思いますね。ステレオガールの歌詞には主体がいるんですけど、曲のなかで、それを受ける客体がいないっていうのはよくあるんですよ。曖昧な表現が多いんで。Anjuが歌詞をアレンジメントすると、よく、今まで私の詞で見えてこなかった客体が見えてくることがあるんですよ。これとかはわかりやすくそうなってますよね。「してるきみには あげる」ですから。例えば「ひとごろし」の「ぼくはひとをころしている」というところはAnjuがつけたんです。

Anju そこは私が勝手にアレンジしちゃった。

Chamicot でも、あれがあるかないかで曲の解釈がめっちゃ変わるんですよ。

Anju ああ、たしかに。

Chamicot 「おやすみグッドナイト」のここの歌詞のアレンジにはそれとちょっと通ずるところがあって、ああ、Anjuっぽいなって思いながら、私も仕上がりを聴いてました。

Anju 文句言われないから、ま、いいかって。

Chamicot それは全然。私だけで作るもんじゃないんで、曲は。面白いな、と思いました。

―― 音楽ファンに響くフレーズですよね。

Anju それこそなんか春のストレスな感じとか鬱っぽい感じとかがイメージのひとつとしてあるんですけど、「おやすみグッドナイト」はアルバムを作る前からあった曲ではあるんですけど、にっちもさっちもいかない時に、「頑張れよ」とか「なんとかなるよ」みたいなことを言われるのが苦手なタイプなんです。苦手っていうか、「頑張れよ」って言われるよりも何か助けになる言葉があると思っているので、この曲なんかはとくにそういうポップネスがあると思います。ダメ人間ポップですね、これは(笑)。

© 2020 DONUT

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INFORMATION


1stフルアルバム『Pink Fog
2020年6月3日(水)リリース
収録曲:01.Intro/02.春眠/03.I Don’t Play Baseball/04.GIMME A RADIO/05.Walking Through The River/06.おやすみグッドナイト/07.ルー/08.サバクを見に行こう/09.ランドリー、銀色の日
配信サイト一覧:https://LDK.lnk.to/stereogirl (2020年6月3日(水)0時より配信開始)


※ LIVE INFORMATION は公式サイトでご確認ください。


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