DONUT

2020.03.04 upload

SULLIVAN's FUN CLUB インタビュー
「どんなバンド」って一概に言い切ることができない、というのがサリバンらしいのかなと、今は思います。 何にでもなれるし、まだ何ものでもないと思ってるので
――ヨシダレオ

北海道・札幌在住のロックバンド、SULLIVAN's FUN CLUB。彼らはヨシダレオ(vo&gt)、 ヤダニイナ(ba)、タダカズキ(dr)、ヨシダカズマ(gt)からなる4人組で、昨年2019年には「SUMMER SONIC 2019」の「出れんの!?サマソニ!?」枠に出演。その後も「マイナビ未確認フェスティバル 2019」でグランプリを獲得し、12月に行われたスタークローラーの来日時には名古屋公演のサポートアクトを務めるなど、全国へとその名を広めている真っ最中。そして2020年3月4日、その歩をさらに加速させるミニアルバム『Sentimental Young Ones』がリリースされた。本作では衝動や葛藤という言葉ではおさまりきらない“何か”が顔を覗かせ、聴く者の心に向かってくる。サリバンは、その形のないもの、まだ名前のつけがたい“何か”に未来を予感させるバンドだ。そして、歪んだノイズも剥き出しの叫びも、繊細かつ大胆にポップとして昇華させるパワーを秘めたバンドだ。その片鱗を早くも窺わせる本作のリリースにあたり、今回はフロントマンのヨシダレオにインタビュー。バンド結成から現在までを辿りながら、自身の音楽ルーツについて、バンドについて、『Sentimental Young Ones』について話を訊いた。ちなみに彼らは全員10代というまさにYoung Ones(レオはこの3月に二十歳を迎える)。今後の活動がとても楽しみだ。

●取材・文=秋元美乃/森内淳

―― SULLIVAN's FUN CLUBは、どのように結成されたバンドでしょうか。

ヨシダレオ 最初はドラムのタダカズキと、札幌のすすきのにある音楽学校で結成したバンドなんです。タダカズキは後輩で、あと、少し歳が離れて俺の7つ上になるベースの先輩と、3ピースで活動していました。で、ベースが辞めることになって、タダと同学年のヤダニイナが加入して、2017年にまた3ピースになって。2019年1月からは他のバンドで親交のあったヨシダカズマを誘って今の体制になりましたね。ちょうど彼のバンドがうまくいかなくなったタイミングだったので、声をかけたんです。

―― 3ピースではなく、4人体制のバンドを目指していたんですか?

ヨシダレオ それは当初ありました。あと単純に友達がいなかったんですよね。自分が作った曲にぴったりなギターを弾ける人もぴったりな歌をうたえる人も自分の知ってる中にはいなかったので。「だったら俺が頑張ればいいか」みたいな感じで。でもやっと、札幌でいろんなバンドと対バンしたり、いろんな方と交流を深めていく中で「4人でやってみてもいいかな」と。

―― バンドサウンドとして、4人組の構想があったということ? もうひとり音が欲しかったとか。

ヨシダレオ バンドがやりたいと漠然と思って結成したので、ジャンルとか編成とかはあまり意識したことがないというか。いい音楽ができるんだったら何人いてもいいと思ってるし、ひとりでもいい。そう思ってやってきて、今は4人の状態に落ち着いている感じなんです。

―― そもそも、バンドをやりたいと思ったきっかけは何かあったのでしょうか。

ヨシダレオ 話すと複雑なんですけど、音楽学校にいた頃は定期ライブというのがあって、そのために何かのコピバンをしたいから先輩や後輩と、その都度ひと晩限りのバンドを組んでいたんです。ある時、それにパタッと疲れちゃって、自分ひとりで自分の曲をちゃんとやりたいなと。で、2015年から2016年くらいの一年間はひとりでやっていたんですよ。学校の設備を使って自分で録音して。そうやってソロアルバムを作ったんですけど、今度はできた時に「これが自分のやりたいことなのかな」と思うようになって。改めて自分は何をやりたいのかと考えた時に、「バンドがやりたい」と思ったんですよね。「ロックバンドがやりたい」って。それで、友達がいないから先輩と後輩を連れて始めたんですよね(笑)。

―― そうなんですね。ソロの頃はどんな音楽をやっていたんですか?

