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La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記

La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記
暴動クラブのベーシスト、城戸 “ROSIE” ヒナコが毎月、1枚レコードを紹介するコラム。
●プロフィール:城戸 “ROSIE” ヒナコはロックンロール・バンド、暴動クラブ(海外ではVoodoo Club)のベーシスト。メンバーは釘屋 玄(vo)、マツシマライズ(gt)、城戸 “ROSIE” ヒナコ(ba)、鈴木壱歩(dr)の4人。ワイルドで荒々しく挑発的なロックンロールでライブハウスシーンを席巻中。
■連載のアーカイブ:https://donutroll.tokyo/rosie/index.html#archives
■公式サイト:https://voodooclub.fanpla.jp/
■X:https://twitter.com/Voodoo_Club_
■Instagram:https://www.instagram.com/voodooclub_japan/

第12回:高中正義『TAKANAKA』(1977)

2025.08.21 upload

渦巻いて。
8月某日、晴天

私の悪い癖は、年々加速してきているような気がします。

私は海が好きです。

一瞬のうちにも決して同じ形状を保つことのない、あの海が好きです。
あるときはキラキラと穏やかに輝いて美しく、またあるときはその表情を、先の美しさが一切嘘であったかのように思わせるほど豹変させる、そんな海が好きです。

海の中の世界は、山などの陸上の自然界以上に、私たち人間の世界とまるで隔絶されています。私たちが完全に海を支配し、理解することは絶対的に不可能、たとえ私たちの起源が海にあるとしても、それが不可能であることは、私たちがそこで息ができないということ、つまり文明を築くことができないということによって、確証されています。

だから私たちは海が怖い。母のようかと思えば一瞬にして私たちを殺す海が怖い。他の生物と比べればありがたく突出して備わった「知恵」を行使し、弱肉強食の世界でトップに蔓延っている私たちが、絶対に支配することのできない海が怖い。少し入ってしまうだけで生きて帰ることが必ずしも保証しえない、そんな海が、きっとみんな、ずっと、ずっと、怖い。

その怖さを思うと、私はいつもドキッとします。それはきっと、恐怖心からくるドキドキなのですが、心臓がドキドキするという反応そのものは、恋をしたときだって同じです。

怖いもの見たさ、なのかもしれません。未知なるものへの畏怖の念と、同時に生まれる好奇心。
そう考えると、恐怖心と恋は、紙一重のように思います。まだ見ぬものへの憧れ、わくわく。その、ドキドキ。
だからみんな、危ない恋に、惹かれちゃうのね。

私は何か行き詰まると、いや特に何もなくても、不意に海に呼ばれた気がした、と思うことがあるのです。
そういう時は、私の住んでるところからはすこし遠いけれど、電車に揺られて海まで行き、なにをすることもなくひたすらボーッと海を見つめます。ここで海を「見に行く」という行為は決して「見る」という行為だけが前提となっているわけではなく、別に目を閉じたっていいのです。波が立てる海の音と潮風の匂いを感じられれば、それは海を“見た”ということになります。
そのようにして海を見れば、海は、必ずしも物理的にその中に入らなくたって、私を海の中に引き込んでくれる。そして自由に、想像上のことでしかないけれど、海の世界のことを、思う。

そんなふうに、私はかなり長い間この海という存在に翻弄され、まるで取り憑かれたみたいに、恋をしているようなのです。

しかし、そのことが私の人生を、そこそこ大変な方向に向かわせてしまっていることも、解っています。

私がフラフラとひとり歩いていたところに、小さな湖(温泉でも可)を見つけたとします。
最初はすごく綺麗に見えて、まるでちいさな海のように思えて、私はそれに惹きつけられる。私はそこにポチャン、と入ってみる。
楽しいな。気持ちいいな。私は水の中にいるのが好きだ。ぷかぷか浮かんで、あっちへいってみたり、こっちへいってみたりする。
ここは波がなくて落ち着くな。このままずっと浮かんでいれたらいいな。

あるいはそれが温泉なら、ずっとこのままこの中に浸かっていれたら、幸せかな、なんて思う。

けれどいつもふと、忘れかけていた海のことを思い出す。
あの大海を、終わりのない海を、思い出す。
潮の味と、潮の香りを思い出す。
海の立てる音色を思い出す。
寄せては返す波のことを思い出す。
荒波を思い出す。
夜の海の恐ろしさを思い出す。
日が暮れて水が冷たくなり、なんだか空恐ろしくなって慌てて陸地に上がる、あの恐怖心を思い出す。
太陽の光、あるいは月の光が反射して、まるで空の星のようにキラキラ輝いて止まない、あの漣を思い出す。

