2024.11.06 upload
THE COLLECTORS
『ハートのキングは口髭がない』 インタビュー
近作のなかでは一番自分のなかで納得できる、なおかつ、音もビジュアルもコレクターズというスタイルを伝えられるアルバムができた―― 加藤ひさし
THE COLLECTORSが26枚目のアルバム『ハートのキングは口髭がない』を11月6日にリリース。鋭い現代批評を携えたロックンロールナンバー「スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない」で幕を開ける本作は「シルバーヘッドホン」まで一気に駆け抜ける。次の「ガベル」で戦争ばかりやる人類に対して諦めの気持ちを歌い上げ、「This is a True Story」では他人の物語に自分を投影する風潮を憂う。1〜5曲とつづいたシリアスなメッセージを包み込むようにラブソングが歌われる。そしてまた批評眼が冴え渡る曲を投入。最後の「ランドホー!」でそんな世の中を乗り越えていこうという力強い、かつ希望に溢れたメッセージを提示。「現代のなかで生きることとは?」というコンセプトを掲げたアルバムは幕を閉じる。この作品を最初に聴いたときに、ロックオペラのようだと思った。明確な主人公がいないとロックオペラは成立しないらしいが、ここにきて、こんな作品を世に出せるTHE COLLECTORSに感心せざるを得なかった。このアルバムに至った経緯を加藤ひさしに訊いた。
●取材=森内淳
■今回のアルバムはいつもの倍速で作った
―― いいアルバムができましたね。近年の作品で一番いいように思います。
加藤ひさし そう言ってもらえると嬉しいよ。こんなに無我夢中で作ったアルバムもないんだよ。こういう言い方をしちゃいけないのかもしれないけど、早くアルバム制作を終わらせなきゃと思ったんだよ。
―― どういうことですか?
加藤 本来は還暦になる2020年に『イギリスカブレ』という本を出そうというプランがあったんだよ。2020年はコロナの初年度で、その話が完全に飛んだんだ。でも諦めきれなくてね。「じゃ次いつ出すんだ?」となったときに70歳じゃないだろう、って話になったんだよね。じゃあ、いつだという話になって、ザ・ビートルズの「When I'm Sixty-Four」の64歳に引っ掛けるしかないと思ったの。ところがオレが64歳のときに(古市)コータローくんが還暦でソロアルバムを作るというプランがあって。コレクターズも前作のアルバム『ジューシーマーマレード』から2年経っているから、新作を出さなきゃいけない年だったんだよ。そうなるとアルバムツアーもある。これでオレの本まで出すとなったら、こんなに忙しくなる年はない、と。そうなってくると、どうやってアルバムを早く仕上げるかということを考えなくちゃいけない。今年に入ってから、もうそれしか考えてなくて。だからいつもの倍速な感じで作ったんだよ。
―― アルバムに取り掛かったのはいつくらいなんですか?
加藤 忙しくなることを予想していたから、今年の頭くらいから曲を書き始めたんだけど、なかなか自分のイメージ通りの曲がなかったりして。それでもどんどん終わらせていかなきゃいけないなと思っていたから、まずはアルバムの半分の曲だけを書いて、5月のコータローくんの還暦ツアーの手前で録音して。だから4月中には収録曲のなかの6曲をレコーディングしたのかな。5月はオレもイギリスで本の撮影があって、コータローくんもツアーだったので、一旦、レコーディングはブレイク。イギリスから帰ってきてからまた曲を書き足して、6月〜7月でレコーディングを再開した感じだった。だから本当に突貫工事に近かったんだ。
―― 曲のアイデアとか構想はあったんですか?
加藤 『ジューシーマーマレード』のときには「ヒマラヤ」と「裸のランチ」の2曲を先にリリースしていたから、それを軸にすればいいアルバムになるとわかっていたんだよ。だから比較的作りやすかったんだよね。ところが今回は曲の貯金を全部食い尽くしたあとのアルバムだったから、まるっきりゼロから始めた。なのにこの多忙さだったので「やりきれるのかな?」とずっと不安だった。
―― 今作はひじょうにテーマ性のある作品になったように思います。アルバムのテーマはどういうふうに設定していったんですか?
