DONUT

La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記

La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記
暴動クラブのベーシスト、城戸 “ROSIE” ヒナコが毎月、1枚レコードを紹介するコラム。
●プロフィール:城戸 “ROSIE” ヒナコはロックンロール・バンド、暴動クラブ(海外ではVoodoo Club)のベーシスト。メンバーは釘屋 玄(vo)、マツシマライズ(gt)、城戸 “ROSIE” ヒナコ(ba)、鈴木壱歩(dr)の4人。平均年齢20才、ワイルドで荒々しく挑発的なロックンロールでライブハウスシーンを席巻中。昨年12月に行った二度のワンマンライブはそれぞれ即完。今、最も注目されているロックンロールバンド。■X:https://twitter.com/Voodoo_Club_ ■Instagram:https://www.instagram.com/voodooclub_japan/

第6回:サンハウス『ドライブ』

2024.06.29 upload

6月某日 くもり
ボンジュー。ROSIEです。
私は最近、絶望しています。
地球温暖化、というやつに。

なんでこんなに暑いの。まだ梅雨だよ。夏とか、ちょっとまだ気が早いよ神様。心の準備ができてないんですけど。もっと雨降ってくれ。雨よ降れ降れ、雨よ降れ、俺をどこかに流しておくれ。だよ。まったく。

いや、初夏は大好物なんです。
日本においてこんなにいい季節って他にない。
一年で一番過ごしやすいし、ふと夏の匂いを一瞬でも感じたそのときにはもう根拠もなくブチ上がり、サザン・南佳孝・高中などなど……いわば私による私のための夏・専用プレイリストなんか早まって作っちゃったりして、どうせ実際夏が来たら行きもしないだろう海とか祭りに思いを馳せ鼻息を荒げることも可能である。

ただ、いくらこんな夏バカな私でもさすがに6月に30度はおかしいと思うんですわな。
夏の匂いを感じてももはやこのいやな暑さのせいで、ブチ上がるどころか逆に腹立ってきます。なんやねん。いらいらばかりがおまえを包むワケです。
それになんか急に訳わからんくらい寒い日あるやん。あれはもっと何。
散々夏を思わせぶりしたあとの、神様の大裏切りなのですか。
おかげで私は今月はずっと体調が良くないし、月の後半なんてメンバー4人揃いも揃ってみんな仲良く風邪っぴき。
だからここ最近のスタジオではいつもの楽器とうたに加え、4人各々の聞くに耐えないほど苦しげな咳や鼻をすする音が、響き渡っています。

まあそんなかんじで体調面ではパッとしない6月だったのですが前半にはそれはそれはステキなことがありましたの。

6月9日。
ロックの日。ピーズの結成日。

まあそれもたしかに大事だけど、ノンノン、ちがうでしょ。

柴山さんのお誕生日や!!!
ピイ!!!!!

もう私はこの日を、首を長く長く長くして、待ち侘びていたのです。

柴山さんというのは、知らない方のために烏滸がましいながらも軽く説明させていただくと<本当は私の持っている知識すべてをひけらかしたいが(ヲタクなので……。)そんなことをしているとWEB DONUTがキャパオーバーしシステムが爆発しかねないため控えます>
私の大好きな大好きな大好きな、博多めんたいロックという70年代頃から盛り上がった九州のロックンロールシーンがありまして(ルースターズやロッカーズを生み出したあの地)いわばその原点、といったらいいでしょうか、いや神様、巨匠、レジェンド、うむ、とにかくそのめんたいロック、および日本における伝説のロックバンド、サンハウスの元スーパーヴォーカリストである柴山“菊”俊之さんのことでございます。

サンハウスは、今となってはシーナ&ロケッツの鮎川誠氏がシナロケの前にやっていたバンドとして有名ですが、シナロケの代表曲のひとつ、そしてここにきてなぜか今、某大手通販会社のなんか女の子が通販で買った鍋でラーメンを作ったよ。みたいな話題のCMで使われている「レモンティー」ももともとはサンハウスの曲で、当時は歌っていたのももちろんシーナではなく柴山さんでした(私はあのCMが流れるたび、テレビを前に拳を振り上げ、シーナのモノマネをし、踊り狂っています)。

