La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記
■La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記
暴動クラブのベーシスト、城戸 “ROSIE” ヒナコが毎月、1枚レコードを紹介するコラム。
●プロフィール:城戸 “ROSIE” ヒナコはロックンロール・バンド、暴動クラブ(海外ではVoodoo Club)のベーシスト。メンバーは釘屋 玄(vo)、マツシマライズ(gt)、城戸 “ROSIE” ヒナコ(ba)、鈴木壱歩(dr)の4人。平均年齢20才、ワイルドで荒々しく挑発的なロックンロールでライブハウスシーンを席巻中。昨年12月に行った二度のワンマンライブはそれぞれ即完。今、最も注目されているロックンロールバンド。■X:https://twitter.com/Voodoo_Club_ ■Instagram:https://www.instagram.com/voodooclub_japan/
第7回:ザ・ルースターズ『VIRUS SECURITY』
2024.08.31 upload
8月某日 晴れ
ボンジュー。ご無沙汰しております。
ROSIE、今月は無事WEB DONUTに帰還することができました。ただいまみんなー!
ということでまずは読者の皆様と、DONUT様に謝罪しなければなるまい。
先月のコラムをお休みしてしまい、申し訳ございませんでした。
いや……本当に……すみません……泣泣泣
何とも信じ難いことですが、実はこのふざけた阿呆丸出しコラムを毎回楽しみしているといってくださるとんでもない天使、聖母、神様のような方々がこの世には存在しておられ、なんとそういったお声をちらほらいただいておりまして……(本当にありがとうございます泣)そんな天使の皆様の期待を絶対に裏切ってはいけないという気持ちで毎月頭から爪先まで、そう、しっかり、隈なく、抜かりなく、全身のあらゆる神経を研ぎ澄まし精神を削りに削りまくってもうただ全力でこのコラムを書いてまいりましたが、嗚呼すみません、先月はどうしてもそれができず、お休みすることになってしまいました。
いやああああ本当に私としたことが。
情けない。情けなすぎる。
アタイのくそばかやろう!
でも、決して遊び呆けた放蕩の末こうなってしまったわけではなく、一応私にも歴とした事情がありましたのん。
いやいやネェちゃん、そんなのただの言い訳ですのん、世の中そんな甘くないですのん。と言われてしまったらエエそりゃもうごもっともでございまし。あたしゃもう頭上がらないのでございますが、しかしせめても抵抗をさせてください。
というのもわたくし、本業は大学3年生。
そして大学生の7月といったら、アレですアレ、あの一大イベント。
そう、地獄の期末期間。いえーい!!! 泣
7月半ばのJOIN ALIVEが終わってすぐにその地獄の日々は始まり、寝ても覚めてもレポートテスト、レポートテスト、テストレポート。
我、夜毎発狂也。いつしかのヨーコ・オノ氏の如く、高らかなる叫びを毎晩あげていたのでございます。
いやまあそうなったのも私のこの天性の先延ばし癖のせいなんですけど……
本当に俺が持ってる悪いクセなんですけど……
なにせ私、生粋の、怠惰ギャル。
2歳から10年間、毎週木曜通っていたヤ○ハ音楽教室も一切自主練していったことがなかった(母親の、練習せえへんのやったら今すぐ辞めさせます。との怒号が家中を響きわたって、やっと鍵盤をぽたぽた濡らしながら練習し始めるのが毎週水曜夜のルーティンだった)し、宿題も、高校までは全て答え書き写してました。モチロン期限の当日に。(前日じゃないのがポイント)
なんか本当に子供の頃から、めちゃくちゃ追い詰められないと物事に取りかかれないんです。だから今もなんですけど、何かしなきゃいけない時はわざと自分を極限状態まで追い込むんです。で、しかも、ゆっくり前もって準備した時よりもなぜかその方が出来も良くなるんです。
て、これは別に開き直ってるわけではなく、本当にこんなの良くないしなおしたいんです。まじで。まじのまじで。
いつも最後に苦しむのは自分だし、大人の世界じゃ、こんなの通用しないです。
わかってます。わかってるんです。最悪です。
だからなんか誰か、次見かけた時にでも、ちょっと挨拶ついでにぶん殴ってやってください。
本当にさァ、そうやって先月休んじゃったりするからさァ、夏ぽいレコードなんかないかな〜ありすぎるな〜どれ書こうかな〜なんてウキウキしてたのに最近はもう、ちょっと夜とかほんのり涼しくなっちゃってさァ、鈴虫なんか、切なげに鳴いちゃったりして。
引き換えにセミなんてもういなくなっちゃってたりして。
もー!
