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中野ミホのコラム「まほうの映画館2」

中野ミホ(Drop's)のコラム「まほうの映画館2」
中野ミホが最新作から過去の名作まで映画を紹介します。
●プロフィール:中野ミホ/2009年に北海道・札幌で結成されたDrop’sのvo&gt。Favorite→映画、喫茶店、Tom Waits、Chet Baker。
公式サイト:http://drops-official.com
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第12回「その涙は、ほんものの恋! マーメイド・イン・パリ」

2021.02.24 upload

『マーメイド・イン・パリ』 (2020年/フランス)
原題:『Une sirène à Paris』
監督:マチアス・マルジウ
脚本:マチアス・マルジウ、ステファン・ランドスキ
キャスト:ニコラ・デュヴォシェル、マリリン・リマほか
公式サイト:https://mermaidinparis.jp
全国順次公開中
—————

みなさんこんにちは!
少しだけど春が見え始めてきた? この頃ですね。
いかがお過ごしでしょうか。お元気ですかー?

突然ですが、たまには現実を忘れて夢の世界に浸りたい……っていう時、ありますよね。
わたしはあります。大いにあります。笑
今回はそんな気分の時に発見した作品! わたしをパリへ連れてって〜と思い映画館へ直行。
平日だったからか、広い劇場内にわたしとカップル1組の3人しかおらず、なんだか申し訳ない気持ちになりましたが……笑
ぞんぶんに浸ってきました。

『マーメイド・イン・パリ』(『Une sirène à Paris』)
2020年、フランスの作品です。
監督はマチアス・マルジウ。音楽、小説、映像と幅広く活躍するアーティストで、劇中の音楽も自身のバンドの楽曲なのだそう。ひぃーすごい!
インスタものぞいてみましたがキュート!
主演はニコラ・デュヴォシェル、マリリン・リマ。
これまた、ふたりともずっと見ていられる美しさです。

舞台はパリ。セーヌ川に浮かぶ老舗のバー「フラワーバーガー」(バーガーにはお花が入ってる、合言葉で地下の音楽フロアに入れるというかなりイケてるお店)でパフォーマーとして働くガスパール(ニコラ・デュヴォシェル)が主人公。
彼は大雨が降ったある夜、傷を負って川辺に打ち上げられている人魚ルラ(マリリン・リマ)を見つけ、助けます。
実は彼女は、人間から身を守るため美しい歌声で男性を虜にし、心臓を破裂させ命を奪ってきたのでした。
ですが、過去の恋愛で傷つき、恋心を捨ててしまったガスパールにはその歌声は効かず、むしろ二人の距離はどんどん縮まっていきます。
2日目の朝日が昇る前に海に帰らなければ死んでしまうルラ、彼女を好きになれば死んでしまうガスパール、ふたりの恋はどうなってしまうのか……。
という、とびきりロマンチック!なお話。

とてもよかったですー!
久しぶりに、あぁー終わらないで!と思った作品でした。
甘くて、でも爽やかで幸せな気持ちに包まれました。

実は観る前は、あんまり人魚っていうところはピンときてなかったのですが。汗
基本的な設定は人魚の伝説に沿ってはいるけれど、普通に登場人物がみんなキュートで個性的で全く飽きなかったです!
ガスパール役のニコラ・デュヴォシェルがなんか自然でよかったなぁ。
マリリン・リマはほんとにかわいすぎ!
隣人の女性ロッシもパワフルでかなりかっこいいです。

まずオープニングの仕掛け絵本ですでに久しぶりのドキドキワクワク。
そして色、とにかく色がきれいだなーと思いました。
ガスパールの部屋の中や、フラワーバーガーの店内、いろんな置物とかでごちゃごちゃしているのに、うるさくなくてとってもお洒落。
バスルームの青、シャツの青、ルラの鱗の青。
テレビの赤、靴下の赤、ネイルの赤。
青と赤がとても印象的だったなぁ。
関係ないけど、欧米の映画でたまに見るあの広い部屋の真ん中にバスタブがどーんっていうの、ちょっと憧れますよね。笑

そして道具やシュチュエーションも最高。
電話ボックスみたいな録音ブースに入って歌って、その曲が自動でガシャンってレコードになって出てきたり、5個ぐらい丸く繋がってるハーモニカ?を両側から吹いたり。
ミシェル・ゴンドリーやジャン・ピエール・ジュネとも繋がるような、現実と非現実、現代と昔を行ったり来たりするような仕掛けがとっても素敵でした。
トゥクトゥクに人魚を乗せて真夜中のパリを爆走するとか、ロマンチックすぎる。
尾びれが謎に光ってるのもハイパーかわいかった。。

ガスパールは過去の恋で傷ついて、もう恋愛なんてしない、恋になんて落ちるわけない、と言って最初はカラッとしていたのですが、知らず知らずのうちにどんどんルラに惹かれていて、もう全然海に帰そうとしないのです……涙
自分が死んでも構わない、一緒にいたい!
もはや人魚でもそうでなくても関係ない、愛だったなぁ。
終盤、彼も心臓が苦しくなってきて、ルラも「痛みを感じるわ」と言うあたり、もう切なくて見てられなかったよー。そもそも恋に落ちて心臓が爆発するとか……はぁーー。(乙女)
本当は1秒でも長く一緒にいたいのに、それは叶わないことなのです。
画面も次第に明るさを失くしていって、青白くなっていきます。

ルラの流した真珠の涙、あれはもう本当にやられました……。
なんて美しいんだろう。ずっと記憶に残るシーンでした。

全体を通して部屋の中や水の中、電気のキラキラとしたシーンが多い中で、最後の朝の自然の光のシーンはとても印象的だったな。
二人の気持ちが裸になっているような気がしました。

なんだか久しぶりにフランスのこういう作品を観た! いいなぁー。
『アメリ』を観た時みたいな、次から次へと色とりどりのワクワクがやって来る感じ!
言葉の響きもどことなく音楽っぽいし、派手で独特なんだけどものすごく洗練されたファッションや部屋は見ているだけでうっとり。
ルラのドレスアップした時の髪型とか、前述した謎の道具たちとか、お店の設定とか、こうやって素敵なものは自分の想像で作り出していいんだ!ってなんかすごく嬉しくなりました。

劇中でも言っているけど、想像力って本当に大切だ。
想像力を豊かに働かせれば、私の住んでいる世界ももう少し素敵になるかもしれないなぁと思いました。
夢のような物語なんだけど、なんだか明日へのパワーをもらえる素晴らしい作品!

ヨーロッパの監督や俳優さんについてももっと知りたいなぁ。
恋する気持ちは世界共通ですが、描き方がそれぞれでとっても面白いね。
順次公開中のようなので、よかったらぜひ観てみてくださいね。

それではまたね!

© 2021 DONUT


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