加藤 ビートルズの青盤(『ザ・ビートルズ 1967年~1970年』)と赤盤(『ザ・ビートルズ 1962年~1966年』)がリミックスされて出たよね。自分の好みのミックスではなかったけど、あらためて赤盤を聴いて「赤盤はいいなあ」と思ってね。最初「今回のアルバムは赤盤だ!」と思ったわけ。「簡単でいい曲」がどんどんできていけば、別にコンセプトなんてどうでもいいと思って書いていったの。でも書けなかったんだよね。
―― そうなんですね。
加藤 書けなかったね。先に「Hold Me Baby」と「シルバーヘッドフォン」をそういうイメージで作ったんだけどね。ところが作っているうちに「シンプルすぎるんじゃないか」と思ったりしてね。ちょっと考えをあらためなきゃいけないなと思ったりして悩むわけだよね。すると今度は「赤盤じゃないな」と思い始めて。そういう混沌としたなかで制作が始まったんだよね。
―― 出来上がった作品はアレンジも凝っていて、赤盤とは違う作品にはなりましたが、すごくコレクターズらしい内容になったように思います。
加藤 出来上がったものはすごくコレクターズらしくなっているんだけど、でも、本当にそういう精神状態のなかで曲を作ってたから、それぞれの楽曲がいいのか悪いのか確認している暇がなくてね。頭のなかにあるものを全部アルバムに詰め込んだらレコーディングが終わってたという。
―― 1曲目の「スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない」は勢いのあるロックンロールになりました。歌詞も曲もアルバムを象徴していますね。この曲が作品全体を引っ張っているように思います。
加藤 時間がないレコーディングになるから10曲あればいいかなと思ったのね。アルバムは10曲あれば成立するからね。プロデューサーの吉田仁さんも「10曲あれば十分だよ」って言ってくれて。ところが、ふとね、「これから先、アルバムって作れるのかな?」と思って。CDが売れない時代に2年後にまたアルバムを作れる保証なんてないからね。それで急に不安になって「1曲でも多く作っといたほうがいいんじゃないか?」と思って、「もう1曲増やして11曲入りにしよう!」と決断したんだよ。
―― 加藤さん、多忙なことがわかっていたのに、自分で自分の首を締めてませんか?
加藤 そうなんだよ(笑)。ところがそう思って一番最後に作ったのが「スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない」なんだよ。
―― 1曲目は最後にできた!?
加藤 そう、11曲目に作った。「歌詞も同時に作らないと、あとから本当に首を締めることになるぞ」とわかっていたから、すごく集中して作った。そしたらまとまるのも早かったね(笑)。
―― 曲先行の加藤さんとしては、歌詞と曲が同時に出てきたというのは珍しいですね。
加藤 「スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない♪」という具合に歌詞とメロディと一緒に出てきたんだよね。サビ前がなかっただけで冒頭の部分も出てきた。「これはいける!」と思った。メンバーが「レコーディングの曲が出揃った!」となっていたところに「待て待て」って(笑)。「もう1曲録るぞ!」って(笑)。「簡単な曲だからちょっとやって」って言って。そのときには1曲目になるとも思ってなかった。結果、リード曲にもなったし、このアルバムを引っ張っていく曲になったよ。ほんと何がどうなるかわかんないよね。
■ 「ガベル」で終わろうかと思ってたけど、暗いなあ、と
―― 「スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない」の歌詞を始め、今作は反戦や現代社会への批評を想起する歌詞が多いですよね。
加藤 そうなったのはロシアとウクライナはもとよりイスラエルとパレスチナのことが起こっているからしょうがないんだよけどね。ただ「スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない」に関しては、歌詞のきっかけになったのはイギリスに撮影に行ったときに機内で見た『落下の解剖学』というフランス映画なんだよね。その映画は旦那さんの殺害容疑をかけられた小説家の奥さんの裁判を描いた法廷劇で。検察側が、この奥さんが本のなかでこういう恐ろしいことを書いているって並べ立てるシーンがあって。そしたら奥さんの弁護士が「スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない」と言うんだよ。スティーヴン・キングは恐い話ばかり書いてるけど、だからといって実際に連続殺人をやっているわけじゃないって。その言葉がすごく響いて。そのときに「じゃ本当の殺人鬼は誰だ?」と思ったんだよ。それは今、戦争をやっている連中だし、若者を戦場に送り込んでいる奴だし、それを毎日ニュースで見て何もしていないオレたちなんじゃないかって。それで帰ってきてからすぐにこの曲を書いたんだよね。
―― なるほど。アルバム収録曲がこの曲に引っ張られたわけではないんですね。
加藤 それぞれの曲は、みんな独立しているんだけど、そういう世界の動きが潜在的に頭のなかに入ってきてしまっていたのかもしれないね。出てくる歌詞がみんなそっちにいっちゃうんだよね。
―― 曲を書いたときの加藤さんの気分を反映しているんですね?
