DONUT


2024.08.06 upload

THE BOHEMIANS インタビュー
4人になったから、ボヘミアンズをあえてもう一回再確認して提示しました
―― 平田ぱんだ

ザ・ボヘミアンズが2024年8月7日にニューアルバム『ultimate confirmation』(アルティメットコンファメーション)をリリース。アナログ盤でいうところのA面はロックンロールとボヘミアンズ・ポップを融合した「the earnest」、熱情と衝動をパッケージしたような「火薬!火薬!火薬!」、軽快なロックンロールナンバー「ロックンロールジェントルメン」、ドラマチックな展開の「ultimate debeaser」、ダイナミックなリフで聴かせる「マシンガン」とあらゆるタイプのロックンロールが詰まっている。B面は「かけひき」「黄昏のマジックメロディー」「真夏の宝」はボヘミアンズならではの美しいメロディが綴られる。アコースティックでユニークな歌詞の小曲「Wray」を挟んで、ロックンロールナンバー「still I love you oh yeah!yeah!yeah!」へ。最後に超高速パンクナンバー「あいのロックンロールよりはやく」で終わる(この曲の歌詞は最高だ)。つまりこのアルバムは平田ぱんだが言うように「ボヘミアンズをあえてもう一回再確認して提示」した作品であり、メンバー4人が培ってきた「ザ・ボヘミアンズのロックンロール」があらゆるスタイルで具現化した作品なのだ。

●取材・文=秋元美乃/森内淳



―― 8月7日の新作『ultimate confirmation』(アルティメットコンファメーション)はチバ(オライリー)さんがバンドをやめて、4人になっての初めてのアルバムですが、とてもいい作品になりました。

平田ぱんだ 夏らしいさわやかなアルバムになったと思います。

星川ドントレットミーダウン たしかに夏っぽいアルバムになりましたね。

―― 今回、ドラムは誰が叩いたんですか?

平田 茂木(左)という男です。

―― the myeahnsの茂木さんが全部叩いたんですね。

平田 そうです。

―― 4人態勢でのレコーディングはどうだったんですか?

星川 4人になって新鮮な感じもあるといえばあるんですけど、4人になったんですけど、(山中)さわおさん含め、スタッフの人もいるなかで、まわりの環境も含めて、とくに困ることもなく自然にこのアルバムを作ることができたので、まわりに恵まれているなっていうのをまず思いました。ドラムがいないなかで茂木も即答してくれたし、全部やってくれるって言ったので、滞りなく物事が進んで、結果的にいいアルバム……個人的にも一番いいんじゃないかというくらいのアルバムができたので、それは茂木も含めてまわりに感謝という気持ちと、また新しいボヘミアンズが見られるんじゃないかという、ワクワクはありますね。

―― たしかに完成度の高いアルバムに仕上がりましたよね。

本間ドミノ アルバム制作には時間をかけましたからね。去年、チバがいなくなってみたいなことがドドドとあって。新曲を一回バラバラにして組み立てないといけないような印象もありながら、茂木に聴かせるデモをメンバーで作ってみたいなことをやったので、いつもよりレコーディングまでの行程が多くて。それも1回で終わるものじゃなかったので、物理的に大変な部分はけっこうあったんですけど、その分、レコーディングはスムーズだったのではないかと思います。

―― なるほど。茂木さんに聴かせるデモを作る必要があったんですね。

ビートりょう 茂木に聴かせるために4人でまずデモを作って、その次に茂木を含めてのデモ作りがもう一段階あって。そこからさわおさんを含めたプリプロという感じだったので、そういった意味では、段階が増えていったというのはありますね。レコーディングに関しては、4人になって初めてではあるんですけど、いつものスタジオでいつものように録れたので、前と違う印象はなかったんですけど。そこはスムーズにできたと思います。

星川 いつもなら、りょうくんと平田くんがデモを出して、みんなで合わせて「こんな感じ」っていう具合に仕上げていくんですけど、今回はドラムがいないから何もしようがないっていう状況で。それで最初のデモの段階では、りょうくんがドラムを叩いて作ったんです。

―― りょうさんがドラムを叩いたんですか!?

