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2025.08.11 upload

奏人心 EP「風がゆく若色の街」インタビュー

勢いじゃない部分で奏人心を表そうと試み始めたことが、一番大きいかなと思います―― 山路あげは


奏人心と書いて「そうとしん」と読むこのバンドは博多在住のスリーピースバンド。メンバーは永松有斗夢(ba&vo)、山路あげは(gt&vo)、今橋一翔(まさと/dr)。全員19歳だ。前作のEP「SEARCH感受YOUTH」は初期衝動をぶつけたような内容で、(彼ら曰く)「突風」が吹き荒れていた。歌詞は明日に希望を託すような内容ではなく、日常の風景を彼らの視点で切り取った言葉が並んでいた。既存のJポップやJロックの歌詞に違和感や居心地の悪さを感じてきたリスナーにとって、奏人心の言葉はきっと共感できると思う。今作「風がゆく若色の街」は言葉がより明確な風景を持ち、サウンドのテイストは初期衝動から少し落ち着いたものに変わっている。だからと言って突風が吹いていないかと言うとそうではない。リードシングルの「それがすべて」を聴くといい。スロウな曲でもミディアムテンポの曲でもしっかり突風が吹いている。奏人心は2025年8月22日に博多で、10月1日に東京でワンマンライブを行う(東京はフリーライブだ)。東京のライブのタイトルは「イマジネーションの時代」。SNSでは0か1かの答えを選ばされ、リアリティよりリアルを求められる窮屈な時代に、奏人心は「イマジネーションの時代」というタイトルを掲げた。閉塞感はイマジネーションで吹き飛ばされる。ここでも突風が吹いている。奏人心にメールインタビューを行った。

●質問作成=秋元美乃/森内淳


奏人心/ユース・キャンドル(ショートMV)


奏人心/それがすべて

―― 奏人心は福岡を中心に積極的にライブ活動をやっています。最近のライブの手応えを教えてください

永松有斗夢 最近はひとつひとつの音をしっかり聴いてもらうことを意識していて、それでいて勢いよくできていると思います。

今橋一翔 お客さんの反応も少しずつ良くなって、1曲1曲への理解度も深まって、ライブ中、闇雲に激しく演奏することは減りました

山路あげは 勢いを保ったまま、勢い以外のものをどうやったら出せるのかを考えながらやっています。うまく掴める瞬間も増えてきていると思います。

―― EP「風がゆく若色の街」がリリースされました。感想を教えてください。

有斗夢 まずはとても嬉しいです。自分たちが心に描いたことを大胆に写せたと思います。

一翔 自分たちの成長や、いろんな思い出が詰まったEPになっています。苦労した部分もあって、自分たちの成長を感じれると思います。完成して、とても嬉しい思いです。

あげは 嬉しいです! 奏人心の新たな門出です。

―― 前作のEP「SEARCH感受YOUTH」とは曲調が変化していますが、どういうテーマで楽曲制作をしたのでしょうか?

有斗夢 前作が抑えきれず吐き出した一方通行な感情ならば、今作は内に秘めて感じ取ってもらうコミニュケーションだと思います。自分たちを俯瞰的に見て、聴くことができました。

一翔 時間が経つにつれて、自分たちの好きな曲調やリズム感が変わっていったと思います。

あげは 勢いじゃない部分で奏人心を表そうと試み始めたことが、一番大きいかなと思います。

――「風がゆく若色の街」というタイトルに込めた思いを教えてください。

有斗夢 福岡の街と、そこで生活している僕たちが思ったことをタイトルに込めました。若葉のように青くまだ未熟だけど、街や人も何回も繰り返される朝に比べれば、まだ青く見えて、このタイトルにしました。

―― リードシングル「それがすべて」が生まれたきっかけを教えてください。

一翔 ギター&ボーカルのあげはが、弾き語りでライブをしていたときに、最後に歌っていたのが「それがすべて」で、それを聴いて、みんなで「これをバンドにしたらよさそう!」となって、生まれました

あげは 朝方4時くらいにボーッとギターを抱えていると、すごく静かで1階で寝ている家族の寝息も聞こえてきそうなくらい静かで。なんか寂しくなったんですが、家族の寝息が聞こえたら、それは安心なのではないかと思いました。それは家族だけではないでしょうし、寝ている野良猫や、「愛」と言われて思い浮かぶ顔や、見慣れた町だったりも安心ですね。そういうことを考えたり、付随する出来事を思い出しながらできた曲です。

―― 今回のビジュアルのコンセプトがあれば教えてください。

あげは 見慣れた福岡の街を俯瞰し、でも結局その福岡の空気で泳いでいる自分たちを描きました。

―― 博多と東京でワンマンを行いますが、意気込みを教えてください。

有斗夢 どちらもとても緊張しますが、まずやってやるという気持ちが先行しています。先を見すえることと、自分たちの現在をちゃんと見ながら、ピントがブレないようにどちらもやろうと思います。

一翔 福岡では知り合いも来ますし、レーベルの方も来ますので、絶対に成功させて熱いライブにしたいと思っています。東京のワンマンライブも熱く、盛り上がるライブにしたいです。初めての東京というのもありますので、より一層気を引き締めて、楽しんでライブをしに行きます。

あげは 奏人心にとって、どちらも大挑戦のイベントです。ずっと遠い先のことばかり考えないように、目の前のひとつひとつからやっていこうと思っています。楽しみです!

―― 東京のライブに「イマジネーションの時代」とつけたのはどうしてですか?

有斗夢 想像するというのはとても大事なことで、僕たちはそれによって成功も失敗もありました。世の中も想像すれば、浮かぶ悲しみや楽しさが沢山あると思います。大事にすればもっと何か変わる気がしているので、このタイトルにしました。

© 2025 DONUT

RELEASE INFORMATION

EP「風がゆく若色の街」
2025年8月6日配信リリース
収録曲:01.それがすべて/02.ユース・キャンドル/03.フィールドアンドサンセット/04.sin
配信リンク:https://friendship.lnk.to/cyaw_soutoshin


奏人心/「風がゆく若色の街」

LIVE INFORMATION

奏人心 第1回福岡ワンマンライブ 2025
“巻き起こる福岡の突風”
日時:2025年8月22日(金) 18:30開場/19:00開演
会場:福岡The Voodoo Lounge(https://voodoolounge.jp/
料金:オールスタンディング 2,500円(税込/ドリンク代別/整理番号付)
中学生以上有料/未就学児童入場・可
問い合わせ:BEA 092-712-4221(平日 12:00〜16:00)


DONUT presents
Imagination ErA 東京 イマジネーションの時代
日時:2025年10月1日(水) 18:00開場/19:00開演
会場:下北沢Three(https://www.toos.co.jp/3/
料金:フリーコンサート(入場時に1ドリンク代必要)
整理券必要(電子チケット):イープラス(https://eplus.jp/soutosin-f/
※整理券をお持ちでない方:整理券をお持ちの方の後に入場。満員の際は、ご入場をお断わりする場合がございます。
特設サイト:https://donutroll.tokyo/wd/20251001_freelive/
問い合わせ:下北沢THREE 03-5486-8804

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