加藤 気分だね。それこそ「シルバーヘッドフォン」は赤盤をイメージしてたから、最初はノーテンキなラブソングにしようと思ってた。最初につけていたタイトルはビリー・ジョエルの「アップタウン・ガール」のパロディで「アップダウン・ガール」といって、気分にむらのある女の子に恋して振り回される男の歌にしようと思った。ところが歌詞を書いててどうにも面白くないんだよ。そういう気分じゃなかったんだよ。「こりゃ駄目だ!」と思って、自分の気持ちに素直に書いたらこうなった。
―― この曲も現代のぼくらの気分を投影した歌詞になりましたよね。
加藤 たまたま娘に「すごい、いいヘッドフォンを買ってきたんだよね」って見せびらかされて。「かっこいいじゃん、これ」って言ったら、8万5千円だって。シルバーで本当にかっこいいんだよ。それであのタイトルになったの。
―― ヘッドホンのなかに現実逃避をせざるを得ないようなぼくらの気持ちを赤盤的な曲調で歌っているところが面白かったです。
加藤 それもコレクターズっぽいよね。
―― このアルバムには本当にロックオペラのように物語性があって。
加藤 自分でもあとから聴き返してみると、ちょっとロックオペラっぽいというかコンセプトアルバムっぽくて「ああ、こういう聴こえ方をするんだ?」と思ったくらいでね。
―― 「スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない」から「ガベル」の流れがあって、「This is a True Story」で自分の物語を紡げっていうメッセージで一旦締めて、それらの曲を包み込むように「キミに歌う愛のうた」というラブソングが出てくるという。
加藤 そこでね、ほっとさせるからね(笑)。
―― そうです、そうです(笑)。絶妙な位置にこの曲がいるという。
加藤 CDのブックレットにギターコードを入れたんだけど、それとともに曲に関するちょっとしたプロダクションノーツというか、解説をオレが書いたんだよね。それにも書いたんだけど、レコーディングでずーっと反戦歌を歌入れしてたんだよね。そしたら仁さんに「そろそろ普通の歌を歌おうよ」って言われたんだよ。「じゃラブソングだよな」と思って、この曲の歌詞を書いた。
―― 1曲目から5曲目をここで愛の歌で包んで……
加藤 「ヴァニティフィクション」からまた新たにスタートする。
―― そうなんですよ。「ヴァニティフィクション」は現代の社会問題に対する批評眼で物語が描かれていて……
加藤 「ワンコインT」とね。
―― 鋭い批評眼を持った2曲であらためて今回のアルバムの特徴を示しておいて、「Hold Me Baby」というラブソングでもう一度リスナーを包んで、「スローリー」でゆっくり生きていこうということを提示しつつ、最後の「ランドホー!」で全体の物語を受けて、このめちゃくちゃな世の中をどうやって進んで行くべきかを提示するという。
加藤 この荒波を超えないといい船乗りになれないよっていうね。荒波があるから成長するんだって。
―― ちゃんと荒波と対峙して進もうという。
加藤 そうなんだよ。最初は「ガベル」で終わろうかと思ってたんだよ。暗いなあと思って。もうオレたちもお前らも終わりっていうね。さんざん止めたのに戦争ばっかりしているから、もう地球は終わりって。オレたちは愚か者だって。
―― 希望も何もない終わり方ですよね。みんなが心のなかで思っていることを「ガベル」は歌っていますよね。だけどやっぱり絶望に反発したい面もある。だから「ランドホー!」で終わったのはよかったですよね。
加藤 そうだね。よかったね。
―― 「ランドホー!」はすべての曲に対する加藤さんの答えにもなっています。
加藤 「ガベル」で歌ったことって、みんながそう感じているんだよね。このまま世界は終わるんじゃないかってみんなが思ってる。世界の情勢を見ていると、もう人類は無理なんじゃないか、世界は終わるな、と思っちゃうよね。だけどね、今、子供だったり、これから生まれる子どもたちのことを考えると、今、大人のオレたちが勝手に終わりっていうのも無責任だよなと思ったんだよ。最後に救いじゃないけど、いつでもどんなときでも希望があることを見せないと大人として無責任すぎる気がした。
■ インプットがないとアウトプットはない
―― 物語性のあるこの作品はロックオペラのようでした。
加藤 トミー(主人公)がいないから駄目なんだけどね。一人の主人公をキャラ付けして登場させておけばロックオペラとして成立したんだけど。だから主人公を一人作って、この音楽を使ってロックオペラを作ることはできると思う。ただこのアルバムに関して言うと、さっきも言ったように、すごく忙しくなる年だから、コンセプトとか考えずに、とにかく早く終わらせようという一心で作ったんだよね。
―― そこが不思議なんですよね。まるで最初からコンセプトがあるような作品に聴こえました。
加藤 アルバムの制作が終わったあとで聴き直したときに「オレ、才能あるなあ」と思って(笑)。
―― はははははは。