すると私は、急に怖くなる。
そうだ、ここではいけないのだ、私はあの海に、そう、あの海に、行かなくてはならないのだ、という焦燥に駆られ出して、怖くなる。
そこで湖に、荒波を立てる。
波ひとつなく穏やかなはずの湖、私が最初に入ることを選んだ美しい湖を、思い切り、掻き回す。とにかく掻き回して、乱す。湖は乱れて大きな渦を巻く。自分で作った渦を見る。私はその中でひたすらに溺れることを望む。暴れ回る。渦がもっと深くなる。息が苦しくなる。私はそこに死を見つける。自らで作り上げた渦の中で自ら溺れ、自らもがく。ただもがく。そう、あの恐ろしい海を想って、もがく。私はぼろぼろになる。ぼろぼろになって、笑う。ああ、私は生きているんだと。笑う。

その繰り返し。

これが、私の悪い癖です。
私はそんな人間なのです。
愚かであると、思います。
しかし、やめられないのです。
そのサイクルが私の癖になってしまっていて、どうにもやめられないのです。

いつからこうなったのでしょうか。
海に恋をしてからなのでしょうか。

破壊と再生。
“死を前にしての歓喜の実践”? ※バタイユ

私はなぜこんなにも海に恋焦がれているのでしょう。
私にはそれが、全くと言っていいほど分からないのです。

海が綺麗だから?
音を奏でるから?
やさしいから?
怖いから?
海に死を、見つけたから?

バタイユの読み過ぎだと言うなら、そのせいかも知れません。

けど私が覚えている限り、海に恋したのは私が勉学なんかやるよりもっともっと、昔のようです。

私は海を愛しています。
熱いのは苦手だけど夏が好きなのもそのせいです。

私の海。
私の海。

あなたが怖くて恐ろしくてたまらなくて、とっても、とっても、愛しているのです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

と、そんなこんなで、大袈裟に海への愛を語りましたが、私の大、大、大好きな、夏のバイブル、海に行かずとも、夏に聞かずとも、私を海へ、夏へ連れて行ってくれるレコードをご紹介。
みんなで海に、行きましょう。


高中正義『TAKANAKA』(1977)

更新遅れて、ゴメンナサイ!またすぐに!

世界中に愛と平和を
城戸”ROSIE ”ヒナコ

© 2025 DONUT

暴動クラブ INFORMATION


メジャー1stAL『暴動遊戯』
2025年10月8日リリース
収録曲:01. ドライヴ・ミー・トゥ・ザ・ムーン/ 02. FEEL SO GOOD?/ 03. 抱きしめたい/ 04. くだらない時代に唾を吐け/ 05. ダリア/ 06. ラヴ・ジェネレーター/ 07. 生活/ 08. ひまつぶし/ 09. ギミー・ショック/ 10. LIFE FUCK/ 11. FIRE/ 12. ハニー
初回生産分購入者対象 暴動クラブグッズ応募抽選特典あり
▼詳細はこちら
https://voodooclub.fanpla.jp/news/detail/51762



カバーCD『VOODOO SEE,VOODOO DO』
2025年4月2日リリース
※CDのみの発売で、配信等はありません
収録曲:01. つ・き・あ・い・た・い/ 02. I‘M FLASH(ホラ吹きイナズマ)/ 03. スローなブギにしてくれ(I Want You)/ 04. タイムマシンにおねがい/ 05. 上を向いて歩こう



CDシングル「撃ち抜いてBaby,明日を撃てLady」
2024年12月4日リリース
※CDのみの発売で、配信等はありません
収録曲:01.撃ち抜いてBaby,明日を撃てLady/02.あばずれセブンティーン/03.欲望/04.撃ち抜いてBaby,明日を撃てLady– Alternate version



1stアルバム『暴動クラブ』
2024年8月7日リリース
※CDのみの発売で、配信等はありません。
収録曲:1.とめられない/2. Born to Kill/3. ロケッツ/4. すかんぴん・ブギ/5. カリフォルニアガール/6. Roadrunner/7. まちぼうけ/8. いとしのクロエ/9. Voodoo Rag/10. チェルシーガール/11. C.M.C.



RECORD STORE DAY限定7インチシングル「シニカル・ベイビー」
2024年4月20日リリース
収録曲:シニカル・ベイビー/気になるお前 全2曲


配信シングル「恋におちたら」
2024年2月14日リリース
収録曲:恋におちたら/俺のあの娘 全2曲


7インチ・レコード「暴動クラブのテーマ」
2023年11月3日 レコードの日 リリース
収録曲:暴動クラブのテーマ/Money(That’s What I Want) 全2曲

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