ヨシダレオ ジャンルにとらわれていないので何というか……ファンキーというかフォーキーというか。今の“激情型”と言われるイメージではなく、フォークを基本とした音楽でしたね。

―― そこは自分のバックボーンが影響しているんですか?

ヨシダレオ そうですね。ちょうどSAKEROCKに猛烈にはまっていて、そこから細野(晴臣)さんの影響が大きくて、“トロピカル三部作”やティン・パン・アレーの「Exotica Lullaby」とかをすごく聴いていた時期だったので。そこから星野源を聴いたりしていました。ナチュラルというか、アコースティックでフォーキーなものを作りたいなと思っていた時期でしたね。

―― コピーでは物足りなかったという気持ちがあったんですかね?

ヨシダレオ コピーするからといって誰かが楽譜を取ってきてくれるでもなく、YouTubeで曲を再生して、それを何日間もかけて耳コピするという作業を繰り返していたんですけど、全然うまくいかなくて。その時にギターの先生に「ちゃんと弾かなくてもいいんじゃない? 雰囲気をインプットして、君のやりたいように弾けばいいんじゃないの?」と言われて、そうやっているうちに正確に弾くことができなくなって。創造性というか、よりクリエイティブな方にのめり込んでいったという感じだと思います。

―― 歌詞も同じくその頃から書き始めたんですか?

ヨシダレオ 曲作り自体は、もう少し前からかもしれないですね。小学5年生くらいの時にアコギを初めてもって、練習し始めて弾けるようになって。その頃、友達が歌詞を書いてきたのでそれに俺が曲をつける、みたいなことを始めましたね。遊びの延長というか、友達とお喋るする延長にあって。そこが一応、もの作りのルーツ。一番古い地点なのかなと思います。

―― じゃあ、子供の頃から音楽は身近なところにあったんですね。

ヨシダレオ そうですね。親父がアコギを弾いていたり、ブルーハーツやビーズ、ビートルズとか、いろんな音楽を教えてくれる大人が周りにいましたね。

―― それで音楽学校に行ったんですね。

ヨシダレオ それはまた話すといろいろあるんですけど。音楽の学校に在籍していたのは中2から高1までで。中学は市立の学校に行ってたんですけど、パタッと行けなくなっちゃって。フリースクールみたいな形で音楽学校があって。そこに中2の時に行って。そのまま高校と連携して、高3までいれば高校の単位も取れるよ、卒業できるよ、みたいなところだったんですけど、そこも居心地が悪くなっちゃって。それで高1でやめて通信の高校に入りました。変なところで3年間ずつ切れちゃってるんですけど。

―― そうなんですね。でも、話を訊くと、ソロの頃の音楽性とは今は変わってますよね。その辺りは何か変化やきっかけが?

ヨシダレオ それはとくにないですかね。言い方悪いかもしれないけど、今のメンバーも同じものを好きで集まったわけではないし。もちろん、共通点はあるんですけど。だから、例えば「自分たちのジャンルは?」と訊かれると僕、いつも迷っちゃって。

―― 意識してはいないんですね。

ヨシダレオ バンドのことを俯瞰して、いわゆるパブリック・イメージ的な曲を作ることもあるんですけど、でも、イメージにとらわれたくないというか。そのイメージと違うことをして、まわりから「サリバン変わったよね」みたいなことも言われたくないし。だから、音楽性ということに自覚がないんですよね。

―― じゃあ、先ほど細野晴臣や星野源といったミュージシャンの影響があるというお話でしたが、サリバンはその延長線上にあるという感覚ですか?

ヨシダレオ うーん……。今の僕らのパブリック・イメージに一番近いルーツはそこではないんですけど。メロディとかグルーヴとかそういう面で出てるんだと思うんですよね。

―― 自分を通して出てくるもの、ですね。

ヨシダレオ はい。ソロとバンドは、それを表現できるメンバーがいるかいないかの違いでしかないのかなと。ソロでやってた時は、自分でドラムもベースもやっていたし、自分でできること、自分がやりたいことが重なった点がたまたまフォーキーなサウンドだったかもしれないし。バンドでは、その幅がメンバーによって広がっていくという感じなんじゃないかと思うんですよね。言語化するのは難しいですけど。

―― 作詞作曲の点からみると、ソロアルバムを作っていた頃と今とでは変わりはありますか?

