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ニトロデイ インタビュー
思うことを書き並べて
それをライブとかで ただ吐き出したいんです――小室ぺい

横浜出身のニトロデイは小室ぺい(gt&vo)、やぎひろみ(ジャズマスター)、松島早紀(ba)、岩方ロクロー(dr)の4ピースバンド。結成は2016年3月。彼らがまだ高校生だった頃だ。 フロントの3人は今年3月に高校を卒業したばかりの19歳。ドラムの岩方は20歳になったばかり。 グランジやオルタナの影響を受けた轟音サウンドとポップな歌メロが絡んだ楽曲はまさにボーダレスで、 小室のシャウトと岩方の激しいドラミングとやぎと松島のクールなパフォーマンスが融合したライブは圧倒的にかっこいい。 今、ライブハウス・シーンでめきめき頭角をあらわしている期待の新人バンドだ。 ニトロデイは7月25日に2nd EP「レモンドEP」をリリースする。 今回はメンバー全員にインタビューをした。

―― まずどういう風にバンドが始まったのか教えていただけますか?

小室ぺい もともとニトロデイとは別のバンドをやっていて、その時に、そのバンドがなくなることになって。松島が同じ部活でやってたりしたので、新しいバンドをやろうって声をかけて始めました。

―― まずベースの松島さんが入るわけですね?

松島早紀 私は軽音部に入りたいと中学の時から思ってて、高校で軽音部に入ってコピーバンドやってて、そこでぺいと知り合って。音楽はずっと好きだったんですけど、バンドとかを聴くようになったのは中学校の時に知り合った人からいろいろ教えてもらったのがきっかけです。私はオルタナとか激しいのはそんなに聴いてこなかったんですけど、80年代の音楽とか、ポップスをいっぱい聴いていて。その時にベースってかっこいいなと思い始めて、自分でやりたいなって思って始めました。

―― ベースの音が魅力的に感じたんですか?

松島 中学校の時に岡村靖幸を教えてもらって。その時に、もうベースがかっこいいと思いました。岡村靖幸の曲はベースが目立っているからだと思うんですけど。そこから何の曲を聴いてもベースしか聴こえなくなっちゃって。それでどうしてもベースをやりたいと思って。でもギターとかだと家でもできるけど、ベースはバンドじゃないとできないなって思って、軽音部に入りました。

――岡村靖幸のグルーヴが気持ちよかったんですね?

松島 そうですね。めっちゃ好きで。唯一ずっとライブに通ってるんですよ。毎年ツアーにも行っていて。きっかけはそこでしたね。高校1年生の春に軽音部に入って、その軽音部でもぺいとコピーバンドを組んでたんですけど、そこでいろんな曲をコピーして。で、1年の終わりだっけ、ニトロデイを組んだの。

やぎひろみ うん。

松島 私とやぎは初心者だったから。楽器を始めて1年経つか経たないかぐらいの時にニトロデイを始めて。

―― ニトロデイでの時間が2人の楽器の経験年数ということなんですね?

松島 はい。

―― やぎさんはどういう音楽を聴いてきたんですか?

やぎ 中学の時にバンドが好きになって。きっかけがバンプ・オブ・チキンだったんですけど、バンプとかラッドウィンプスが好きで。高校に入ったら軽音部があるから、私もバンドをやりたいと思ってました。それでコピーバンドを組んでやってたんですけど、あんまり好きじゃないバンドばっかりをコピーしてて。楽器を始めて、部活も入って、外のバンドとかを見ていたら、オリジナルとか絶対かっこいいな、と思って。で、オリジナルをやりたいな、と思ってた時にニトロデイに入ったんです。ちょうど時期もすごくよかったなって。

―― ドラムのロクローさんは?

岩方ロクロー もともと父親がハードコア・バンドをずっとやってたんですよ。それがちょうど反抗期の頃で、ハードコアがすごい嫌で。音楽をやるんならハードコアじゃない音楽をやろうと思ってて。それでドラムを始めてから、なるべくハードコアから遠いものを聴いてたんです。忌野清志郎とかエレファントカシマシとか。だからみんなとはちょっと聴いてきた音楽は違うと思います。

―― ニトロデイの前はバンドをやっていたんですか?

岩方 結局、一番初めのバンドが父親のバンドで、結局ハードコアをやっちゃったんですけど。

―― 反抗してたんだけど、加入しちゃったんですね(笑)。

岩方 ドラムは高校に入ってから始めて、最初に入ったバンドが父親のハードコアのバンドでした。

―― お父さんのバンドで鍛えられたんですね?