柴山さんは作詞家としても非常に有名で、サンハウスをやめたあとは他のバンドもやりながらも、作詞家をメインに活動されたりしていた時期もありました。
私の大好きなね、みなさんご存知あの例の雄鶏バンド(焦らすな)、ルースターズにも柴山さんが歌詞を提供した曲がたくさんあります。
VENUSのね、歌詞の美しさといったら本当に本当にもう、ね、、、(言葉を失い昇天)。

そんな日本を誇る伝説のロックスター、柴山さんの77歳のバースデーライブが今月9日、下北沢CLUB251にて開催されたワケです。
もちろんわたくしもお祝いしに、行ってきました。




私がモノホンの菊さんを見るのはこれで人生2回目で、初めて見たのは一昨年の冬、同じく251でした。

それ以来ぶりの生柴山さん。
今回、バースデーライブが発表されるや否や大発狂、飼っている猫がとびあがり、それにまた私もビックリし発狂、そこでまた猫がとびあがり、私もまたビックリ発狂、とそんなことはどうでもよく、今回は絶対すぐにソールドアウトすると見た私はチケット発売日4/21発売開始時間午前10時ピッタリに戦いに挑むことを決意。
先着順というものがいかに残酷かは、20年ちょっとの人生で散々味わってきた。今回は絶対に負けるまい。

そして来る4/21日曜日、午前10時00分00秒を知らせるアラームと同時に戦闘開始、e+の画面をひたすらに連打。頭には血が上り、全身にはありえない量の冷や汗に襲われながらも、しかしここで重要なのがあくまで至って冷静に、一つ一つの過程を抜かりなく着々とこなし、チケットを申し込む。

“順番にお繋ぎしています”の文字とともにグルグル回る読み込みマークにハラハラしながらなんとか突破、見事戦いに勝ち抜き、無事チケットゲット。しかもそれなりに早めの整理番号で。よかったーーーーー!

私の読みどおりチケットはその日のうちにソールドアウト。
嗚呼、激しい戦いの甲斐があったぞ、と胸を撫で下ろし、勝利の味を噛み締めてニンマリ。
まあ、大江さんのライブの時なんかはいつもこんな感じで闘っているので(なんとしても最前で見るため)だいぶ慣れきたんですね。大江さんのおかげで、チケット先着ももう朝飯前です。この際、e+先着申し込み師匠とでも呼んでくだされ。

ともかく、今回私が即日ソールドアウトにこんなにも怯えていたのには、理由があるのです。
モチロン柴山さんが大人気スターだから!というのは間違いないのですが、それだけではありません。
実は昨年末、柴山さんの出演が予定されていたライブが、なんと柴山さん体調不良とのことでどちらも急遽キャンセルになってしまったんです。
衝撃だったので忘れもしない。本当に急に。

しかもそこから数ヶ月、柴山さんのSNSはほとんど音沙汰がなくなってしまい、私は柴山さんに想いを馳せてはとても不安な日々を送っておりました(多分私だけじゃなく、菊さんファンの方々は皆同じ気持ちだったと思います)。

そんな中での、突然のライブ発表。目を疑いました。モチロンいい意味で。

柴山さん復活!!!

こんなの、発狂しないでいられるわけがありませんか。
そして、私だけでなく、おそらく全国各地の、菊さんの復活を熱望していた菊さんフリークたちがみな揃いも揃って発狂し、きっと大集結するに違いないと予測し、今回、怯えていたということでした。
いわば我々にとっては単にバースデーライブというだけでなく、菊さん復活おめでとう&ありがとうございますライブだった、というワケです。

そしていよいよロックの日、当日。251は見渡す限り菊さんファンでぎゅうぎゅう。なんたる幸せ。これだけでもう満足して帰ってしまいそう。それはウソ。大ウソ。菊さん見たい。