ヨシダレオ あ、全然変わらないですね。

―― バンドのメンバーとはどんなやり取りで曲作りを進めているのでしょうか。

ヨシダレオ ドラムのタダカズキとは学生の時に一番一緒にいたので、彼とはひと言のニュアンスで伝わるんです。俺が持っていった曲に対して、自分のやるべきことを一発でわかってくれる。彼のすごいところなんですよね。逆にベースとギターは、バックボーンが色濃く出たりするわけではないので、よっぽど違うことを提示しない限りはまとまるというか。言い方はあまりよくないですけど。

―― レオさんが発信するものに対して、みんな感覚的にキャッチしてるんですね。

ヨシダレオ そうですね。

―― 自分が作った曲をメンバーに委ねてる部分もありますか?

ヨシダレオ けっこうありますね。曲によりけりですけど。今回のアルバムの曲は、わりとメンバーに委ねた部分が多いと思います。

―― じゃあ、ソロの曲とバンドの曲で、曲作りに棲み分けはないんですね。

ヨシダレオ そうもありつつ、でもやっぱりメンバーのことを意識して書く部分もあるので、多少は寄っちゃうところはありますね。

―― そこはあるんですね。

ヨシダレオ ありますね(笑)。両方ありますね。バンドの音を想像しながらできる曲もあるので。だからいい曲ができたら、今はやっぱりバンドでやりたいと思う。

―― 4人になり、2019年になると活動が加速しましたね。

ヨシダレオ はい。ありがたいことに。

―― 「SUMMER SONIC」をはじめたくさんのイベントに出演し、「未確認フェス」ではグランプリを取り、初ワンマンを成功させ、スタークローラーの来日公演のサポートアクトに抜擢され。今振り返ると、そのような状況を自分ではどう捉えていましたか?

ヨシダレオ そうですね……とにかく必死でしたね。これは結果ですけど、いいか悪いかはさておき、何にも向き合えなかったと思っています。自分自身、「今ここにいるから何かをやらなきゃいけない」という焦燥にずっと駆られていて。悪い意味じゃなくて、そこでバンドとしての底力がついたというか。とにかく今はひとつになって1ステージに向き合わなきゃと。そこに向き合いはしてたんですけど、“今しか見えない”みたいな感じで、とにかく必死でした。

―― 自分にとって音楽活動に対する考え方は、バンドを組んだ当初と変わりましたか?

ヨシダレオ 基本的には変わってないですけど、環境が変わったり、やるべきことが見えてくる中で、揺らいだりすることはやっぱりあります。でも基本的には自分が十代の時にこんなバンドがいたらいいだろうな、いい気持ちになれるだろうな、というのが根底にあるので、自分自身では変わった気持ちはないですね。

―― バンドでやっていくんだ、というような意識は当初からありましたか?

ヨシダレオ そういうのはないですけど、根拠のない自信だけはあったんですよね。「俺は絶対にやれるし」みたいな。ひとりの時もメンバーが増えた時もやめた時も、「いや絶対に俺ならやれるし」みたいな。一生音楽をやれるんだろうな、やりたいから頑張んなきゃな、ってずっと思ってます。

―― 音楽を始めて、レオさんに“歌いたいこと”が出てきたのはいつ頃ですか? もしくは自分の曲が書けたなと実感できた時。

ヨシダレオ 自分の曲が書けた、というのは、曲を作るたびに思ってます。「今までで一番いい曲ができた、早くみんなに聴いてほしいな」という気持ちをどんどん塗り替えてるというか。

―― はい。

ヨシダレオ 例えば、言いたいこととかもあるんですけど、言いたいことを言ってたら支離滅裂になっちゃうんですよ、僕は。

―― 言いたいこと、書けてるんじゃないかと思いますが。

ヨシダレオ そうですね……なんか、言いたいことってあってないようなものだと思っていて。良くない言い方かもしれないけど、作り手がどうこう思ったところで、聴く側にしてみたら関係ないのかなって。それはサウンドにも歌にも自然とのるものだと思うので、そこに重きをおいてつまらないものになるのはいやだな、と。だから、言いたいことって別に考えてないですね。あ、でも、言いたくないことは言わないようにしようとは思ってます。言いたくないことは絶対に書かないです。うまく言えないですけど。

―― じゅうぶん伝わります。で、新しいミニアルバム『Sentimental Young Ones』が完成しましたね。

ヨシダレオ はい。手前味噌ですが、いい作品ができたと思います。一番いいのは最新作なので、そこは胸をはって「いい作品です」と言いたいです。

―― これまでの作品を踏まえて、例えば変化や気づいたことなど、自覚することはありますか?

