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中野ミホのコラム「まほうの映画館2」

中野ミホ(Singer/Songwriter)のコラム「まほうの映画館2」
中野ミホが最新作から過去の名作まで映画を紹介します。
●プロフィール:中野ミホ/北海道札幌市生まれ。2009年に結成したバンド「Drop’s」のボーカルとして活動し、5枚のフルアルバム、4枚のミニアルバムをリリース。2021年10月にDrop’sの活動を休止後、現在はシンガー、ソングライターとして活動。ギター弾き語り、ベースを弾きながらのサポートピアノとのデュオ編成やドラムを加えてのトリオ編成など、様々な形態で積極的にライブ活動を行なっている。
●公式サイト:https://nakanomiho.tumblr.com
●中野ミホYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCjvQfnXVg6hTd8C8D6PSQGQ

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第54回「数字も条件も、全部飛び越えてくるもの、本当は知ってる! マテリアリスト」

『マテリアリスト 結婚の条件』 (2026年:アメリカ)
原題:『Materialists』
監督・脚本:セリーヌ・ソン
キャスト:ダコタ・ジョンソン/クリス・エヴァンス/ペドロ・パスカル ほか
公式サイト:https://happinet-phantom.com/materialists/
※全国順次公開中


2026.06.09 upload

みなさまこんにちは! あっという間に6月……!
あったかい日も増えてきて、お散歩が楽しい今日このごろです。
いかがお過ごしでしょうかー?

さて、今月はこちらの作品を観に行ってきました!
『マテリアリスト 結婚の条件』(原題:『Materialists』)
2025年、A24製作、アメリカの作品です。
監督・脚本はセリーヌ・ソン。
以前このコラムでも『パスト ライブス 再会』をご紹介しました。
出演はダコタ・ジョンソン、クリス・エヴァンス、ペドロ・パスカルなど。

邦題と予告編、ビジュアルだけ一見すると、おしゃれで軽快な都会のラブコメ?
って感じに見えなくもないのですが、そこはセリーヌ・ソン監督そしてA24。
前作『Past Lives』で号泣し、絶大な信頼を寄せていたので、笑
きっと一筋縄ではいかないだろうなとわくわくで観に行ってきました。
今回、ネタバレ注意でお願いしますー。

ニューヨークの結婚相談所でマッチメーカーとして働くルーシー(ダコタ・ジョンソン)は、恋愛も結婚も条件や価値で判断するマテリアリスト(物質至上主義)。
ある日、クライアントの結婚式で裕福な投資家ハリー(ペドロ・パスカル)と出会い、理想的な恋人候補として情熱的なアプローチを受けます。
しかし同じ会場で、かつて愛し合いながらも貧しさを理由に別れた元恋人ジョン(クリス・エヴァンス)とも再会。そんな中、クライアントが事件に巻き込まれ、ルーシーは仕事でも恋愛でも岐路に立たされることになるのですが……。


いやめちゃくちゃよかった……! ひさびさに、とても泣きました……。
とにかく、セリフが絶妙で、メモを取りたくなる!
登場人物それぞれの言葉が刺さりまくり、うぅ……あぁ……とうなる場面ばかり。
さすが劇作家・脚本家としてキャリアを積み上げてきた監督だなぁと感動でした。

冒頭、黒のミニスカートのスーツにロングブーツでNYの街を颯爽と歩くルーシー。
非の打ちどころのない美しさで、きっと自信に満ちあふれたキャリアウーマンなのかなぁと想像するのですが。それが物語が進むにつれていつの間にか、彼女と一緒に迷ったり、共感したり、成長したり。すごく繊細で丁寧に物語が描かれていました。

クライアントの結婚式で出会ったハリーは、まさに完璧なハイスペック男性。
超お金持ちなのに全く嫌な感じがなくて、上品でおだやかで。
「僕が求めているのは尊敬できて、僕より賢い女性だ。
君に物質的な価値を求めているわけじゃない。物質的な価値は長続きしない。
形のない資産に惹かれるんだ。」なんて言ってくれるのです。
マンションの部屋、朝のシーンとか、完璧すぎてさすがにうっとりしてしまいました。