始まるまで、もちろん楽しみドキドキワクワクな気持ちはあったのですが、それよりも菊さん大丈夫なのかな、無理しないでほしいな、という心配というか不安の方が強かったです。なんか私がすごく緊張してた。
でも早く会いたいし声聞きたいし(恋人か)と、とにかく色んな感情がごちゃ混ぜになりながら、心臓をバクバクさせて菊さんの登場を、待つ。

そしてついに会場BGMが止まり、SEが流れ、私の心臓のバクバク音は、爆音に(コホン、咳払いをひとつ、いや、足りないのでふたつ)。
会場には菊さんフリークたちによる菊〜!!!の声が飛び交う。

まずは今日のバンドメンバーの方々が登場。この日はメンツもヒジョーに豪華でなんとドラムはあの雄鶏バンド(焦らすな)、ルースターズの、池畑(潤二)さん。そしてベースがサンハウスの奈良(敏博)さんで、ギターはアナーキーの藤沼伸一さん、そしてキーボードはボ・ガンボスのDr. KyOnさん。

エ? こんな近くで池畑さんのドラムの爆音を浴びるということが可能なんですか? とそれだけでもう満足してまた帰りそうになって(大ウソ)いる間に柴山さんこと、菊さんが、登場した。

私はその姿、菊さんが立って、歩いているその姿を見た瞬間、それまでゴチャゴチャになっていた感情が一瞬のうちに消え去り、満面の、いや本当はそんな言葉だけでは表現しきれないぐらい、とにかく笑みの限界を突破した笑みとでも言おうか、そんな笑顔が、思いっきりあふれた。

だってだってだって、
すっごくうれしくて!!!!!!

そして早速始まった1曲目は「爆弾」。私の爆弾も爆発。続いて「キングスネークブルース」、そして私のフェイバリットソング「地獄へドライブ」と「ぬすっと」が連続で続いて、「ミルクのみ人形」、「もしも」、ふっと一息……と、完全にサンハウスファンを殺しにきていると言わんばかりのセットリスト。
もちろん正真正銘、サンハウスファンのわたくしはまんまと脳天叩き割られました。やられた!

そして、前回も思ったことだけど、やっぱりまた今回も思ったことを言わせていただくと、あの、なんで声が、当時から全く変わらないんですか?!!!?
なんでいつも聴いてるアルバムの声の、まんまなんですか?!!!?!?!!
エ???!? と、ハイ。落ち着きます。
でもこれ本当にずっと、初めて菊さんを生で見た日から自分の中で本っ当に不思議なんです。

すごい、すごすぎる。なんでずっと声が若い頃から全く変わらないの。声の質、太さ、強さ、キー、50年前と何ひとつ、全く変わらない。
んで、かっこよさもおなじ。なんでそんなずっとかっこいいの。オーラといい、あのクールな喋り方とか、ほんと全てがかっこいいし、もうまじでなんでなんでなんで!
今日で77歳でしょう。え。なんかドリアングレイの肖像の声バージョンの呪いみたいなのにでも、かかってらっしゃるのかしら。

またコヤツはいつもの悪い癖で話を盛りやがって、だなんて思ったそこのあなた。今回ばかりは違います。
いますぐ柴山さんのライブに足を運び、その目でその耳で確かめるがよい。私の言っていることが今にわかるでしょう。

と、話が若干ズレてきたので6/9に戻します。

ライブは2部構成で、1部と2部の合間ではこれまた豪華なゲストの方々による、柴山さんとのエピソードトークやちょっとした弾き語りライブが。
みなさまそれぞれの個性豊かな柴山さんとのエピソードを聞いて、ああ羨ましいな……と羨望の眼差しを向けつつ楽しく見ていたら、あっという間に1時間。