ヨシダレオ セカンドの時はけっこう尖ってエッジーな音楽に傾倒していたんですけど、2019年にライブをやっていく中で、“歌”って自分が思っているよりも大切なんだなと思いましたね。さっきの歌詞の話とも繋がるんですけど、自分が考えている以上に聴いてる人に伝えることができてるんだなって。自分の枠を超えて、完全に人のものになるんだなって。歌にはそういう力があるんだと、身を以て実感しました。なので、メロディをしっかり伝えたいなと思ってできた曲たちが今回のアルバムですね。

―― たしかに、どの曲もメロディが印象的です。

ヨシダレオ 振り返ってみると、ソロアルバムを作っていた時に一番大事にしていたのがメロディだったんですよね。そこからロックをやり始めてロックのおいしいところを知って。歪んでるギターとか、ファジーなソロとか。そういうのをやった上で、原点回帰じゃないですけど、もう一回メロディに立ち返る時がきたなと思ったんですよ。そこが個人的には変化かなと思います。

―― だから、今まで聴いたことのないポップな聴き心地が生まれているんですね。「RE CORD NOISE」とか、新しいポップさがありますね。

ヨシダレオ 自分が聴いていて「このメロディいいな」と思えるメロディを書こうと思って書いた曲ですね。自分でもグッとくるな、と思います。

―― キャッチーな作品になりましたね。激情型、オルタナティブと言われるバンドは他にもいますが、レオさんがフォークから通ってきたというルーツも踏まえて、他のバンドとの違いがわかってきました。例えばサウンドのデザインは、今回のアルバムはどんなアプローチをしたんでしょう?

ヨシダレオ 単純に、メンバー全員の技術があがって、メンバーもひとり増えて、機材も今までよりちょっと色々試せるようになって、という中で作れたのも大きかったですけど。アコースティックギターと歌だけでできたものに対して、全員で精一杯のアプローチをしたらこうなりました。

―― レコーディングではメンバーとどんな話をしたんですか?

ヨシダレオ 今回、シンセサイザーを導入したり、新しい機材を使うことが多かったんですよね。アンプだったりドラムセットだったり。そういう面で補い合いながら作り合えたというか。「これどうしたらいいと思う?」「こうしたらいいと思う」とか、会話が増えてましたね。前はそれぞれ自分が作りたい音を作ってた感じなんですけど、みんながプレイヤーとしてサウンドと向き合うことは前より増えたと思います。

―― 全体を通して、ポップだけど切なさを感じるアルバムだなと思って聴いていたんですが、タイトルが『Sentimental Young Ones』と知って納得しました。

ヨシダレオ ファーストとセカンド(2作ともライブ会場限定でリリースした)って、「アルバムを作るぞ」と言って決めた期間の中で作った作品だったんですよね。曲をある程度準備して。でも今回は、1年間を通してできた曲を、アルバムとしてリリースさせてもらうという流れがあって。アルバム自体を想定して向き合うというよりは、1曲1曲に何日もかけて向き合ってきて。そうして、できた曲たちを並べた時に、ベタですけど、タイトルをみて「ああ、そうだよね」って思える作品にしたいと思ったんです。色々候補はあったんですけど、“ヤング・ワンズ=若者たち”っていいなって。僕、2020年3月で二十歳になるんですよ。なので十代として出せる最後の作品で、切ないからセンチメンタル・ヤング・ワンズかなって。

―― 今のサリバンをすごく表しているいいタイトルですね。

ヨシダレオ ありがとうございます。

―― 歌詞はどんなふうに作ってますか?