りょう そうなんです。

星川 エンジニアを本間がやって。あとでキーボードを自分で録って。小さいMTRで。DIYですね。デモを2回録ってるからだいぶ時間はかかっていますね。

―― となると、レコーディングまでかなり時間と手間がかかったわけですね。

本間 そのほうが本番は早いという。

星川 アレンジとかもいろいろ試せたからね。

―― レコーディングまで時間をかけた分、レコーディングはスムーズにいった、と。

本間 本来はこうあるべきだと思いました。プリプロでさわおさんがいろいろ言う必要がないくらいの状態にデモの段階で持っていかないといけないのが本来のあり方だと思いましたね。

―― 例えば、茂木さんにドラムをこう叩いてほしいというリクエストはしたんですか?

本間 好きにやってって言ったんだっけ?

りょう 自分の曲に関して言うと、俺のドラムは素人程度なんですけど、茂木はすごく忠実に、ちゃんと俺がやりたいことを理解してやってくれたんで、そこまで「これはこうして」とかはなかったかなあ。

本間 平田くんは別になかったでしょ?

平田 ない。

本間 「ここをああしてこうして」っていうやりとりはあんまりなかったはずです。

りょう 言わなくてもわかってくれるみたいなところもあったしね。プリプロのときにさわおさんのアレンジでその場でちょっとフレーズが変わるみたいなところはありましたけど、そこもパパッと対応できたので、さわおさんも感動してました(笑)。

平田 ライブの印象とは違って、意外に器用だって。

―― 茂木さんのプレイは派手ですからね。

星川 そうやって叩く茂木をライブで見てたんで、最初はさわおさんも首を傾げるところがあったんですけど、徐々に「いいね、いいね」ってなってきて。

―― じゃあ今回は理想のレコーディングになったわけですね。曲も、1曲目の「the earnest」からボヘミアンズのロックンロールとポップがうまくブレンドされて、とても完成度が高いですね。

りょう 「the earnest」は去年の段階で会場限定のシングルで出す予定だったんです。だから、すでにチバくんのドラムで完成してた曲ではあったんですけど、それがチバくんの脱退もあって、発表する機会がなくなったので、今回のアルバムに持ってきました。

本間 「the earnest」はちゃんと茂木に叩き直してもらいました。

―― 「the earnest」は真剣とか本気とか意味もありますが、このアルバムを象徴するようなタイトルだと思ったんですが。

平田 「真面目」という意味ですね。今、真面目っていう言葉がブームなので。

―― そういうモードになった理由はありますか?

平田 ちょうど41歳になったのでそろそろ真面目にやろう、と。

―― 年齢的なことが大きいんですか?

平田 そうです。真面目にやらないと恥ずかしいので。

―― それは曲作りにも反映されているんですか?

平田 真面目とか大人とか、そういう今のブームをあえて入れていこう、と。2024年はそうだったなあって後で思えるように、あえて入れているところがあるはずです。

―― 今回はすべての曲を平田さんとりょうさんで作詞作曲しているんですね。

りょう 平田くんとぼくで半々で作りました。11曲あるんですけど、それぞれの曲が5曲ずつあって、1曲が、曲がぼくで歌詞が平田くんという完全な共作が1曲あるという。

―― たくさんあった候補のなかから11曲を選んだんですか?

平田 11曲そろったところでレコーディングをしようということになりましたね。もうこれ以上要らないなって。

りょう ぼくはデモの段階で6曲くらい作りました。そこから選んだ感じですね。

―― 今回、どの曲もよくて、アルバム全体のバランスもすごくいいんですよね。

星川 いろんなジャンルの曲が揃ってる。

―― 曲作りにおいて、自分なりのテーマはあったんですか?

りょう 毎回、そんなにコンセプトを決めてやる感じではないんですけど、仕上がってきたもの、自分の書いた歌詞とかを客観的に見ると、コロナでいろいろあったのかなって自己分析する部分もあるんですけど。ただ、それも全然無意識に出てきたものなんで、とくにこういう気持ちをわかってくれってことのほどではないですね。でも、なんとなくギターを持って作詞作曲しているときに出てくる言葉は本音だったりするものなので、コロナがあったんだなってことはけっこう感じます。チバくんのこともゼロではないだろうし。

―― 今回のアルバムの歌詞は反射神経で作ったというよりも、とても練られている印象がありました。

平田 去年から真面目になったので、ちゃんと携帯のメモにメモしてました。そのなかからフレーズを選んで組み合わせていったので、そういうところはあると思います。

星川 個人的なことをいうと、平田くんはお酒をやめたから、それもデカいんじゃないかな。

平田 それはある。それはデカい。もう一生飲む気はないですね。調子良すぎて。

星川 健康でいいものを作るみたいな(笑)。健全にいいものを作る感覚にはなっているみたいで。メンバーとしては普通に嬉しいですね。ずっとライブもできるし、パフォーマンスも良くなるし。