そして怒涛の後半戦が始まる。

やはり菊さんの再登場には、またもや興奮が止まらない。さっきも見たばっかなのにまた初めて見たかのような興奮ぶり。だって、嬉しくて。

後半はサンハウス以降のRuby、ジライヤ時代の曲も何曲かやって最後は「レモンティー」、そして「花をください」で、ライブは終了(「カラカラ」が個人的には嬉しかったー! 爆裂都市!)。
いやあ、、、、、、、、、、、もう、圧巻でした。
言葉にできないくらい。
本当に素晴らしかったし、本当に本当に楽しかった。戻りたい、まじで。

柴山さんと最強の楽器隊が絡み合って、もうそれはそれはとんでもないライブでした。
奈良さんのベースなんてもう聴いてて何度も昇天しそうになったもの、すごすぎて。
こんな贅沢があっていいのかしら。

でもなによりもやっぱり柴山さんが帰ってきてくれたことが、心の底から嬉しかったです。

菊さんがMCで闘病中の時のことついて少しお話ししてくださったんですが、かなり壮絶だったみたいで、なんと一時期声が全く出なくなったんだとか。

そんなふうには全く見えなかったので、とてもびっくりしました。

だって私の目の前で歌っていたのは、私がいつもYouTubeでみてる、レコードで聴いてる、あの、スーパーカリスマロックスターの菊さんだったから。
私はひそかに、復帰してまだ間もない中でも、菊さんは菊さんだったことに、菊さんがいかにプロであるかを改めて実感して、背筋が伸びたのだった。

とにかくこの度は本当に、そんなにも大変な時期を乗りこえてこうしてまた我々の前に戻ってきてくださって、もうほんっとうにほんっとうに、ありがとうございます。
そして77歳、喜寿、おめでとうございます。

77になってもかっこいいライブを我々に届けてくださりありがとうございます。
そしてわがままをいうようだけど、また絶対に柴山さんを見たい。ライブに行きたい。
いつでも、いつまででも待つので、またステージ上の柴山さんを見れることを、心から願ってます。

私の永遠の憧れ。大好きです。

今月はそんな気持ちで、絶対に買わねばならん!と、レコード屋に走った一枚を、ご紹介。

今回のレコードはコチラ!
『ドライブ』(1978)サンハウス




収録曲:1.キングスネークブルース/2.風よ吹け/3.もしも/4.ミルクのみ人形/5.なまずの唄/6.あて名のない手紙/7.夢みるボロ人形/8.ロックンロールの真最中/9.レモンティー/10.やらないか/11.地獄へドライブ


説明不要。文句なし。
ロックンロールの答えがここに詰まってる、伝説のライブ盤。

そしてなによりこのジャケットの菊さんが、死ぬほどかっこいいんだ。

はい、今回、多分過去一長いです。ゴメンナサイ。でも菊さんヲタクだから仕方ないの。
なんならこれでも足りてないの。ユルシテ。

みなさまも、季節の変わり目、体調を崩しやすいと思いますが、何卒お体に気をつけてお過ごしください。 ではまた次回、お楽しみに。
サリュ!

世界中に愛と平和を
城戸”ROSIE”ヒナコ




© 2024 DONUT

暴動クラブ INFORMATION


1stアルバム『暴動クラブ』
2024年8月7日リリース
収録曲:1.とめられない/2. Born to Kill/3. ロケッツ/4. すかんぴん・ブギ/5. カリフォルニアガール/6. Roadrunner/7. まちぼうけ/8. いとしのクロエ/9. Voodoo Rag/10. チェルシーガール/11. C.M.C.



RECORD STORE DAY限定7インチシングル「シニカル・ベイビー」
2024年4月20日リリース
収録曲:シニカル・ベイビー/気になるお前 全2曲


配信シングル「恋におちたら」
2024年2月14日リリース
収録曲:恋におちたら/俺のあの娘 全2曲


7インチ・レコード「暴動クラブのテーマ」
2023年11月3日 レコードの日 リリース
収録曲:暴動クラブのテーマ/Money(That’s What I Want) 全2曲

LATEST ISSUE

LATEST ISSUE

PODCASTING

池袋交差点24時

STUDIO M.O.G.

STUDIO M.O.G.

amazon.co.jp

↑ PAGE TOP