ヨシダレオ だいたいはメロディができた時点で、こういう歌をうたいたいなというイメージが出てきたり。フィクション、ノンフィクションのどちらもあるんですけど。自分的には、散文をバーっと作っているだけなんです。その中にひとつキーになるワードが入れば伝わるよね、という感じで。意味があるように感じてもらえたら勝ちだと思ってるので。タイトルにしても歌詞の作り方にしても、意味は後からついてくるから、だから言いたいことはあまりないのかな、という気もします。

―― そういう境地に達したのはいつ頃ですか?

ヨシダレオ ひとりでやっている頃は全然辿り着かなかったですね。ファーストの頃は言いたいことがあったんですよ、たぶん。セカンドは、(言いたいことが)なかったわけじゃないけど、広い抽象的な部分に重きを置いていて。そのあたりから散文的な書き方になって、発音も気にするようになりましたし。それでも「すごくメッセージ性がある歌詞だよね」って言われたり。

―― しめしめ、という感じですね(笑)。

ヨシダレオ そうです、してやったりという感じですね(笑)。

―― バンド初期の頃に生まれた「17才」という曲では<僕らは若すぎて 世界に殺された>と歌っていますが、今回「MI RA I」という曲には<殺せと綴ってたって 死ぬことないね>というフレーズがあります。レオさんの中で、見えている世界が少し変わったんじゃないかなと感じたのですが。

ヨシダレオ ああ、そうですね。そうかもしれないです。意図してなかったので、自分でもそうかなと、いま思いました。

―― 前は尖っていたと最初に話してましたが、尖っているだけじゃなく、優しい世界もレオさんの中に入ってきたのかな、と。

ヨシダレオ たしかにそうかもしれないですね。うん。それこそ「DOOR」とかは、一回尖れるところまで尖ってみたんですよね。「DOOR」が入っている『OUTSiDER』という作品は内に向いたアルバムで、どこまで内に向けるか、を重視したものだったけど、よくよく考えたら、よく言われるパンクとかって、優しくてナンボだなと。“メロディが大事”ということと、“パンクは優しいよね”というのが2019年に一番身に沁みてわかったことなんですよ。そこの心境の変化はあったかもしれないです。

―― なるほど。

ヨシダレオ わかってはいたけど、改めて腑に落ちたというか、身に沁みたとうか。

―― そういう再発見や再認識から、出てくる言葉も変わったりするんでしょうね。

ヨシダレオ もちろん、時期にもよるとは思うけど、歌を大事にしたいというか、優しい歌をもっと作りたいと最近思っていて。

―― 優しい歌。

ヨシダレオ サウンドとかじゃなくて、なんというか、優しい歌ってあるじゃないですか。そういう「優しいのっていいよね」というのをSULLIVAN's FUN CLUBというアウトプットで出せればなと思ってるんですよね。

―― サウンドは激しかったりするけど、ということですよね。

ヨシダレオ そう、サウンドは激しいんですよ。でもメロディだったり、ふと見える優しさ。

―― その片鱗はこのアルバムからも伝わりますね。

ヨシダレオ ありがとうございます。

―― ちなみに、レオさんの中にある優しい歌のイメージをもう少し具体的に言うと?

ヨシダレオ なんだろうな。でも、歌詞じゃないですね。言葉の優しさを気にしたことはないです。みんなひとり一人の中に、グッとくるメロディって絶対にあるじゃないですか。自分の中のキラーフレーズ。そのキラーフレーズの曲を色々聴いていると、共通点として“優しい”というキーワードが出てくるんですよね。

―― メロデイで表現する部分が大きいんですね。

ヨシダレオ 大きいですね。とくに最近のサリバンはメロディ重視。メロディにアウトプットされてますね。

―― レオさんにとって、音楽ってどんなものでしょうか。

ヨシダレオ 圧倒的に生活の一部なので、インプットもアウトプットも。今って色んな音楽に出会えるじゃないですか。なのでライフワークというか。

―― バンド活動も日常生活も地続きなんですね。

ヨシダレオ はい、同じラインにありますね。音楽に限らず何かを作っている人は同じだと思うんですけど、ずっと追われているというか。何かないかと思って生きてる。最近すごくそう思うんですよ。何かないか、何か自分の尻を叩いてくれるものはないか、曲になるようなパワーを持った何かに会えないかな、と思って生活してるんです。

