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The Street Sliders Rock'n'Roll Chronicle



付録は、B2ポスター、ポストカード3種、復刻チケット3種、チケット型フライヤー2種、久保講堂公演フライヤー、ステッカー4種、特製ポートレート。久保講堂のフライヤーやステッカーはメンバーの私物からデータを起こした。チケット類は長年のスライダーズ・ファンの方からお借りした。チケット型のフライヤーは事務所に保管してあったものとメンバーの私物が混ざっている。メンバーのサインが入ったポストカードはノベルティの下敷きからデータを起こした。B2ポスターはこの本のオリジナルでソニーで撮り下ろした。巻末に掲載したファンクラブの会報はすべてメンバーの私物だ。


本書は、ザ・ストリート・スライダーズにまつわるアーティスト写真、レコード、カセット、ポストカードやポスター、フライヤーなどをアルバムごとに収めた年代記に。スライダーズが活躍した時代、日本は好景気でグッズやアイテムがたくさん制作された。インターネットがなかったので、情報はメールではなくポストカードで届けられた。チケットも、初期の頃は各イベンターがつくったオリジナルの紙チケットだった。アルバムやシングル、ツアーの度にアーティスト写真が撮り下ろされた。80~90年代は音楽メディアも多種多様に変化していった。スライダーズがデビューした当初はアナログレコードが主流だった。それがCDになった。カセットテープはMD(ミニディスク)となった(そのMDも今では遺物だ)。7インチアナログレコードや12インチアナログレコードは8センチCDシングルや12センチCDシングル(マキシシングル)になった。ビデオもVHS~レーザーディスク~DVDと変わっていった(VHDというメディアもあった)。レコーディングも当初のアナログからデジタルレコーディングに変わり、今ではデータへと移行しつつある。今回の撮影でソニーの倉庫からマスターテープを出してもらったが、お目にかかれるのはこれが最後かもしれない(当時は仮タイトルのまま登録されたテープも少なくなく、探し出せないものもあった)。そういう時代背景もあり、当時のクリエイターたちはひとつひとつのアイテム(作品)に並々ならぬ情熱を注いだ。スライダーズのロックンロールからインスパイアされ、イメージの再構築を行い、様々なクリエイティブへと結実させた。この本からはメンバーとクリエイターたちのクリエイティブへの思いが熱となって立ち込めている。とはいえ、40年の間で失われたものも少なくなく、本書に掲載された半数近くはメンバーの私物だ。LPレコードのジャケットなど、メンバーが保管していたそのままの状態で(例えばサンプル盤のシールや帯も外さずに)掲載した。それもひとつの「ヒストリー」であり「ドキュメンタリー」だと考えた。


2023年にデビュー40周年を迎え、解散から22年ぶりに再集結した豊洲PITライブと日本武道館ライブは開催発表後、瞬く間にチケットがソールドアウトし、話題に。バンド解散後、メンバーがそれぞれの場所で積んできた経験がサウンドを歌をより重厚に、より存在感があるものに変え、凄みを増したロックンロールを披露したスライダーズ。日本のポップスが多岐に変化していく時代に生きながら、流行になびくことはなく、ブルースとファンクとロックンロールという普遍性を獲得した音楽を追求し続けてきたからこそのサウンドが会場を覆った奇跡の2日間を、彼らを長きに渡り撮影してきた写真家・三浦麻旅子がドキュメント。熱気あふれる会場の様子を最後の章に収録した。


本書のサイズはLPサイズ。しかも途中に付録を封入。巻末は片観音開きになっていて、最後にはポスターを入れるポケットもついている。特殊な仕様がそこかしこに仕掛けてある本書は印刷は通常の倍の手間がかかり、製本に至っては手作業で進めるしかなかった。裏話を書くと、版元からいくつもの印刷会社にオファーしたところ、引き受けてくれたのは1社だけだったという。それくらい作るのに時間と手間がかかった本だ。当然、大量生産もできない。この本が税抜1万3千円という高額なのはそのためだ。本書に掲載した数々のアイテムそれぞれにクリエイターの熱が宿っているのと同じく、印刷や製本に関わったオペレーターやスタッフの熱も宿っている。本書に関わったすべての人がスライダーズの軌跡を伝えるために努力を惜しまなかった。スライダーズだからこそ実現できたのが本書だといっていい。


The Street Sliders Rock'n'Roll Chronicle(2023年10月7日発売)
仕様:LPサイズ(322×322×22mm)・4c・146p
定価:本体13,000円+税10%(税込価格:14,300円)
ISBN:978-4-86506-433-9
版元:PARCO出版
監修:伊藤恵美(7th Mother)、馬場学(DGエージェント)
編集:DONUT(秋元美乃/森内淳)
デザイン:山﨑将弘
購入方法:PARCO出版の特設サイトまで
https://publishing.parco.jp/books/detail/?id=450

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