平田 身体の調子が全然違うんで。気持ちいいですね、すべてやることが。時間がいっぱいあるので。今まで1日のうちに酒で潰れていた時間があったので。だから暇といえば暇なんですけど、歌詞を練ったりするのもそういう時間があるからじゃないですかね。

星川 声も調子良かったりするんですよ。声が枯れることも今まではあったんですけど、今回はほとんどなかったんじゃないかな。

―― 曲によって、今まで以上に歌の表情が変わっているような気がしました。

平田 1曲1曲、真面目に取り組みました。

―― 演奏面ではどうですか?

りょう 前と違うところでいえば、いつも使っているギブソンの335というメインギターとリッケンバッカーの12弦と、今回、ピロウズの真鍋(吉明)さんにSagoというブランドのテレキャスターモデルを借りて。メインは335なんですけど、テレキャスモデルを使った曲が2〜3曲くらいあるのかな。個人的には音はちょっとバリエーションが広がったとは思いますね。

―― 今回はサウンドもすごくいいですからね。

星川 音のバランスがいいですよね。キーボードもはっきり聴こえるし。

―― やはりそれは2回デモを録った成果なんですか?

星川 それはあるんじゃないですか。それぞれが曲を何度も聴いているので、自然と染み込んで、振り分けとかもデモの段階で大まかには決まってきていたので。

りょう デモを2回録ることで、単純に練習がたくさんできたって感じですよね。

星川 最初のデモでドラムをりょうくんが叩いていたことで、りょうくんがやりたいイメージとかも素直に出ている感じがしますよね。

本間 当たり前なんですけど、時間をかけないと自分が出したい音作りって進まないので。レコーディングまでに、とくに上モノは作れたんじゃないですかね。ほぼ1曲1曲、音色が違うというのも珍しいくらいで。そこは今までとはちょっと違うと思いますね。

星川 それから音楽的に成熟してきている感じは自分たちのなかでも手応えはありますよね。初期衝動の良さとキラキラした良さプラスうちらの経験値みたいなものが音にも反映されてきているなと思います。

―― 新しい何かに挑戦するというよりも本来持っていた自分たちの良さを引き出しているアルバムになった印象もあります。山中さんの仕事も減ったんじゃないですか?

星川 所々はありますけどね。

りょう それはもういつものパターンで。

本間 全体的にちょっとずつって感じですね。曲の構成とか歌詞とか。最初の印象で直すのはリズム隊が多いよね。「ここ削ったほうがいい」とか。

星川 「ここは長ったらしいから削ろう」とか。「ここはもったいないからもうひとつ展開をつけよう」とか。

りょう さわおさんと何枚もアルバムを作っているので、それで俺らもアレンジの仕方を覚えたというか。ただ繰り返すんじゃなくて、ここを変えるとか、ここにブレークを入れるとか、そういうことで自分たちの自主的なアレンジもけっこう仕上がってきたというか。それは感じましたけどね。

星川 デリシャス・レーベルに入って10年?

本間 10年。

星川 それで気合い入れたっていうのもありますね、個人的には。だから、さわおさんがそこまで手を加える必要もなかったんじゃないかなと思います。

りょう 俺らもやることがわかってきたんで、さわおさんも、この日とこの日にスタジオに行けばいいかな、くらいの感じになっていて。そういう意味では少なくなってはいると思います。

星川 メシを奢りにだけきて、みたいなこともありましたね。さわおさんもツアーをやっていたので。

―― これまでの作品に比べたら、この4人でプロデュースした感じにはなっているんですね。

星川 このアルバムはもしかしたらそうかもしれないですね。

りょう その色は強いと思いますよ。

―― アルバムタイトルも『Ultimate Confirmation』という。これは誰がつけたんですか?

平田 ぼくです。4人になったから、ボヘミアンズをあえてもう一回再確認して提示する、みたいな意味だったような気がします。つけたときのことを忘れてしまいました。

―― まさに4人が提示されたアルバムという。4人が溶け込んでいるんだけど、それぞれが際立っているアルバムですからね。

星川 アルバムタイトルはハマってますよね。

―― ハマってますよね。しかも「未来図」とか「羅針盤」とか歌詞に出てきて、ひじょうにポジティブなイメージもあるという。4人で動き出すボヘミアンズが目指すところってあるんですか?