―― なるほど。たしかに、サリバンの曲には“満たされてハッピー”という感じの曲はないですもんね。

ヨシダレオ たしかに(笑)。満たされてるような思いの曲はあまり書かないかもしれないですね(笑)。僕、すごくオタクなんですよ。1個のことに辿り着くのに10個拾わないと気が済まない。広く浅くもいいですけど、それなりに広く深く、みたいな。わからないことはちゃんと調べたいし。性格の問題もありますけどね。それをやっていると、いつの間にか全然満たされない人間になってしまったという。

―― どんどん掘っていくタイプなんですね。

ヨシダレオ 探していたものにようやく辿り着いて初めて、また別のことがわかる、みたいな感じなんで、それをやりすぎたのかもしれないですね。

―― 例えば、レオさんを突き動かすものって、言葉にできますか?

ヨシダレオ 怒りでも悲しみでもなんでもいいんですけど、この感情をどう消化したらいいかって、日常生活でたくさんありますよね。そういうやりきれない感情はやっぱり大きいと思います。

―― 十代の集大成として完成した作品。とくにこだわった点などありましたか?

ヨシダレオ メンバー全員の中で共通認識としてあったのは、もっと色んな振り幅のある音楽ができるというところを知ってほしい、ということでした。直系の「PINK YELLOW BLUEZ」からバラードでヘビーな「MI RA I」、ポップな「RE CORD NOISE」とかあって。何かの入り口になるような作品になればいいし、SULLIVAN's FUN CLUBを通して他の音楽をもっと聴いてほしいんですよ。僕の好きな音楽って、ルーツが見える音楽なんです。例えば、僕は銀杏BOYZが大好きなんですけど、僕の好きな音楽は「ほぼすべて峯田和伸が聴いてきた音楽」と言っても過言ではないんです。“14歳の時に影響を受けた”って、自分もそういう音楽をやりたいんです。恥ずかしいですけど。ルーツが見える音楽、その入り口になればいいなというのは、共通認識としてあったと思います。「サリバンはこんなもんじゃないぞ、みんなが思ってるほどストレートじゃないよ」って、そういう部分も感じ取ってもらえると、また面白い聴き方ができるんじゃないかと思いますね。

―― そうですね。楽曲も今までで一番、バラエティに富んでいますもんね。

ヨシダレオ はい。

―― バンドのスタイルができた感じはしますよね。

ヨシダレオ パンクもやりたいしロックもやりたいし、ファンクもヘビーもガレージも全部やりたいよね、という心意気が出ていると思います。

―― 改めて、サウンドもメロディも言葉も、すごく音楽への思いが伝わる6曲だと思います。サリバンにとって、より大切な曲たちになっていきそうですね。

ヨシダレオ そうだと思います。はじめて聴く人にも伝えられるようなバラエティ豊かなアルバムになったと思いますし、今までサリバンを応援してくれてた人が聴いても面白いアプローチとかを楽しんでもらえるんじゃないかと。次への、未来への期待も感じてもらえるような作品になったかと思います。すごく濃い1枚になりました。

―― レオさんからみて、サリバンはどんなバンドになってきていますか?

ヨシダレオ 「どんなバンド」って一概に言い切ることができない、というのがサリバンらしいのかなと、今は思います。掴み所がないというか。「どんなバンドでもないんですよね」って。何にでもなれるし、まだ何ものでもないと思ってるので。でもその入り口がちょっと見えてきたなとも思います。次のリリースの時にはまた変わってるかもしれないですけどね。今またぼちぼち曲を作り始めてるんですけど、2019年にレコーデイングして、2020年に出すこの作品が、また僕らのスタートになるというか。また新しい、みんなの知らないSULLIVAN's FUN CLUBがこの3枚目から始まればいいなと思ってます。

© 2020 DONUT

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INFORMATION


SULLIVAN's FUN CLUB
『Sentimental Young Ones』
2020年3月4日release

1.DATE DATE DATE/2.PINK YELLOW BLUEZ/3.SEN KOHANA BI/4.RE CORD NOISE/5.IMADA MINU SEIGI/6.MI RA I

※ LIVE INFORMATION は公式サイトでご確認ください。

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