岩方 そうですね。ちょうど父親のバンドのドラムの人が抜けちゃったタイミングで……高校入ったばっかりだったんで。

小室 モヒカンだったですよ。

―― 本当ですか? ちょっと想像ができない。

岩方 幼稚園の時から、毎年夏にはモヒカンにしてたんです。その名残で。今はぺいに禁止されて……。

小室 別に禁止じゃないんですけど。別にいいよ。

―― ニトロデイっぽくはないですよね。

岩方 そうですね。なので、もうやらないかな。

―― ハードコアには向き合えたんですか?

岩方 赤ちゃんの時から聴いてる音楽なんで良いも悪いもないっていうか。とりあえずバンドができるからいいか、と思って。だからかっこいいとかかっこ悪いとかすら、もはやわからなかった。

―― 小室さんはニトロデイを始めるに当たって、こういうバンドを組みたいなというのは考えていたんですか?

小室 前のバンドが終わった、ちょうどその時に90年代のUSロックを聴いていたので、いろいろアイディアを持ってきてやれたらいいなって思いました。もっとがっつり大きな音でやる、みたいなバンドがやりたいなと思ってもいたので。

―― USロックはどの辺りのバンドを聴いていたんですか?

小室 今でも好きなのがスマパン。スマッシング・パンプキンズが好きです。スマパンで最初に聴いたのは『サイアミーズ・ドリーム』に入ってる「トゥデイ」という曲ですね。それを最初に聴いて。あとはピクシーズとか、オルタナ系も聴きました。あとパワーポップ系……ウィーザーとかレンタルズとかがすごい好きですね。ただ、最初に聴いてたのはナンバーガールなんです。そこから関連するルーツのバンドをいろいろ探して、聴いていました。

―― オルタナティブなロックのどういうところに惹かれたんですか?

小室 今までそういうジャンルを聴いてこなかったんで、初めてそういう音楽を聴いて、やっぱ全然音も違うし、音の構成も違うし。ボーカルがシャウトしてたりする音楽も全然聴いてこなかったから、そういうのも新しかった。なんだろうなぁ……今まで聴いてきたのとは別の、なんか別の次元の、こもってる感じの音楽にいろんな感情がギュッと詰まった感じがあって。それがなんかいいなと思いました。

―― 3人が聴いていた音楽とニトロデイの音楽はずいぶん違うような気がするんですが。

松島 聴いてきた音楽がバラバラなところが、逆にいいのかなっていう気がしています。

やぎ みんなナンバーガールは聴いていたし。

―― 共通項はナンバーガールなんですね。

松島 そうですね。

やぎ ジャズマスターはナンバーガールを聴いて、めっちゃかっこいいと思って、バイトして買いました。

―― だけどナンバーガールを生では見ていない世代ですよね?

やぎ YouTube。あとラストライブの映像とか。

―― ナンバーガール以外は聴いてきた音楽がバラバラなんですが、ニトロデイはスタイルが一貫していますよね。

松島 自分が聴いてる音楽とやりたい音楽はやっぱ違うんで。逆にそれでまとまってるっていうか。

―― 例えば小室さんが持ってきた楽曲のベースのアレンジはニトロデイのことを考えながらやるんですか? それとも自分の思うようにやるんですか?

松島 音を聴いて「あ、こういう感じがいいな」っていうのは、誰に聴かせようとかはあまり関係なく、自分が弾いてて気持ちよくできたらいいな、と思ってて。ニトロデイ以外にオリジナルのバンドをやったことがないし、変な方向に行っちゃうことはないんで。そんなに大きく外れることはないと思う。

小室 ベースはだいたいイメージに近いものを作ってくれるんで、任せてるというか。リードギターに関してはちょっと自分自身のこだわりが強くて。結構いろいろ口を出しながら、やってます。

―― やぎさんのジャズマスターの音や旋律はニトロデイの楽曲の色を決めてますよね。

小室 かもしれないです。

やぎ だから怒られるんです。怒られて「はい」って言うしかない(笑)。

小室 俺が結構、リードギターにこだわりが強いから。

やぎ 私は90年代の音楽を聴いてこなくて。とくにピクシーズのリードギターがすごいじゃないですか。かっこいいけどすごく独創的っていうか。だから、持ってきた楽曲に対して、あまり上手く対応ができなくて。手伝ってもらったりしてますね。

小室 今は全然上手くやれてるんじゃないかなと思います。

―― ハードコア出身のロクローさんはどうなんですか?

小室 ひじょうにスネアの音が物足りないですね。

―― ははははは。

岩方 ぺいの顔色を窺いながらスタジオで叩いてます(笑)。嫌な顔をしたらそのパターンを変えてっていう繰り返しで、なんとかやってます(笑)。

小室 自分では全くドラムのパターンは作れないですから。彼はバンドを長くやってるんで、いろいろ叩いてもらって、これがいいっていうのを選んで、曲を作っていく感じですね。

―― でも、ちょっとスネアが足りないな、みたいな感じなんですね。

小室 ひじょうに物足りない。

岩方 頑張ります。

―― 小室さんのギターはどうなんですか?