加藤 ほんとびっくりしたんだよ。だってイギリスから帰ってきて「タイムトリッパー」と「スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない」を書いてるんだよ? それまでその2曲なんてカケラもなかったからね。それが書けて、歌詞も面白いのができたっていうところが、自分でもわからないんだけど、まだ(才能が)あるのかなって勝手に期待してるんだよ。
―― そんな2曲がこのアルバムのいい導入になっていますからね。あとに登場する曲の歌詞にもつながっていくという。
加藤 そうそう。今、振り返って思うことはインプットがないとアウトプットがないってことなんだよ。イギリスに行ったりしないと駄目だなと思って。そこでどういう刺激が待っているかわからないんだよね。それが機内の映画かもしれないし、イギリスで見た風景かもしれない。そういうことをしていかないとモノは作れないんだなあって、あらためて感じた。引きこもったら絶対にできないね。自分のなかに何もたまっていかない。そういうことを努めてやっていかないと駄目だなあと思った。
―― それは「ヴァニティフィクション」のなかでも歌われていますよね。ぼくたちはスマホのなかに引きこもってしまいがちですから。
加藤 今はそこが世界になっているからね。
―― 「ヴァニティフィクション」は「This is a True Story」の歌詞にもつながるわけで。
加藤 つながるね。決して悪いことではないんだけど、例えば、大谷選手の活躍で盛り上がったり、渋沢栄一で深谷が盛り上がったり、うちの地元から総理が出たとか、でも「他人の話なんかどうでもいいよ」と思うことがあるわけ。他人を高めることによって自分を高めるみたいな、そういう人がたくさんいるでしょ? それよりもあなたの話をしてよ、みたいなね。それしか世の中には「True Story」はないからね。あとは作り話と一緒だぜって。
■ LOVEのキングは威張ってない
―― アルバムタイトルの『ハートのキングは口髭がない』は「スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない」に出てくる一節ですが、これはどこからきたんですか?
加藤 これは単純に「スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない」で韻を踏もうと思ったんだよ。4行同じ歌詞を歌うのはちょっと退屈しちゃうからね。「〜キングは〜」ってことでいろいろ歌ったんだよ。例えば「バーガーキングはてりやきがない」とかね。「ストリーキングは洋服がない」とか。どれもピンとこなくて(笑)。そんなとき「ハートのキングってどうなんだろう?」とふと思って、検索したら「口髭がない」って出てきたの。「これは知らなかった!」と思って。「面白い!」と思ってね。
―― なるほど。韻を踏んだんですね。
加藤 で、これは後付けなんだけど、キングとか王様ってみんな偉そうな人ばっかりじゃない? 口髭ってまさに偉そうな人の象徴でもあるでしょ? ハートはLOVEの象徴で、ハートのキングだけ髭がない。LOVEのキングが威張ってないというのが救いになると思ったんだよ。他のキングは口髭だらけで悪いことばっかりしてるけど、LOVEのキングは威張りもしないという。そういう思いもこめてアルバムタイトルにしたんだよね。
―― なるほど。最初はユニークなタイトルだなあと思っていたのですが、そういう意味付けがあったんですね。
加藤 アルバムタイトルに関しては、コータローくんに『ハートのキングは口髭がない』と『タイムトリッパー』の2つの案を投げて「どっちがいい?」って言ったら「『タイムトリッパー』は普通すぎるよね」って言われて。「『ジューシーマーマレード』からの流れを考えても『ハートのキングは口髭がない』のほうが全然かっこいいよ」って。それで迷いなくこっちにしたんだけどね。
―― 『タイムトリッパー』という案もあったんですね。
加藤 なぜ『タイムトリッパー』という案を出したかというと、『ハートのキングは口髭がない』というタイトルのアルバムジャケットのイメージをなかなか具体化できなくて。『タイムトリッパー』は、これから時間の旅をするメンバーが古い旅行カバンを持って、ここから旅に出ようというワンシーンを捉えただけでもムードがあるし、それこそ古い映画みたいに見えるだろうし、かっこいいんじゃないかなと思った。それで「『タイムトリッパー』はどうなの?」っていう話をしたんだけど、「タイトル的には全然『ハートのキングは口髭がない』のほうがいいよ」ってコータローくんが言うから「わかった」って。結果、よかったよね。
―― ビジュアルもいいですよね。
加藤 アーティスト写真もよかった。ジャケット写真もいいし。前作がイラストっぽかったし、前々作もメンバーが出ていなかったから、今回はメンバーを出したいなと思って。それで余計に『ハートのキングは口髭がない』のほうがイメージしにくかったんだよ。タイトルとメンバーの写真の落とし所が。
―― そういえば、加藤さんはアルバムジャケットに使う椅子を探してましたよね?
