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2024.12.25 upload

2025年のフジロックへ向けてFUJI ROCK FESTIVAL '24を振り返る

●テキスト=秋元美乃


WEB DONUT年末企画として、「DONUT 18」に掲載した「FUJI ROCK FESTIVAL’24」特集を紹介。会場写真などをプラスしてお届けします。2025年のフジロック発表を楽しみに待ちつつ、ぜひご一読ください。

「2024年のフジロックを振り返る」

 2024年7月26日から7月28日の3日間にわたり、新潟県 苗場スキー場にて「FUJI ROCK FESTIVAL’24」が開催された。会場を苗場に移して25回目となる今年は前夜祭を含め延べ96,000人が来場。私は土日に参加できたので、フジロック2日間の感想を振り返りたいと思う。弊誌16号でも気になるアクトを紹介したが、土曜日は出演時間順にザ・ラスト・ディナー・パーティー、キティ・リヴ、アトミック・カフェ、アイドレス、苗場音楽突撃隊、ベス・ギボンズ、クラフトワーク、ガール・イン・レッドなどを。日曜日はアス(US)、WEEKEND LOVERS 2024 “with You”、ジーザス&メリー・チェイン、フォンテインズ D.C.、キム・ゴードン、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ、ターンスタイルなどを中心にまわった。ヘッドライナーやベテラン勢はもちろんどのステージも素晴らしく、それぞれに思い入れもあるが、ここではとくに(自分が見た中で)今年のフジロックに新風を送り込んだと感じた3組をピックアップしておきたい。


▶︎ザ・ラスト・ディナー・パーティー(土曜:グリーンステージ)
 世界各地のフェスでもひっぱりだこの5人組。個性的なファッションも相俟ってステージに登場するやいなや、異世界に足を踏み入れた感覚に。しかし1曲目「バーン・アライヴ」の演奏がはじまると、異世界の空気をまとったままフィジカルなパフォーマンスが繰り出される。すごいパワーだ。しかもものすごくポップだ。ゴシックもグラムもパンクもニューウェイブも、ジャンルを超越した多彩なサウンドとタフな歌声でオーディエンスを熱狂の渦へ巻き込む。ブロンディ「コール・ミー」のカバーも抜群にマッチ。早くもグリーン・ステージを掌握するような、それでいて手放すような自由さと力強さに心底魅了された。


▶︎アス(日曜日:レッドマーキー)
 出演が発表されてから大注目していたフィンランド出身の5人組。フジロックの大将・日高正博さん直々の紹介を受けてレッドマーキーに登場した彼らにフロアからの歓声も半端ない。アスの鳴らす音楽はいわゆる王道のガレージパンク、ブルース、ロックンロール。ハーモニカを擁するバンド編成も賑やかだが、何よりメンバー全員がバンドの強みとなって、サウンドやメロディを際立たせるステージングが見事だった。気合も気迫も満点で、フジロッカーを一気に虜にし、ロックンロールは世界共通言語だと体現した。前夜祭含め5ステージに登場した彼らは今後もフジロックの顔になっていきそうだ。DONUTではメールインタビューも行ったのでこちらもぜひ(https://donutroll.tokyo/wd/20240723_us/)。


▶︎ターンスタイル(日曜日:ホワイトステージ)
 ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズから途中で移動したため、見られたのは後半のみだが、その数十分だけでも彼らがいかに今のハードコアシーンを突き抜けた場所に立っているのかがわかった。ターンスタイルの楽曲はヘビーでファンキーなサウンドも肝だが、それでいてシンガロングを起こす絶妙なキャッチーさがあり、それがうねりを生む。ラストではブレンダン・イエーツ(vo)の呼びかけでオーディエンスが続々とステージ上へ。1998年のイギー・ポップを超えたのではないかという、カオスなのになぜか美しく見えるその光景をじっと見つめる。フジロックの最終日、その最後を飾る楽曲がこの「ホリデー」とは。最高すぎた。


 上記の3組もジャンルがバラバラであることがわかるとおり、フジロックの多様性に富んだラインナップは、体感してあらためてそのよさに気づけた部分もある。また、金曜ナイト券やUnder 18 チケット、手軽にキャンプができるキャンプ・ヴィレッジ、場内の移動を快適にするサービスなど、新たに導入された試みもあわせ、今後のフジロックにはまだまだ期待したい思いが高まった。もちろん金額面のハードルはあるが、この体験と引き換えられるものはないと思ってしまうのもフジロックの魅力といえる。そしてここで宣言することでもないが、私はこれからスピリット的な気持ちとしてキム・ゴードンを目指したい。こだわりと剛柔あわせもつエネルギーを胸に堂々と生きたい。そう思わせてくれる、奮い立つほどのステージだった。
 さて、2025年のフジロックはどんな扉が開くだろうか。

*「WEEKEND LOVERS 2024 “with You”」については「ぴあ」のサイトにてレポートを担当したので、ぜひこちらもご一読ください(https://lp.p.pia.jp/article/news/379281/index.html?detail=true)。

© 2024 DONUT

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FUJI ROCK FESTIVAL '24 アフタームービー


「SEE YOU IN 2025」 © 宇宙大使☆スター

FUJI ROCK FESTIVAL公式サイト:https://www.fujirockfestival.com/

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