小室 いや、俺、全然です。パワーコードもちゃんと弾けないんで。

岩方 自分のギターには甘い。

やぎ 甘い。

松島 基本的に自分に甘いから。

―― はははははは。

小室 いや、マジでギター弾けないっす。

岩方 あきらめているところもあるよね。

やぎ パワーコードに限界がある。

松島 いつも開き直ってるから。

岩方 歌は上手くなってるんです。歌は上手くなってるけど、ギターはなかなか……。

小室 ギターはバンドを始めた時から変わってないです。練習してるんですけどね、伸び悩むというか。

岩方 無理だよ。

小室 上手くなりたいんですけど、とりあえず今は最低限弾けてるのかな。たぶん、はい。

―― なんかあちこちから厳しい視線が(笑)。

小室 練習します。

―― そうやっていろいろ音に対して注文があるということは、曲を作った時点で小室さんの中では楽曲ごとのイメージが固まってるってことですよね。

小室 そうですね、はい。

―― ニトロデイの楽曲はこういうところに着地できたらいいな、というのはあるんですか? 今のお話のなかでは90年代のUSロックやナンバーガールといったキーワードが出てきたんですが。

小室 洋楽とか邦楽とかあんまり考えてないです。両方好きだから、自分らっぽい音っていうのを見つけていって、メロディとか曲の感じもシンプルに自分らがいいなって思うようなのをやれたらいいかなと思います。かっこいいと思える音楽はいっぱいあるけど、それのどれかになろうとするというよりは、いろいろ聴いて、いろんないいところを探して、自分らの音や自分らっぽいかっこよさみたいなのをやれたらいいなと思います。

―― 現代のグランジだとかニルヴァーナだとか、いろんなメディアで言われてきたかと思うんですけど、そういう括られ方は本意ではない、と?

小室 ちょっとむかつきますね。洋楽に思えるのは音の部分だけですよ、たぶん。曲の構成とかはJポップだと思うし。音の作り方は海外の音楽に近いけど、メロディはキャッチーなのが好きだし。今やっているニトロデイの音が好きなんで、それは気に入ってるからそのまま行きたいなとは思いますけど。歌詞に関しても、とりあえず曲を作って、曲からくるイメージで詞をつけていくということがわりと多いですし。別に歌詞で届けたいものは何も持ち合わせてないですからね。

―― そうなんですか?

小室 ただなんか吐き出したいというか。その方が近いです。ただ思うことを書き並べて、それをライブとかで吐き出すみたいな感じです。

―― 7月25日に2nd EP「レモンドEP」がリリースされます。これからの作品作りについてはどんな風に考えてますか?

小室 今までの作品はバンドとしての、ニトロデイらしさとかも全くなかった状態で、ただただ曲を作って、ただ録ってっていう風にやってたものなんで。今、やっとバンドとしてのひとつのやり方がわりと見えて来てるなってところで、それをしっかりと確立させた上で良質な音源をまずは聴いてもらって、今までの音源を聴いて「いいや」ってなってた人にも振り向いてもらえるような音源を出したいなと思います。これは毎回いろんなところで言ってるんですけど、名盤を残したいなと思います。


(取材:秋元美乃/森内淳)
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<STAFF> WEB DONUT VOL.1/2018年7月4日発行/発行・編集・WEB制作=DONUT(秋元美乃/森内淳)/カバーデザイン=山﨑将弘/タイトル=三浦巌/編集協力=芳山香

INFORMATION



ニトロデイ「レモンドEP」
2018年7月25日(水)Release
PECF-3205 ¥1,500(Tax in)
収録曲:M1 レモンド M2 グミ M3 向日葵 M4 氷菓 M5 ユース

「レモンドEP」 RELEASE TOUR
■8月4日 (土) 横浜 BB STREET
w / 突然少年 / Layne / betcover!!
OPEN / START 18:30 / 19:00
■8月10日 (金) 心斎橋 Pangea
w / ナードマグネット / MASS OF THE FERMENTING DREGS
OPEN / START 18:30 / 19:00
■8月14日 (火) 名古屋 CLUB UPSET
w / The Wisely Brothers / Layne / THE STEPHANIES
OPEN / START 18:00 / 18:30
■8月30日 (木) 下北沢 THREE
w / uri gagarn
OPEN / START 19:00 / 19:30

公式サイト:http://artist.aremond.net/nitroday/


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