それに対して、同じ結婚式でウエイターとしてバイトしていた元彼のジョン。
俳優として成功することを夢見ていながらも、ルーシーと別れた時から変わらず貧乏な暮らし。
もうこの二人の対比がすごいのですが、さすがNYって感じでそこも面白かったなぁ。
ハリーが連れて行ってくれる高級レストランやペントハウス。彼の弟の豪華すぎる結婚式。
ジョンのシェアハウスや小劇場、街角のデリやフードトラック。どれも見ていて楽しい!
NYの街並みとそこに集まる人々を垣間見られてわくわくしました。

仕事柄、「結婚はビジネス。条件が全て、釣り合うか合わないか、以上。」
みたいな考えを持っていたはずのルーシー。
最初は見ているこちらもハリーのことを、いや絶対この人いいでしょ!ってなるのですが。
彼女は仕事で出くわしたトラブルをきっかけに、愛について、結婚について改めて考えることになります。
そして完璧すぎてどこか人間味のうすいハリーと、ピュアで泥臭くて、ルーシーのことをきっとすごく理解しているジョンの間で、彼女の気持ちと一緒になって揺れてしまうのですー。
うぅ、30代には刺さりすぎる……。

そして終盤で一気に泣かせにくるジョン……!
こっそり忍び込んだ郊外での知らない人の結婚式で踊るシーン。
からのアパートの前でのラスト近くのシーン。良すぎでした……。
「たとえケンカしても愛は忘れない。毎日カレンダーに愛してるって書き込む。
最終オファーだ。愛の他に差し出せるものがない。」
「僕に幸せになる勇気を与えてくれてありがとう」ってもうー! 涙
気づいたらボロボロ泣いていました……。

大人になるにつれてお金のことや建前、立場はどんどん無視できないものになっていくし、本当の気持ちとか、自分の幸せについて考えることは後回しになりがちだけれど。
彼らの言葉や、クライアントのソフィーとルーシーが抱き合うシーンとかを見ていると、やっぱり人は孤独な生き物で、愛を求め続けている、誰かにいてほしいんだなぁと強く感じました。

心から愛する人、ケンカしても、嫌なところたくさんあっても、理想の条件からは程遠くても、どうしてもこの人っていう、どうにもできない愛を見つけられることは本当にすごいことだと思う。
そしてそれを自分で感じて、選び取れる人生、愛のある人生って本当に素晴らしくて、何にも代えられないものなんだなぁとしみじみ泣きました……。

『Past Lives』でも思いましたが、セリーヌ監督の映画の人物たちはみんな穏やかなのがいいよなぁ。
声を荒げたり、必要以上に感情的になったりしてないのに、その表情や言葉で丁寧に気持ちが伝わってくる。
みんな人の話をちゃんと聞いていて、大人なんだよなぁ。
そして人には本当にいろんな面があって、それが見苦しい時もあれば、美しくもあり面白くもある。
あとやっぱり音楽が最高!! 劇中のバンドに私も入りたかったです。笑

そしてエンドロールの、婚姻届を出す役所?の長回しのシーンが特別よかったー。
NYに暮らすいろんな人種・性別のカップルがみんな幸せそうで。
個人的には、唯一行ったことのある海外がNYなのでとても思い入れがあって、また必ず大好きなこの街に行きたいなーと思いました。

最高だったのでぜひ機会があれば映画館で観てほしいです!
セリーヌ・ソン監督、やっぱりめちゃくちゃ推せます。
それではまたねー。

© 2026 DONUT



INFORMATION


EP『Bones』
2025年10月2日リリース(CD)
2025年11月19日リリース(12インチアナログ盤)
収録曲:01. So long/02. グリーンピース/03. ねずみの記憶/04. オレンジ/05. バニラ
インタビュー公開中:https://donutroll.tokyo/wd/20260107_nakanomiho

LIVE INFORMATION

■ 自主企画ライブ「hug 3」
2026年6月23日(火)下北沢 SPREAD
出演:タデクイ/中野ミホ(Band Set)

■「カズミナナ "when the light comes" リリースイベント」
2026年7月18日(土)名古屋sunset BLUE
出演:カズミナナ/碧海祐人/中野ミホ

■「musubu vol.17」
2026年8月2日(日) 新代田crossing
出演:山本大斗/中野ミホ

※ライブの最新情報はオフィシャルサイト、公式Xにてご確認ください。
公式サイト:https://nakanomiho.tumblr.com
公式X:https://x.com/miho_doronco12

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