本間 あまり具体的にどこを目指すとか言ってきてないので、そのほうがいいのかなとは思います。とはいえ、ライブはデカいところでやりたいですよ。武道館にしても野音にしてもZeppにしても。ピロウズより売れたいです(笑)。

りょう 難しいと思うよ。

本間 だってさ、そう思ってないと駄目じゃない?

―― たしかに。だけど、それくらい力のあるアルバムができたように思います。

星川 シンプルにいろんな人に聴いてもらいたいですね。

―― なので、9月22日から始まる全国ツアーが楽しみなんですが、ツアーのドラムも茂木さんが叩くんですか?

星川 大阪とかがhotspringのGOEさんに頼むことになってて。

本間 全部が茂木くんではないんですよ。

星川 ドラムが変わるのでそれも楽しみとして来てもらえたらなと思います。うちらとしては大変なんですけどね。リハーサルを2回やらなきゃいけないので。

本間 他のイベントでは(楠部)真也さんに頼んだりしているんで、ぼくらは3人のドラマーとリハをしないといけないんです。しなきゃいけないっていうか、3人とリハができるんですけど(笑)。

りょう ボヘミアンズ、今、メンバーが7人なんですよ(笑)。

―― むしろメンバーは増えているんですね(笑)。ツアーのテーマとかあるんですか? 「本物の旅」っていうサブタイトルがついていますが。

平田 気合が入っているということでしょう。

りょう 個人的にはギターの聴こえ方とか聴かせ方をもう一段階レベルアップさせたいなと思っていて。なんとなくですけどね。

本間 今回のアルバムは音作りに凝っている分、ライブで準備することが多くなるというのはあるので、この曲はこう、この曲はこうとか、そういう部分が多いので。ただそれもアルバム作りと一緒で準備する時間が長ければ長いほど、いいライブができるんじゃないかと思っています。

―― 楽しみにしています。それで、この最後の曲なんですけど……「あいのロックンロールよりはやく」というのはクロマニヨンズの「あいのロックンロール」より速くっていう意味なんですか?

りょう そうです(笑)。

―― あ、これはりょうさんの曲なんですね。

りょう 速いかどうかはわからないんですけど、あの曲を聴いた瞬間に、ちょっとこれを超えるものを作りたいなあと思って、瞬間的に出てきた曲なんですけど。BPM的に本当に速いのかどうかはわからないです(笑)。

―― そこは定かではないんですね(笑)。

りょう そこはあんまり意識してないですね。とにかく速い曲にしたかったという。

―― ちょっと刺激されたという。

りょう そうですね。あのシングル、よかったなあ。

星川 ボヘミアンズっぽいですよね。最後にこういう曲がくるのは。

―― そうですね。だけど「あいのロックンロール」より気持ち速いような気はしましたよ。

星川 茂木が大変っていう(笑)。

りょう ライブではもっと速いからね(笑)。

© 2024 DONUT

INFORMATION

AL『ultimate confirmation』
2024年8月7日リリース
収録曲:1.the earnest/2.火薬!火薬!火薬!/3.ロックンロールジェントルメン/4.ultimate debaser/5.マシンガン/6.かけひき/7.黄昏のマジックメロディー/8.真夏の宝/9.Wray/10.still I love you oh yeah!yeah!yeah!/11.あいのロックンロールよりはやく

LIVE

「アルティメットコンファメーション活動ツアー2024 ~本物の旅~」
2024年
09月22日(日)東京・高円寺HIGH
09月27日(金)宮城・仙台ROCKATERIA
09月29日(日)新潟・CLUB RIVERST
10月04日(金)岡山・PEPPERLAND
10月05日(土)福岡・LIVEHOUSE OP's
10月07日(月)大阪・LIVE SQUARE 2nd LINE
10月12日(土)北海道・SPiCE札幌
10月18日(金)愛知・池下CLUB UPSET
10月19日(土)静岡・UMBER
10月23日(水)東京・渋谷WWW
10月26日(土)山形・ミュージック昭和Session

■ライブは諸事情により変更になる場合もあります。必ず公式サイトで最新情報を確認してください。またイベント情報なども公式サイトでご確認ください。
公式サイト:https://the-bohemians.jp/b/lives

LATEST ISSUE

LATEST ISSUE

PODCASTING

池袋交差点24時

STUDIO M.O.G.

STUDIO M.O.G.

宙の猫島

宙の猫島

↑ PAGE TOP