私、まだ夏らしいこと何ひとつやれてないんですけど。
海とかBBQとか夏祭りとか、普通にめっちゃキャピキャピしたいんですけど。
はあ。夏よ、お願いだから私を置いてくな。もうちょっと待って。ほんでキャピキャピさせてくれ。お願い。頼む。ねえ。おい。まじで。待って、待ってくれ、ちょ待てよ。
という感じでまだまだ夏気分を味わいたく少々キレ気味のキドロジ(キムタクではなく)から今回はこの、トロピカルな1枚を。
Kid creole and the coconut-Tropical Gangsters(1982)
もうこれは、完全に夏ですね、聴いたらわかる。もう開始1秒でわかる。それは嘘かも。開始1分くらいかも。とにかくマジ夏。
夏が来たら、絶対に聴くんですこのアルバム。いや別に夏じゃなくても聴くんです。いつでも聴くんです。自分何なんまじで。
さて、Kid creole &the coconutは、アメリカのシンガー、キッド・クレオールこと、オーガスト・ダーネルが中心になって結成された80年代のラテン、ファンクバンド。
このアルバム、ただのファンキートロピカル夏アルバム(おお、我ながらなんとひどいネーミングセンス!)でないことが、ライナーノーツを読むとわかります。
本作はこのバンドのサードアルバムらしいんですが、前作の『Fresh Fruit in Foreign Places』から物語が続いているらしく……
<2月15日。バナナボートはブリンディシ・リーフにて難破。生存者はB・ディリー・ベイで目覚める。彼らはそこに六カ月間滞在。さてこれは彼らの身の毛もよだつ試練の語られざる物語……彼らが演奏を強制された音楽、選ぶことを許された相手たち、そして決死の脱出>
と、これはこのアルバムのライナーノーツにオーガスト・ダーネルが紹介文として記した文章らしいんですが、なに。なになに。なんかめっちゃおもろそうじゃないっすか。
私の持っている日本盤ライナーノーツによると、前作のアルバムの「テーブル・マナー」という曲に出てくるB・ディリー・ベイを舞台にした8つのお話……という、ふんふんなるほど、いわゆるコンセプトアルバムみたいです。おもろい。
そして歌詞の内容もなかなか攻めたものばかりで面白く、(特に最初の1、2曲目がなかなか過激、シゲキ的……)全部説明してたらもうこのコラム終わらなくなるので、気になった方は是非調べてみてください。
(一応、面白かった歌詞の一つを貼っときます)
さて、ここからがわたくしの本命話でございまして……えへへぐへへグフフフフへへっへ……
と、このキモくなりようでお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが(この重すぎる愛を大勢に知られていること、一応私も恥ずかしいとは、思っています。やめないけど)このアルバムを知ったきっかけもね、えへへ、実はルースターズです。
高校生の時分、ルースターズが過去にカヴァーしていた曲をとにかく全部知りたくて(実際、「ルースターズが過去にカヴァーしていた曲」という題名のプレイリストを LINE MUSICで勝手に作って勝手に公開していた(まだ調べたら出てくるカモ))、というか、自分の知らないルースターズが存在するという事実が嫌で嫌で(激重メンヘラヲタクなのでネ!)、ファンサイトとかをひたすら見漁ってたんです。その時にルースターズのボックスセット『VIRUS SECURITY』(廃盤。中古で5万以上はする)の特設サイトを見つけ、毎日見ては欲しさのあまりよだれをだらだらたらしていたんですが……そのボックスセットのDisc.21に収録されている1982年のライブの中に「No Fish Today」という、見たことのない曲名が載っていたんです。
なんそれ、知らん。聞いとらん! けしからん! とルースターズの全てを知らないと気が済まない私、ここにて再び発狂。またもヨーコ・オノ氏の登場。
でも高校生のお小遣いでは、そんなのすぐに買えるはずもなく……
でもとにかくその曲が何か知りたい。未発表のオリジナルなのか、カヴァーなのか。
聴きたい! 知りたい! むり! 無理無理! とワンワン、駄々をこねながらひたすらその曲について調べたんです。
そしてたどり着いたのがこのアルバムなのでした(「No Fish Today」はこのアルバムの一番最後の曲)。
ウーン。我ながらこのヲタク、キモチワルイ!