加藤 そうなんだよ。王様をイメージするのは椅子しかないなと思って。椅子がすべてだと思った。彫刻の感じがよくて、それでいてあんまりキンキラしてないような椅子って案外ないんだよ。
―― キンキラはNGだったんですね?
加藤 キンキラな椅子ってあまりにもラブホテルっぽいっていうかさ、大道具っぽくてね。
―― 今作は加藤さんの正直な気持ちを吐露したような作品だから、あまり作り物感が出るとよくないですよね。
加藤 そうなんだよ。それはちょっと避けたいなあと思って。『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』的なところまで作り込んでもしょうがないしね。そうじゃないからね。やっぱり今のリアルなコレクターズが出て、ちょっとした小道具でアルバムを表現できるようなものじゃないとね。歴史を感じるような、ウッディで彫刻がしっかりしてあるような椅子がほしいなと思って、それでようやくイメージに近いものが見つかったんだよ。
―― 楽曲も歌詞も曲順もビジュアルもすべてのことがちょうどいいところに着地しましたね。
加藤 本当によくできたなあと思う。近作のなかでは一番自分のなかで納得できる、なおかつ、音もビジュアルもコレクターズというスタイルを伝えられるアルバムができあがったんじゃないかなと思うよ。
© 2024 DONUT
INFORMATION
■ CD INFORMATION
『ハートのキングは口髭がない』
2024年11月6日リリース
収録曲:1.スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない/
2.タイムトリッパー/
3.シルバーヘッドフォン/
4.ガベル/
5.This is a True Story/
6.キミに歌う愛のうた/
7.ヴァニティフィクション/
8.ワンコインT/
9.Hold Me Baby/
10.スローリー/
11.ランドホー!
※コロムビアミュージックショップ限定盤はDVD『THE COLLECTORS TOUR 「ロックンロール イースター 2024」 4.14 日比谷野外大音楽堂』との2枚組。
通常版をAmazonで購入:https://amzn.to/3NLp6Rt(AD)
■ BOOK INFORMATION
加藤ひさし著 『イギリスカブレ』
2024年11月6日リリース
B5変形/192頁(予定)/音楽と人・刊
タワーレコード・ワンダーガール限定発売
https://tower.jp/item/6589893
LIVE
THE COLLECTORS アルバムリリースツアー「ハートのキングは口髭がない」
2024年
11月16日(土) 岡山 YEBISU YA PRO OPEN 16:00/START 16:30
11月17日(日) 小倉 FUSE OPEN 16:00/START 16:30
11月23日(土) HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2 OPEN 16:00/START 16:30
12月1日(日) 恵比寿The Garden Hall OPEN 15:45/START 16:30
12月7日(土) 梅田 CLUB QUATTRO OPEN 15:45/START 16:30
12月8日(日) 名古屋 CLUB QUATTRO OPEN 15:45/START 16:30
12月15日(日) 仙台 MACANA OPEN 16:00/START 16:30
12月21日(土) 那覇 output OPEN 16:00/START 16:30
■ライブの詳細は諸事情により変更になる場合があります。必ず公式サイトやSNSで最新情報を確認してください。また上記以外のイベントの出演情報なども公式サイトやSNSでご確認ください。
公式サイト:https://thecollectors.jp/