この曲を初めて聴いた時は、めちゃくちゃ驚きました。だって、全く想像できなかったんです。
いや、めっちゃいい曲だけど……めっちゃ好きだけど……ルースターズがこんな……トロピカルな曲をカバーしていたの……?
どうやって……どのようにして……どんな感じで……なんで……ねえ、ねえねえねえねえねえ……
と、もうかれこれ何年も思い続け、結局ルースターズバージョンにたどり着けることなくこの原曲ばかりを聴いて、そしたら普通にこのアルバムハマって、レコードまで買っちゃって、ライナーノーツもじっくり読んじゃって、楽しんじゃってます。
しかしついに先日、なんと、なんとなんと、知り合いが『VIRUS SECURITY』を私に売ると、言ってくださいまして……
ついについに手に入ってしまった!!!!!!!!(((((((大号泣)))))))
何年も一番欲しかった物。いざ手に入ると本当に緊張してしまって……
すごく慎重に聴きたいし……と、なんかこう、聴こうにもなかなか聴けなかったのですが、やっと、やっとやっと、聴いてしまいました。
念願の「No Fish Today」ルースターズバージョン!!!!
神聖な気持ちで聴くため、部屋を真っ暗にして全ての通信機器をシャットアウト、プレイヤーを爆音に設定し部屋の真ん中でただ一人ポツリと座って、嗚呼、あああああ、ついに、ついにこの時が。止まらないアドレナリンと心臓のドキドキが、全身を駆け巡る。
聴いたことのないルースターズの音源。私にとっては、新譜を聴くようなもの。
あああ! 発狂しそうになりまたもやヨーコ・オノ氏登場かと思われたが、集中して聴きたいのでこの度は引っ込んでもらっておいた。
と、そんなことはどうでもよく、
うん!!!!!! サイコーだった!!!!!!!
思っていたより原曲にちかいアレンジで、トロピカルだった。
トロピカルな、ルースターズだった。
初めて見る一面……好き……!!!!!
なるほど、でもちょうど「ニュールンベルグ(「ニュールンベルグでささやいて」)」くらいの時期だからか、思っていた以上にしっくりきました。聴いてみると全然意外じゃなかった。
この時期のライブはもう既にシンセの音も入っていたし、で、これはモチロンどの時期もなんですけど、特にこの辺りの井上さんと池畑さんのお二人が炸裂していると思っていて……とにかくリズム隊がすげかったです。
ライブ音源なので音響の問題で歌が少し聞こえにくかったんですけど……
ファンキーなベースとパーカッションが本当に本当によくて……泣 だし、勉強になりました。笑
うううううとにかく最高!いつも違う側面を見せてくれるルースターズが大好き!
私のディグのモチベーションは、好きな人の好きな音楽を知ることだから……いつもいろんな音楽教えてくれてありがとうございます、ルースターズ先生。
そしてこの曲を当時ライブでどれくらいやってたのか、なぜこの選曲なのかが、すごく気になる。(MCで、今日は魚がありません、って言ってたとかなんとか見たことある……)
誰かもし当時リアルタイムで追っていた方とかで、何かこのカヴァーについて詳しく知ってる方などいらっしゃいましたらぜひ……ぜひとも……教えてください。
と。あ、やべ、また長くなりすぎた。のでそろそろ終わりにします。
久しぶりだから長くなっちゃったよ! アハ!
まさかのルースターズもカヴァーしていたというこのトロピカルな物語、夏をまだ終わらせたくないあなたはぜひ私と一緒に聴いて、堪能しましょう。
ではまた次回お楽しみに〜
サリュ!
© 2024 DONUT
暴動クラブのインタビューを掲載中!
2025年4月22日(火) 恵比寿リキッドルームにてワンマンライブが決定!
暴動クラブ INFORMATION
1stアルバム『暴動クラブ』
2024年8月7日リリース
収録曲:1.とめられない/2. Born to Kill/3. ロケッツ/4. すかんぴん・ブギ/5. カリフォルニアガール/6. Roadrunner/7. まちぼうけ/8. いとしのクロエ/9. Voodoo Rag/10. チェルシーガール/11. C.M.C.
RECORD STORE DAY限定7インチシングル「シニカル・ベイビー」
2024年4月20日リリース
収録曲:シニカル・ベイビー/気になるお前 全2曲
配信シングル「恋におちたら」
2024年2月14日リリース
収録曲:恋におちたら/俺のあの娘 全2曲
7インチ・レコード「暴動クラブのテーマ」
2023年11月3日 レコードの日 リリース
収録曲:暴動クラブのテーマ/Money(That’s What I Want) 全2曲